「自分は営業が苦手だ」と感じる人は多く、就職活動の段階で避けてしまう方も少なくはありません。しかし、何事にも言える話ですが、この苦手意識は原因を明らかにして対策すれば克服できないものではありません。
苦手と思う原因を理解して心構えを新たにしたり、営業スキルを磨いたりすることで、だんだんと苦手意識を克服し、営業成績を上げていくことができます。今回は、営業の苦手意識を克服するために実践してほしいテクニック、またオンライン商談についてもご紹介いたします。
営業が苦手と感じてしまう理由
営業を苦手と感じてしまう理由は様々です。苦手と感じてしまうことは、意識の問題でもあり、考え方やものの見方を変えることで、営業に対する苦手意識を減らすことができます。
- コミュニケーション力が低い
- 商談の度にストレスを感じてしまう
- 一向に成約数が伸びない
- 上司や会社の営業方針が合わない
営業を苦手と感じるこの4つの理由と、その対処法を考えてみましょう。
コミュニケーション力が低い
営業が苦手と感じてしまう最大の理由は、コミュニケーションに負担を感じてしまうことだといえるでしょう。初めて会う人との間で信頼関係を築くことは、誰にとっても負担となるものです。営業職の場合、ほかの職種と比べてはるかに多い頻度で、初めての人に会い続けなければなりません。
社会人である以上、身だしなみに注意して相手に良い印象を与えるのは当然のことです。しかしながら、人から良く思われたいという意識が大きくなりすぎると、新しく人と会うことが億劫になります。絶対に失敗してはならないことは、できればやりたくないと思うわけです。
そのため、相手に意識を集中することで苦手意識を軽減することができます。自分がどう思われるかではなく、相手の役に立つためには何をすればよいのかを考えることが必要になります。
商談中に、営業マンの役割を「演じる」という意識をもつことも、コミュニケーションに対する苦手意識を軽減する上で、効果的な方法です。仕事の現場では、与えられた役割を果たすことが当たり前に求められます。「演じる」ことで、目前の事態から距離を取り、冷静で客観的な態度を取れるようになります。
商談の度にストレスを感じてしまう
商談の度にストレスを感じてしまうこともあります。理由としては、
- 相手のニーズを聴き取ることがうまくできない
- 自社のサービスや商品をうまく説明できない
- ニーズに対するソリューションを思いつくことができない
- クロージングのタイミングがわからずいつ契約を切り出したらよいのかわからない
などがあります。
このような理由であれば、事前準備や練習を工夫することで、対応することができます。顧客に理不尽なことを言われることが多いと、商談に対するストレスが次第に大きくなります。その際に感情的になってしまうと、ますます問題がこじれてしまいます。
相手の話を一部認めたうえで、お互いに冷静になれるように会話を誘導し、お互いが利益を得るビジネスの話に戻さなければなりません。
一向に成約数が伸びない
営業マンは、自分が獲得した売上で評価される仕事です。売上の獲得目標、ノルマも課せられ、成約数が伸びないことで、自分の評価に直接響き、大きなストレスとなってしまいます。
成約数を伸ばすためには、営業スキルを上げるしかありません。自分の営業スキルを見直し、長所を伸ばし、ボトルネックを解消しましょう。
成約率を上げるクロージングのコツを詳しく知りたい方はこちら
【営業のクロージングとは】成約率を上げる15のコツとプロセスを解説
上司や会社の営業方針が合わない
営業方針合致しないというのは、営業パーソンであれば、誰もが一度は感じた事があることではないでしょうか。特に大手の企業に勤めていると、営業方針が大きく様変わりするケースも珍しくありませんし、上司は何年かすれば異動してしまいます。
仮に自分とマッチする営業方針に出会えたとしても、その環境はいつ変わってもおかしくないのが多くの営業パーソンが置かれている状況でしょう。
高い意識をもって仕事をしているのに、肝心の営業方針が自身の考えとずれていると、大きなストレスになります。例えば本当は新規のお客様を次々と開拓したいのに、既存のお客様のケアを重要視する営業方針であれば、両者は噛み合いません。
このような状況が続くと、営業マンの営業に対する意識も変わってしまいます。モチベーションが削がれ不信感が募っていくので、営業に対してネガティブな感情が大きくなります。そしてそんな感情は、営業への苦手意識へと変わっていきます。
