「営業」という言葉を聞いて、夏の暑い盛りに若手や中年の男性営業マンが汗を拭きながら各地を回る光景が想起される、いわゆる「営業」のイメージは根深いものがあります。
そうしたイメージと共に、時間的にも体力的にもきつい仕事であり、体育会系の男性たちが個人的な生活を犠牲にしてやるもの、というイメージも強いでしょう。
これでは、営業職が敬遠されることも当然です。
営業といえば、企業へ出向く外回り営業(フィールドセールス)を想像するでしょう。いわゆるコロナ禍がはじまってから1年、外出自粛や訪問拒否などさまざまなことがありましたが訪問文化はなくならず、外回り営業には移動がつきものです。
しかし、もし訪問せずとも、自社や従業員の自宅で営業を行えるようになったらどうなるでしょうか。移動に使っていた時間と体力を、商談や、商談の準備に使えるようになることでしょう。
さまざまな立場の従業員が、それぞれの知性と感性を使って営業活動に取り組むこともできるようになります。こんな理想的な未来を実現することはできるのでしょうか。
外回り営業はどうしても非効率です。2021年あらためて見えてきた、訪問しないで行う新しい営業について解説いたします。
外回り営業とそうでない営業
インターネットを使った営業活動が盛んになる以前から、テレアポやメール営業などの移動しない営業工程は存在するものの、やはり外回り営業を主流とする企業がほとんどでした。あらためて外回り営業、テレアポ営業、メール営業それぞれの営業手法の特徴を確認しましょう。
外回り営業(訪問営業)
企業を訪ねて行う営業を、「外回り営業」と呼びます。外回り営業は、訪問営業とも呼ばれ、長きに渡って主流とされている営業手法です。以前は、営業といえば外回り営業のことでした。ではここで、改めて営業が本来果たすべき役割を確認しましょう。
会社が存続・発展するためには、自社のサービスや商品を購入してくれる新しい顧客を獲得し続けなければなりません。法人企業の固有なニーズを解決するためには、様々な角度からの提案や調整が必要になります。
営業としての本来の役割は、商品・サービスの「提案」にあります。外回り営業の担当者は、問い合わせがあった顧客企業や、テレアポで獲得した顧客企業を訪問して営業活動を行います。
外回り営業は訪問しなければならないので、相手企業の担当者と時間を調整してアポイントを確定し、訪問先までの交通手段やスケジュールを立て、商談を実施します。
テレアポ営業(電話営業)
「テレアポ営業(電話営業)」とは、自社の商品やサービスに興味をもちそうな企業に電話をかけ、商品やサービスの説明をすることで興味を喚起し、詳しい相談をするための商談の約束(アポイントメント)を取り付ける活動です。
電話(テレフォン)でアポイントメントを取るので「テレアポ」と呼びます。>アポを取った上で提案する外回り営業に対し、テレアポ営業はアポ獲得&提案をします。
テレアポ営業は、外回り営業とは違ったスキルやマインドセットを必要とします。テレアポ営業と外回り営業を同一の営業担当者が行うと、どちらの業務にも集中できない結果になりがちです。
そこで今日、テレアポを代行業者に外注したり、社内でテレアポ担当者と訪問営業担当者を分業化したりする企業が増えてきました。(問い合わせ対応を含む)テレアポの部分だけアルバイトを雇う会社も多いですね。
メール営業
メール営業とは、テレアポ営業の電話の部分をメールで代替する手法です。顧客になりうる企業(見込み客)に対し、メールを使って営業文面を送信し、返信が来た企業に対して何らかのアプローチをするか、問い合わせの電話が来るのを待ちます。
テレアポ営業の場合、担当者が実施するので、相手企業のニーズを聞き出しながら商品やサービスを説明する、相互的なやり取りが可能ですが、メールは一方的になりがちです。そうしたデメリットがある一方、高度にシステム化することが可能なので、1回あたりの送信で多数の企業にアプローチできるメリットがあります。
メール営業で成果を出すためには、大量かつ定期的なメール送信が必要というわけです。
外回り営業でありがちなこと
次に、外回り営業でありがちな残念なことをいくつかご紹介します。外回り営業は「移動」がある以上、どうしても非効率にならざるを得ません。会社や従業員にとっても不都合が多いので、限定的に活用するべき営業手法といえます。
では、実際にどのようなことが起こっているのかをみていきましょう。
アポがなくて外でサボる社員が増える
外回り中の営業マンを完全に監視することはできません。だれも見ていないとなればサボりたくなるのは人の性です。喫茶店やファストフード店で携帯電話を見ながら時間をつぶしている営業パーソンを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
