営業は人と人とのコミュニケーションです。契約を獲得するためには、様々なスキルが必要です。今回は営業が身につけるべき基本スキルと、商談の場で意識したいポイントをご紹介します。
【営業の基本】身につけるべき基本スキル
まずは、商談の場面で欠かせない「営業トーク」の目的を理解しましょう。
自社が提供する商品やサービスを使うことにより相手企業の課題が解決できるイメージを、相手企業の担当者に持たせるために行います。一般的に、営業には「無駄なものを買わされたくない」と警戒するものです。相手から信頼してもらえるような話し方を心掛けながら、商談を進めていきましょう。
まずは営業の基本として「身につけるべき基本スキル」をご紹介します。
話を聴く力をつける
営業は相手の悩みや課題を解決するためのソリューションを提供する場です。そのためには、大前提相手の悩みや課題をしっかり理解する必要があり、それを相手から聞き出す力が必要となります。いわゆる「質問力」や「傾聴力」です。
しかし、突然現れた営業パーソンに、あれやこれやと聞かれても、顧客側も信頼がなければ全てを話してはくれません。信頼関係を構築するために、まずは「この人はしっかりしてそう」と思ってもらうべく相手に関する事前情報の収集に心がけましょう。
あらかじめ相手のHPやFacebook、属する業界の動向など、多様な情報源から理解を深めておくとよいでしょう。また、顧客自身が顧客の課題を認識できていない可能性もあります。相手の話を良く聴き、そこから相手の課題についての仮説を自分なりに組み立て、仮説の確認と足りない情報を埋める作業を繰り返す。
相手の立場から利益を考えることが信頼関係構築の第一歩です。
商品・サービスのメリットを説明できる
やみくもに商品のスペックを説明したり、サービスについて細かく説明したり、このような方法では相手企業のニーズに応えられないでしょう。あくまでも「お客様目線」に立ち、課題に応じて商品のスペックやサービス内容を説明するのが最適な営業方法です。
前もって相手企業の経営理念・事業戦略・事業内容などの経営情報、主力商品、相手企業が属する業界の動向などをまとめておくことで、商談の場になっても慌てることなく、最適な契約プランを提案できます。
しっかりクロージングできる
相手の課題を丁寧にヒアリングし、それにベストマッチする製品を紹介できたとしても、100%全てのお客様が契約してくれるわけではありません。予算、稟議の面倒さ、社内政治、などなど契約までの障害は様々なものがあるため、お客様をモチベートし契約につなげるにはクロージングが重要です。
タイミングを見極め、そのお客様にとってネックになっているものをヒアリング・推測し、適切なクローニングを行うことで、前向きになったお客様を逃さず契約を獲得することができます。
クロージングについてもっと詳しく知りたい方はこちら
【営業のクロージングとは】成約率を上げる15のコツとプロセスを解説
スキル向上のために意識して取り組むべきこと
営業パーソンが身につけるべき基本スキルをご紹介しました。では、それらのスキルを磨くためには何をすればよいのでしょうか。
先輩・上司の商談へ同行する
先輩・上司の商談へ同行することで、営業活動のノウハウを共有することができます。
例えば、商談の進め方・トーク展開・商談で用いる資料の扱い方など、限られた商談時間の効果的な活用方法を学びとりましょう。その場にいることでしか学ぶことができないことがいくつもあるでしょう。
商談終わりに内容を振り返る
営業スキルを向上させるには、商談終了後に振り返りの時間を作り、商談中の良かった点・悪かった点を振り返ります。改善点を可視化し、次回の商談に活かしていきましょう。成功・失敗を問わず、継続的なスキル向上が望めます。
本やトップ営業の話を聞いてスキル向上
営業活動の隙間時間を有効活用して、すぐに実践できるビジネス心理学の本やビジネス情報記事などを読むことで、スキル向上に繋がります。顧客の心理を読み取ることができれば、顧客の立場に立った行動が予測できるからです。もちろん、学術的な知識ではなく、誰でも実行に移すことができる内容です。