優秀な営業パーソンにも、営業が苦手だった人はいる
すべての営業担当者が最初から営業が得意だったわけではありません。優秀なトップセールスの中にも、苦手を克服して営業と向き合っている方が多くいます。ここではそんな営業の苦手意識を脱却した方の事例をご紹介します。
食品メーカー勤務Aさんの事例
Aさんは食品メーカーに勤務しており営業として量販店を担当していました。はじめはがむしゃらに頑張っていましたが、思うように成果が出せない日々が続きました。そして気付けば営業に強い苦手意識が生まれていたそうです。周りの成績の良い同期の存在もプレッシャーになり、営業から逃げることを考えていました。
そんなとき、Aさんを変えるきっかけになったのは、親切な先輩の一言だったそうです。Aさんがつい悩みや愚痴を先輩に漏らしてしまったら、最後まで頷いて聞いてくれたそうです。そして、少し2人で営業ロープレ(ロールプレイング)をやってみないかと提案されたそうです。突然の事にAさんは驚いたそうですが、言われるがままにロープレを開始しました。
このロープレがAさんの思いを変えました。人とコミュニケーションを取ることがあまり得意ではないAさんは、仕事も一人で抱え込みがちでした。ロープレの経験もほとんどありません。
そんな中の先輩とのロープレは驚きと発見の連続だったそうです。また人に感謝し、人との繋がりも良いなと心から思えたそうです。そうしてAさんは営業の苦手意識を克服して、トップ営業への道を歩み始めます。
営業の苦手意識をなくすための心得
ご紹介したように、様々な理由で営業に苦手意識を持っている営業パーソンは数多くいます。ではこの営業への苦手意識を克服するためには、どうすればいいでしょうか。
ここでは心得として、下記の4つのポイントを解説します。
- 営業のやり方に正解はない
- 「顧客のため」を意識する
- 苦手を分析する
- 会う人すべてに好かれることはできない
営業のやり方に正解はない
世界に自分と全く同じ人が存在しないように、営業の方法にも正解はありません。綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、人の数だけ営業にも正解があります。理想のビジョンを思い描くのは大切ですが、決めつけて動いてしまうのは危険です。柔軟な発想を持ち、自分にフィットする正解を探しましょう。
営業が苦手だ、出来ないと悩む人の多くは、きっと周りの誰かと比較しているはずです。比較する行為は自然な事ですが、減点方式で自分の不足しているポイントを見つけるのは止めましょう。成績が良い営業パーソンと全く同じようには出来ません。
人にはそれぞれ個性があり、得手不得手があります。盗める技術は参考にしていいですが、合わない方法はすぐに諦めましょう。
「顧客のため」を意識する
営業は誰のためにしていますか。自分のため、会社のため、どちらも間違いではありません。しかし営業への苦手意識をなくして営業を好きになるためには、この意識を変える必要があります。営業は自分のためでも会社のためでもなく、第一は「お客様のため」におこなっていると心から思えるようにしましょう。
営業を自分のためにおこなっているという意識では、商品を売ろうと思ってもどこか後ろめたい思いが生じてしまいます。自分のノルマ達成のために売りたいのだから当然です。これだと営業にも積極的な姿勢になれず、苦手意識の原因になりかねません。
これが「お客様のため」という意識に変わるとどうでしょう。自社の商品がお客様のビジネスや生活に加わる事で、より豊かになる。自分は人の役に立つことができたと思えるはずです。そしてもっと商品を販売して、世の中のためになりたいと前向きな行動が生まれます。
ちょっとした意識の変化ですが、行動には大きな影響力があります。「お客様のため」を再度意識してみましょう。
苦手を分析する
なぜ営業が苦手なのか、その「苦手」という感情について詳しく分析してみたことはありますか?苦手というのは脳が無意識のうちに作り出した一種の防衛システムです。過去の何かの体験の際にネガティブな感情を、一緒に紐づけられて苦手は作られます。
営業に限らずに人はいくつかの苦手があるはずです。例えばスピーチや、嫌いな人に会う、問題やトラブルへの対処など、代表的な物でもいくつも上がります。これらは過去の体験で嫌な経験をしており、脳がそれを記憶しているのです。