やる気のない営業パーソンは、今以上の営業成績を高めようとせず、会社の利益に貢献できません。そのため、営業部門の管理者ができるだけ状況把握しやすい体制を整える必要があるでしょう。
ルート営業が多くて飽きてしまう
ルート営業とは、すでに取引を行っている顧客を対象とした営業です。現状を把握し、現在提供している商品やサービスを調整するのが仕事です。ルート営業には、マンネリ化しやすい、形骸化しやすいという難点があります。
外回りのルート営業は、形だけのものになったり、サボってしまったりすることもありがちです。
身体的に疲れてしまう
訪問先への移動は意外に体力を消耗する行為です。日程の調整、先方との挨拶、経費の精算、運転など、だんだんと体力が奪われていきます。身体的に疲れてしまうことや業務時間が長いことが、結果的に営業のモチベーションが下がってしまいます。
そのため、企業は社員のモチベーション維持をするために、業務量削減や効率化を求められます。働き方改革が推進される中で、企業が最も重要視するべき課題ともいえるでしょう。
交通費が多くかかる
すべての営業先が徒歩圏内でもない限り、外回りの営業活動には交通費がかかります。売上が上がればその部分は当然の経費と思えますが、失注しても交通費は帰ってきません。例えば都内だけでの営業なら大した金額にはならないかもしれませんが、地方出張が多いとケタが変わります。
また、交通費を自己申告で精算する会社だと、乗り換えの差で生まれる数十円を毎日コツコツと稼ぎ、月々数千円をふところに入れる不届きな輩も……。もちろんこれはあくまでも一部の話ですが、実際の金額より多くの経費がかかっている事がある場合も見逃せません。
外回り営業の体験談
近年では外回り以外の営業方法が増えつつありますが、営業職として外回りを行う人は今でも多数存在します。実際の事例に基づいた体験談を2件ご紹介します。
せっかく遠方まで行ったのに…
「外回り営業では、自分が思うように成果を上げられないことがよくあります。時間をかけて遠方まで向かったのに、話す時間を長くとってもらえなかったり、相手から迷惑そうな顔をされてしまったりすることが珍しくありませんでした。
当然、契約がほとんど取れない日もあります。営業は根気よく取り組むべきだと理解はしていても、同じ状況が続くとつらく思えてしまいます。」
どんなときでも外回りをしなくてはいけない…
「歩いて外回り営業へ出るときは、夏や冬などの季節によって仕事の厳しさが変わってきます。暑い日や寒い日は外で過ごすことがつらいですが、もちろん営業は進める必要があります。
雨の日は傘で片手がふさがるので、資料が詰まったカバンを持ち運ぶだけでも大変です。アポイント先に移動するまでも大変で、長い距離を歩き回る日は商談が始まる時点で既に体力を消耗してしまいます。
朝から夕方までの外回りが終わった後も、業務報告や資料作成などのために帰社する必要がありました。作業が終わってから夜遅くに退勤することも珍しくなく、体力に自信がある人でなければ外回り営業は難しいように思います。」
外回り営業から新しい営業へ
外回り営業の最大の問題は、外回りそのもの、移動そのものです。移動時間や移動費を削減するために、リード獲得やアポ獲得をWebマーケティングを絡めて行う企業も増えております。
足を運んで地道に獲得する時代から、社内やWeb上での顧客獲得が当たり前の時代ともいえるでしょう。
外回り営業はもう古い
Webで簡潔に営業活動できる現代では、外回り営業は古く、昭和的な働き方ともいえるでしょう。外回り営業からいかに脱却するかどうかが、企業の売上向上のカギともいえます。外回り営業の場合、時間と体力が決め手となるので、若くて体力に自身のある営業パーソンが活躍できることから、適任人材が限られてしまいます。
そのため、現代の営業においては、マーケティング部門と密接に連携しつつ、顧客育成の各フェーズで適切なアクションを実行することが求められます。体力を使って訪問して通り一遍の商品提案を行う営業よりも、現代の営業に適応し、営業力に限らない様々なスキルを持った人材が活躍できるといえます。
外回り営業は社内メンバーとコミュニケーションが取りにくい
外回り営業の人は社外へ出ている時間が長く、特に取引先での振る舞いは社内から把握することが困難です。自宅から直行直帰である場合は出勤、退勤時間も自己申告になり、業務報告も翌日以降となるケースが珍しくありません。
外回りの営業職メンバーが社内にいるときは、アポ取りや資料の用意などで忙しい状況であり、社内の他メンバーとコミュニケーションをとりづらく、上手く連携することが困難になってしまっています。
