毎月の営業ノルマを達成し続けている営業マンは、成約獲得のための必須ノウハウともいえる「営業の極意」を身に着けています。
営業の極意は決して難しいことではなく、主に「基礎的な営業力」が影響しています。商談が成約獲得に結びつかない営業マンほど基礎的な営業力を無視して、営業How to本やWebサイトの情報を鵜吞みにして実践し、失敗してしまいます。
今回は成約獲得に欠かせない営業の必須ノウハウ、営業の極意についてご紹介します。
営業マンが知っておくべき極意とは?
営業マンの仕事は「モノ(商品・サービス)を売ること」です。
言葉にすれば簡単ですが、実践し毎月のノルマを達成し続けるのはなかなか困難なことです。しかし、営業の極意さえ持ち合わせていれば、高い成約獲得ノルマにも物怖じせず取り組むことができるでしょう。
それでは、営業の極意について営業活動の段階を追いながら解説していきます。
アプローチ先の精査
営業活動におけるアプローチとは、顧客の興味・関心をこちらに向かせることです。アプローチ先は正確に精査する必要があり、「売れる見込みのある顧客に絞り込んで営業活動を行う」ことが必要になります。
アプローチ先の精査で意識すべきポイントが2点あります。
まずは、自己開示を行うことで、営業マンに対して「不必要なものを売りつけにくる人物」という負のイメージを払拭します。
次に、顧客との信頼関係を構築するために、担当者との共感点を見つけることです。この2つのポイントを意識してアプローチ先の精査することで、成約率は大幅に向上します。
商品の売り方・見せ方
商品の売り方・見せ方を意識することで、商談を営業マン側のペースで進めることができます。
自分のペースで営業トークを展開することで、「この営業マンから購入する事に価値がある」と顧客に認識させることができます。そのため、相手の事業に絡めた話や提案サービスを利用してもらうことで得られるメリットを詳細かつ適切に伝える必要があります。
商品はどこからでも買うことができますが、気に入った営業マンから提案される商品の方が自分のものになるという具体的なイメージを持たせることができます。
顧客の課題解決を優先する
営業マンは顧客の課題解決を考えた提案をする必要があります。
そのため、専門知識と問題解決力を備え、顧客と同じ目線で物事を考えるプロフェッショナルになる必要があります。商品を売る以上、営業マンにも責任が伴い、間違ったことを伝えてしまえば、顧客の課題解決をすることができません。
顧客と営業マンとの間で共通認識を持ち、課題に向かって話合うことも重要です。商品を売りつけられていると感じさせてしまうと、商談は100%成立しません。
顧客と同じ目線での課題解決を行うためには、密なヒアリングと商品知識の習得が絶対条件といえます。
クロージングの大切さ
営業の極意におけるクロージングとは、一般的な意味でいう「契約の締結」ではありません。クロージングとは顧客の商品購入の最後の決め手となるよう、背中を押してあげることが目的です。
顧客側からすれば、契約によって発生するメリット・デメリットも良く理解していますが、どうしてもデメリットにばかり意識がいき、躊躇してしまうのは当然のことです。クロージングで二の足を踏む顧客は少なくなく、顧客がクロージングの段階で営業マンに求めているのは決断の最後の一押しです。
営業の極意を身につけている営業マンであれば、契約の決断を顧客に一任させるようなことはしません。クロージングの大切さは顧客の背中を押し、契約後も共に課題解決に取り組む姿勢を見せることです。
【営業のクロージングとは】成約率を上げる15のコツとプロセスを解説
営業の極意を身につけるためには?