商談内容の振り返りとともに、次の商談に活かしてみましょう。
営業における基本の心得
続いて営業における、大切にすべき心得を5つご紹介します。どれも基本的な心得ですが、今一度、自分の営業をどのように行なっているか振り返ってみてください。
もし疎かになっている心得があるならば、初心に立ち返って営業に対する心構えを改めましょう。
顧客のことを第一に考える
自分が中心にある営業をしていませんか。営業成績を良くしたい、なんとしてもノルマを達成したい。どちらも営業活動のモチベーションとしては誤りではありません。しかし、自分の優先順位が高すぎる営業には問題があります。
仮に、とにかく物を売りたいという思いを優先して営業をしているとどうでしょうか。やる気は感じられますが、実際の営業活動には弊害が生まれます。例えばお客様にとっては押し売りに感じられて、契約に結びつきづらくなるかもしれません。
ではお客様を第一に考えて行動したらどうでしょうか。営業の提案もお客様のためを思った内容に一変します。一人でも多くのお客様の課題を解決し、より良い提案をしたい。そのために尽力したい。お客様を1番に考えた営業活動は、ポジティブで明るいエネルギーに満ちています。
お客様の立場に立っても、どちらの営業パーソンから商品を買いたいかは明確ですよね。お客様の事を第一に考えて営業活動をしましょう。
約束を守る
友人に不信感を抱く大きな原因は何でしょうか。集合時間に遅刻された、貸した物を返さないなど、約束を破られた事が原因となっている場合が多いはずです。相手からしたら軽く謝って終わりかもしれません。しかし約束を守ってもらえなかった側の気持ちにはしこりが残ります。
そして、それが何度も続くようであれば、そのしこりは大きくなり人間関係にも影響します。これは営業においても全く同様の事が言えます。
納期を守れない、約束の時間に遅れる、どちらもお客様からの印象は極めて悪いです。1度でも約束を守れなかったら、そのお客様との繋がりはなくなる。それぐらいの心持ちでいる方が望ましいです。そうすれば、当たり前の事ですが、とても心強い営業の武器が誕生します。
お客様との約束は必ず守る営業パーソン。お客様からの信頼は抜群です。
1点、お客様との約束を守る上で見落としがちなポイントがあります。それは社内の関係部署の存在です。業種にもよりますが、一人で仕事が完結するケースは稀です。お客様との約束を守るためには関係部署の協力は欠かせません。社内の協力をもらえるように、日頃から準備を重ねましょう。
第一印象の重要性を認識する
人生の様々な場面で第一印象の重要性を感じている方は多いのではないでしょうか。学生生活でも就活の面談でも、そして営業の商談でも、第一印象にその後の人間関係は左右されます。ではなぜそこまで第一印象が大切なのか、2つの根拠を解説します。
ハロー効果
何かを評価しようとした際に、対象が持つ目立った特徴が全体の評価に影響を与える事をハロー効果と言います。これは特徴が良い場合も悪い場合もそれぞれ影響があり、前者をポジティブ・ハロー効果、後者をネガティブ・ハロー効果と呼びます(※「ハロー」は天使の輪の意。「後光効果」とも。)。
仮に営業パーソンの第一印象が、礼儀正しく元気で清潔感もあったとします。そうするとポジティブ・ハロー効果によって、仕事の出来栄えも期待してもらえるのです。
【ハロー効果の例】
・「旧帝大出身だから/一部上場企業から転職してきたから、彼は仕事ができるだろう」
・「◯◯社の商品だからきっといい商品に違いない」
・「◯◯のサイトで星3だからこのお店あんまり美味しくないんじゃない?」
これらは、提示する情報をコントロールすることで意図的に作り出せる心理的な効果です。
初頭効果
最初に与えられた印象が、後の印象にも強く影響を及ぼす現象を初頭効果と言います。つまり最初の印象がとても良い場合、その後もその印象は持続します。この初頭効果の影響は強く、少しぐらいミスがあったとしても良い印象は保たれます。