たとえ営業に役立つ情報やトーク技能を見つけても、後輩や同僚に教える時間が取れずに共有できていない人は多くいます。情報を共有する慣習がなかったり、同僚にコツを教えたくなかったりという理由でも同じ問題が起こることがあります。
営業職は元々個人差が出やすい職種であり、部署内で連携が取れていないと業務スキルの属人化が余計に進む原因になります。部署同士の連携に関する問題を解消するには、社内メンバーと営業で適宜コミュニケーションを取るように業務システムを整えることが必要になります。
営業担当者が社外に出る時間を減らせるようにしたり、出先から業務報告を手軽に行えるシステムツールを導入したりすると、リアルタイムでのコミュニケーションが行いやすくなります。
営業を効率化するべき理由とは
営業成績は、獲得した成約数に比例して考えることができます。営業で成果を上げるためには、提案の質を向上し、商談件数を増やすことが重要といえます。
外回り営業の場合、1件の商談を実施するために、スケジュールの調整から移動まで、商談の中身と無関係な時間とコストがかかりすぎます。そのため、外回り以外の手段使って、営業を効率化することが必要になります。
もう外回り営業は必要ない?インサイドセールスとは
現代では様々な業種同様、営業職においても業務のデジタル化が進められています。営業効率を向上させることが主な目的ですが、近年になって外回り営業を敬遠する取引先が増えてきたのも背景にあります。
そんな中、急速に広がっている営業手法として「インサイドセールス」があります。業界によっては外回り営業よりも採用率が高く、適切に実践できれば多大なメリットを得られます。
インサイドセールスの概要
インサイドセールスとは、市場調査や既存顧客からの紹介などで事前に集めた見込み顧客に、主に非対面で営業を行う手法です。
主な連絡手段は電話、メール、DM、オンライン会議システムなど。取り扱う商品の種類・単価によっては、クロージングまで非対面で進めるケースもあります。営業を行う人が内勤である点がフィールドセールスとの大きな違いです。ただし、相手の要望があった場合などに、訪問営業を行うこともあります。
ちなみに、電話などで営業を行うということで混同されがちですが、インサイドセールスとテレアポは全く違うものなので注意が必要です。
テレアポは商談を獲得するための電話であり、営業活動の中のごく一部分に過ぎません。一方、インサイドセールスは営業手法全体を指す言葉であり、その手段として電話やメールなどを適切に選んで利用します。
また、それぞれの目的も異なります。テレアポは商談の獲得が目的ですが、インサイドセールスでは様々な手法を通してアプローチを重ね、最終的に契約を獲得することが目的になります。
メリット
自社内にいながら営業を行えるので、移動時間や交通費用を確実に低減することができます。節約できた移動時間は資料の準備や商談などに充てられるので、1日で行える営業、商談数を増やしやすい体制を整えられます。
インサイドセールスは営業や商談1件ごとにかかる平均時間が短く、営業を受ける相手が気軽に話を聞いてくれる確率が高い傾向があります。取り扱っている商品が比較的安価、もしくは定額制のオンラインサービスである場合などは非対面でもクロージングまで進めやすい傾向があります。
適切な形でインサイドセールスを実践すると、少ない人数で高い実績を出せるようになります。国内での人手不足が問題とされる現在、人員を増やさずに営業効率を上げていけることは大きなメリットです。
【営業のクロージングとは】成約率を上げる15のコツとプロセスを解説
効果的なインサイドセールスを行うには
インサイドセールスを効率良く行うには様々なポイントがありますが、ツールをうまく活用することが重要です。現在は多様なマーケティング自動化ツールが提供されているので、自社の目的に見合ったツールを選ぶことで営業効率を大幅に向上させられます。
例えばマーケティングオートメーションツールを活用すると、見込み顧客に対するメールによるアプローチ、開封やサイト訪問などの反応を分析して、関心度に合わせて次のアプローチを変化させることができます。
他にも顧客管理ツールを導入し、見込み顧客の情報を細かく記録しておくことで、見込み顧客に対してチームで対応可能な体制をつくる、といったことも効果的です。
インサイドセールスを軌道に乗せるためには、インサイドセールス部分だけ体制を万全にするのでは不十分です。マーケティングや管理体制の効率化・自動化など、マーケティング施策全体との適切な組み合わせが必要です。
インサイドセールスについてもっと詳しく知りたい方はこちら
【事例付き】基礎からわかるインサイドセールスとは?定義や社会背景、メリット・デメリットを徹底解説
オンライン営業システムなら外回り営業を減らせる!