では、営業の極意を身につけるためには、普段の業務外での取り組みも必要になります。
しかし、ノルマや事務作業にに追われ、普段の営業時間では練習や習得時間を確保することはなかなか難しいかもしれません。そこで、社内で好成績を上げている営業マンから営業スキルを学ぶことで、自身の基礎的営業スキルの向上を図ることや業務効率化を図ることで時間を生み出すこともできます。
社内でノウハウ共有をする
社内で営業ノウハウの共有に効果的な方法として、営業ロープレが挙げられます。営業ロープレは営業側と顧客側に分かれ、あらゆる場面を想定した商談の演習を行う研修方法です。
営業ロープレのメリットは、個々の持つ営業スキルの良い部分を効率良く学習できる点です。営業ロープレではオブザーバー役が重要な役割を果たします。営業役の営業スキルを第三者目線で監視することで適正な評価し、課題となる部分を何度も反復して行うことで効果を発揮します。
ロープレ終了後には三者で感想を出し合い、フィードバックを受けることでさらに効果を増します。
成績トップの営業マンのやり方を見学する
営業同行は上司や成績トップの営業マンの商談を見学するために最適な方法です。営業スキルにおいても、先人の知恵はとても役に立ちます。ただし、営業に同行して商談の様子を観察するだけではあまり効果がありません。
営業同行の効果を高めるために、事前に同行する営業マンと商談時の課題・ポイントを共有化しておくことです。商談中は予め意識したいポイントに集中し、商談後に振り返りを行うことが非常に重要です。振り返りは駅への移動や、タクシーの車内などで、商談のイメージが新鮮なうちに行うことがポイントです。
とにかく場数をふむ必要も
ここまでご紹介したスキルは実践しなければ「机上の空論」にすぎません。
営業の極意を身に着けて成約獲得につなげていくためには、営業の場数を踏むことも必要です。しかしながら、一般的に訪問営業であれば1日に訪問できる企業数には限界があります。遠方の訪問先への訪問となると1日1件しか営業できないこともあるでしょう。
そもそも2020年3月以降、直接顔を突き合わせたオフラインの営業をすることは、ハードルが上がったままです。客先へ訪問するのに役員申請が必要としている企業すら、珍しくありません。
今後の世の中がどのように変わっていくかは不透明ですが、必然的に営業の場数を踏む≒オンライン商談の経験を中心に積んでいく ことになるでしょう。
それに、オンラインなら移動時間が必要ありませんから、休憩時間やインターバル以外、びっしりと商談の予定を入れてしまうことも可能です。営業活動を改めて見直すことも選択肢のひとつといえます。
トップ営業マンのノウハウを吸収するには?
トップ営業マンのノウハウを吸収することで、個人としての営業力をアップさせることができます。また、個人に限らず営業組織内でそのノウハウを共有すれば、組織全体の営業力が高まります。
では、トップ営業マンのノウハウを他の営業マンが吸収できるようにするには、どのような方法があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
企業としてノウハウ共有の仕組みを作る
近年、企業の営業規模は拡大傾向にありますが、営業活動の効率化のためには、それぞれの営業マンの受注率のバラつきを減らし、組織全体で営業を標準化しなければなりません。
そこで重要となるのがトップ営業マンのノウハウを、営業組織内で「共有」する仕組みを作ることです。トップ営業マンのノウハウを可視化、そのプロセスを社内共有することで、組織全体の営業力強化につながります。
また、ノウハウが可視化・共有されていれば、新人の営業マンに実践的な教育を行うことができ、即戦力に育て上げることもできるでしょう。それでは、どのようにしてトップ営業マンのノウハウを共有していくのでしょうか。以下で見ていきましょう。
商談で使用した営業資料の共有
トップ営業マンが成功した商談で使用した営業資料を、社内で共有し標準化することで、組織のメンバーがより多く成約率の高い商談に近づけます。
これらの営業資料は、トップ営業マンが顧客に合わせて独自にチューニングしながら利用している場合が多く、貴重な情報が多く詰まっているにも関わらず、自社内で資料の存在を知られていないことが多々あります。