このように考えると、なぜ営業に苦手意識があるのか、原因が見えてくるのではないでしょうか。きっと多くは、何かの失敗体験に起因して脳がネガティブな感情を記憶しているはずです。そうして苦手意識の根源が判明すれば、対策も立てやすくなります。
なぜなら営業の良い一面も経験しているはずだからです。脳の負の記憶には、ポジティブなイメージで上書きしましょう。すぐに効果は表れなくても、だんだんと苦手意識は薄まります。
会う人すべてに好かれることはできない
できることなら全ての人から好かれて、良い関係を築きたい。そんな思いを抱く方も多いはずです。しかし、実際にそれを実現するのは難しいことです。
過去の経験からも分かるはずですが、とても気の合う友達もいれば、気付けば疎遠になった友人もいるはずです。なかには喧嘩別れしてしまった例もあるでしょう。営業でも同様で、話が弾み良好な関係を築ける場合もあれば上手くいかない時もあります。相性があるのです。
大切なのは、関係が上手くいかなくなった時、相手から嫌われてしまったと感じた際に、あまり気にしない事です。嫌われるのは気持ちの良いことではありませんが、人間が生きていく上で自然な行為です。なぜなら無理に関係を続ければ、それはお互いのストレスになるからです。
自分と縁がなければ、少しの時間を一緒に過ごせたことに感謝し、次の新しい出会いに期待しましょう。
苦手な営業を克服する5つの方法
心理的な理由で営業が苦手と感じてしまう方が多いことが分かりました。このセクションでは、営業スキルを上げることで営業の苦手を克服する5つの方法を解説いたします。
- 商談毎に課題を見つける
- 社内で商談の練習する
- 会話方法を見直す
- トークスクリプトを作成しておく
- 先輩社員の商談に同行する
商談毎に課題を見つける
なんとなく商談をこなしているだけでは、営業スキルの向上には非常に時間がかかり、頭打ちになってしまいます。予習、実践、復習のサイクルを回すことで、商談スキルの向上が速まり、事前準備にて当日の商談目的や課題を明確にし、商談中に意識することが大切です。
帰社後にはもう一度商談の内容を振り返り、目的や課題が達成できたか、商談中に新たな課題が出たかを確認し、次の商談に活かすことが重要です。
社内で商談の練習する
社内で行う商談の練習のことを「営業ロープレ(ロールプレイング)」といいます。
営業ロープレは、商談のスキルを向上させるために効果的な方法です。営業ロープレを行う時のポイントは、営業マン役、顧客役、オブザーバーの3人で行うことと、場面を現実的かつ詳細に設定することです。新入社員や営業未経験者などには特に実践してほしい方法です。
会話方法を見直す
営業に苦手意識を持っている人ほど、話をしようとしすぎてうまくいかないケースがあります。商談で必要なことは相手に話をしてもらうことです。相手から話をしてもらうことで、相手企業のニーズを理解することもできます。
誰でも自分のことを話したいと感じてしまうため、相手に関心を持ち、相手を知ろうとして質問することから会話を始めましょう。
トークスクリプトを作成しておく
トークスクリプトとは、営業活動における台本のことです。トークスクリプトはテレアポ営業に用いられることが多く、あらかじめ会話の内容を決めておくことで営業担当者の負担を大きく軽減します。
質の高いトークスクリプトを使うことで、未熟な営業マンが受注獲得することなどもあります。営業課として、あるいは個人として、トークスクリプトを作成し、練習しておくと良いでしょう。
先輩社員の商談に同行する
先輩社員や上司の商談に同行することを「営業同行」といいます。営業同行は、新入社員がはじめの研修として行うことがあります。営業同行の学習効果を高めるためにも予習と復習が必要で、事前に課題を明確化することで、商談中に意識しましょう。
また、事後に先輩社員とその日の営業を振り返ることで商談のポイントを確認しましょう。
まとめ:苦手な営業も、苦手な理由をつきつめて得意に
以上、苦手な営業を克服する方法をご紹介しました。一言で「営業は苦手」と言っても苦手な理由があるはずです。苦手な理由にを明らかにし、適切な対策をおこなっていくことで、きっと苦手意識を克服することができるでしょう。
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