では、どうすれば外回り営業依存をやめ、営業活動を効率化できるのでしょうか。その答えの1つは「オンライン営業システムの導入」です。国内No.1の導入実績をもつbellFace(ベルフェイス)の事例からご紹介します。
株式会社ROBOT PAYMENTの事例
株式会社ROBOT PAYMENTは、クレジットカード決済代行サービスROBOT PAYMENT(通称「ロボペイ」)を提供しています。決済手数料の安さ、業務の自動化、導入の簡単さ、会員管理ができることなどにより人気をあつめるサービスです。
当時、電話、メール、Faxしか通信手段がなかったため、訪問営業に頼らざるを得ないことが課題になっていた同社は、その他サービスも検討しましたが、メール交換したり、会議室をとったりと、事前に工数を割く必要がないbellFaceを導入することに決めました。
実際に使ってみると、カード会社の審査フォームに入力する作業を、「共有メモ機能」で一緒に見ながら行える点も重宝しています。訪問営業を減らし、お客様へのレスポンスを速められたことが、bellFaceの導入で得られた最大のメリットです。決済部門で導入に成功したbellFaceを今後請求管理部門などに横展開できればと考えています。
CKCネットワーク株式会社の事例
CKCネットワーク株式会社の主力事業は、小学生から高校生までを対象とするFaxやPCを利用した家庭学習指導で、「自学自習の習慣」を確実に身につけられる指導システムを提供しています。
現在同社は、契約いただいたお客様に対して、指導開始前にbellFaceを使って今後の指導の進め方を説明しています。保護者様とお子様に、資料や画面共有機能を使いながら説明する作業です。資料にマーカーを引いて大事なポイントを伝えています。
bellFaceは使い方がわかりやすいので、PCに強くない担当者でも簡単に説明することができます。指導のオンライン化は10年くらい前に始まりましたが、初期説明は全件訪問で行っていました。
毎月説明員一人当たり35~36件の説明を担当していましたが、カバーエリアが広く、移動に通常で1~2時間、遠いと3~4時間かかることが問題でした。
bellFaceを使うことで移動時間はなくなり、予定の確定も簡単になります。ガソリン代も大幅に減り、1台あたり5~6万円削減できました。説明件数を減らすことなく人員を半減させ、違う業務を担当してもらうこともできました。
お客様がパソコンになれていない主婦や学生なので、接続でつまずくとそこでアウトです。その点を考慮して、タブレット、スマートフォン、モバイルルーター、無線LANなど、お客様の環境を選ばないbellFaceに決めました。これまでシステムに接続する時点で30~40%に問題が発生していましたが、bellFaceの導入後、9割以上で説明が実施できています。
その他、画面共有や資料共有もいつも活用している機能です。今後は、bellFaceのノウハウを全国の支社に展開することを検討しています。
まとめ
以上、外回り営業の非効率性について解説しました。外回り営業をオンライン商談に切り替えれば、この問題を根本的に解決することができます。あるいは全体でなくても、例えばクロージング以外の業務をオンラインに置き換えても良いでしょう。
オンライン商談を行うためには、bellFaceのような専用ツールを欠かすことはできません。商談を効率化して、企業の売上向上を検討している方は、ぜひオンライン商談を検討してみてはいかがでしょうか。
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