トップ営業マンは、商談の際の営業資料を精緻に作り込みます。彼らは、商談において商材のパンフレットや製品紹介の資料ばかりを提示しているのではなく、取引先や商材に合わせていくつもの資料を作成して、それを絶妙なタイミングで提供することで、クライアントの購買意欲を刺激します。
また、どのような資料を取引先に提示するかも重要です。優れた営業マンによっては、商材よりも会社のことを知ってもらうために、自社の案内資料を取引先に差し出す人もいます。
持ち運ぶことが難しい商材を紹介する場合は、デモや活用事例の資料を用いて、実際に活用している光景をイメージしてもらうこともあります。あまり世間で知られていないサービスであれば、「お客様の声」を資料として見せることで、信頼を得ることができます。
これらの資料を随時社内で共有すれば、よりよい営業方法のディスカッションにつながります。また資料共有の他に、個々の営業マンの営業力のバラつきを減らすためには、アプローチブックの作成も有効です。
アプローチブックとは、商談時に活用する営業資料を1つのファイルとしてまとめたもので、サービス紹介から事例紹介など様々な情報がひとつに集まったものです。
これまでのノウハウを結集し一つのアプローチブックを完成させることができれば、誰もが高い品質の営業活動を行うことが出来ます。
アプローチブックを基に経験を繰り返せば、新人の営業マンであっても、優れた営業アプローチをとることができます。また、たとえ商談中に顧客に痛いところを突かれたとしても、過去に同じような指摘をうけたときに活躍した資料や説明がアプローチブックに入っていれば、新人営業マンであっても適切な切り返しができるようになります。
アプローチブックには、商談で提示した資料のような具体的な情報だけでなく、顧客の特徴や気をつけるべきポイントなど定性的な情報も載せておくと、生きた参考書として社内で活用されやすくなります。
訪問とオンラインで商談資料の作り方が違うって、ご存知でしたか?
アプローチ履歴を蓄積
社内で顧客との打ち合わせや、ミーティングの議事録など、取引先へのアプローチ履歴を整理して、顧客や案件ごとに情報を分かりやすくしておくことは、営業活動をスムーズに行うために不可欠です。
これらのアプローチ履歴の蓄積方法として、最近では、CRMを使用する傾向があります。
CRMとは、「Customer Relationship Management」の略語で、「顧客関係管理」と訳されます。その名の通り、顧客管理を行うためのシステムで、顧客データを一元管理し、そこで蓄積されたデータを分析することにより、次の一手に生かすことができます。
トップ営業マンのアプローチ履歴を、CRMによって会社全体の経験として蓄積することをおすすめします。具体的には、アプローチ履歴をしっかりと残した上で、顧客を「見込み顧客」「既存顧客」「優良顧客」などに分類し、見込み顧客であれば営業による既存顧客への引き上げ、既存顧客であればアフターフォローなどを通じて優良顧客へと育て上げます。
こうしたシステムを利用した管理によって、会社全体でノウハウを蓄積し、スムーズな引き継ぎと継続的なアプローチが可能になります。
効果が出た手法は一般化して共有
トップ営業マンのノウハウのうち効果のあった手法は、一般化して営業組織内で共有することが大切です。ノウハウの一般化とは、感覚に頼る部分など属人性を排除し、誰もが真似しやすい形に落とし込むことです。
例えば
- 成約数を増やすための営業活動のスケジューリング
- 商談で使用すべき資料
- 成約につながったクロージングのトーク
- 見積もり送付後のフォローの連絡タイミング、フォロー内容
など、具体的なアクションや成果物の形でまとめます。
これらの効果があった手法については共有し、誰もがアクセスできる状態にしておきましょう。また、SFAなどの営業ツールで営業活動の記録が行われている場合は、トップ営業マンの行動履歴、アプローチ内容の履歴などを残すことができます。これも貴重なノウハウです。
成約につながった顧客へのアプローチ方法、提案内容などを分析すれば、自社の営業の理想的な形を見出すことができるかもしれません。
まとめ
成約獲得のための営業の極意についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。優秀な営業マンのスキルを属人的なものにせずに、社内で共有するセールステックツールが営業の極意を身に着けた営業パーソンの育成に効果的です。