このハロー効果と初頭効果の影響力はそれぞれ絶大なのですが、この2つの効果は同時に発動します。第一印象で全てが決まると言いますが、それはあながち嘘ではありません。第一印象が良いだけで、その後のお客様との関係は著しく有利になります。
簡単に諦めない
営業シーンで、何かあるとすぐに諦めてはいませんか?諦めるのは簡単ですが、その瞬間に様々な可能性も閉ざしてしまいます。諦める理由を探すのは簡単です。商品に興味を持っていない、話が続かない、忙しいなど、次々に挙がるでしょう。
このような理由を正当化し、楽な道へと逃げてしまう。多くの営業パーソンが陥る落とし穴です。アメリカの調査会社によると、一度お客様に断れるとその時点で諦めてしまう営業は50%もいるそうです。さらに90%の営業は3度目のトライまでに諦めます。諦めてしまう営業がいかに多いか分かりますよね。
一方で諦めない営業パーソンもいます。残り10%の方がそうですよね。この調査結果には続きがあり、何と全体の営業の売り上げの80%はこの10%の営業パーソンが稼いでいるそうです。そんな諦めない営業パーソンにはどんな秘密があるのでしょうか。
諦める営業と諦めない営業、2者の違いの一つは、お客様の変化に敏感かどうかが挙げられます。石を投げれば水面が反応するように、お客様も営業トークの影響を受けます。そのわずかな変化を見逃さずに、次の手を考えます。粘り強く最後まで諦めない営業を目指しましょう。
商談だけが本番ではない
営業というと商談ばかりを重要視していませんか。たしかに商談は大切です。しかし商談にだけ注力し、他を疎かにするのは避けましょう。お客様との接点は他にも多くあるはずです。全てのチャンスを無駄にしないためのアクションを起こしましょう。
商談以外のお客様との接点にも気を配りましょう。もっとも代表的で重要なのが自社のWEBサイトです。インターネットが当たり前な今の世の中では、会社の名刺代わりとも言えます。このWEBサイトですが、お客様目線の親切な作りになっていますか。必要な情報に簡単に辿り着けますか。WEBサイトに問題を発見したらすぐに改善を社内で提案しましょう。
同様に商品の資料もお客様視点で作られているかチェックしましょう。商品の資料は、購入を決断する最後までお客様が参照されます。商品のイメージや詳細情報を再確認するため使用します。お客様の立場になって、資料の内容や構成を工夫しましょう。
あとはひたすら数をこなそう
スキルを身につけるためには、やはり愚直に数をこなし熟達するのが最も近道です。そのためには自身で商談をこなし、毎回の商談でのお客様の反応を見ながらトークを洗練させていくことが必要になります。
「基本」は、低レベルという意味ではありません。時代を超えて、どんなフェーズでもどんなトップ営業でも大切にするべきことだから基本なのです。
また、質にこだわったり工夫を重ねたりせずにただただ数を重ねるのも、あまり賢い方法とは言えません。世界的アスリートであるダルビッシュ投手もTwitterでこの様に発言しています。「練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ」。
どうせ同じ努力をするなら、正しい数を重ねましょう。
まとめ
商談で押さえておきたい営業の基本のポイントをご紹介しました。どれも意識してみれば基礎的なことではありますが、何より難しいのが継続することそのもの。キャリアを重ねても役に立つ大切なことばかりをご紹介しましたので、ぜひ何度も読み返して、1つずつ実践できることを増やしていってください。
最後に、大切なポイントをQ&A形式で振り返ります。
Q.営業が最初に身につけるべき基本は?
A.下記の3つを最初に身に付け、キャリアを重ねても大切にしましょう。
- 話を聴く力をつける
- 商品・サービスのメリットを説明できる
- しっかりクロージングできる
Q.スキルを磨くためには、何をすれば良い?
A.日常的に以下の3つを意識して行いましょう。
- 先輩・上司の商談に同行する
- 商談終わりに内容を振り返る
- 本やトップ営業の話を聞く
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