電話営業文化のある企業、とりわけ金融業界や人材業界では離職率が高いと言われています。社員の離職率の高さは企業に大きなダメージをもたらすため、マネジメント側としては解決したい課題の1つでしょう。
本記事では、人を辞めさせないためのマネジメントについて解説します。離職率を低下させる方法や離職率の高さの理由・リスクなどについて記載しますので、電話営業文化のある企業のマネージャーの方は参考になれば幸いです。
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離職率を下げる方法
電話営業の成績が上がらない、モチベーションが上がらないなどさまざまな理由から離職を選択してしまう会社員は多いようです。社員の離職率を低下させるために、企業側はどのような対策をとれば良いでしょうか。ここでは、4つの対策をご紹介します。
商品・サービスの見直し
売上が上がらないのは、営業担当者の責任だと考えている方もいるのではないでしょうか。
確かに、売上拡大のために営業スキルは求められます。しかし、商材そのものに原因がある可能性も十分に考えられるでしょう。扱う商材そのものに原因があるにもかかわらず、売上の責任を押し付けられたら、ストレスで離職を選択する営業社員もいるかもしれません。
電話営業をおこなう社員の離職率を低下させるために、まずは商品やサービスの見直しが必要です。そもそも、需要がないものはいくら営業に力を入れても売れないでしょう。また、
- ターゲット選定
- 価格設定
- 他社に対する競争優位性の構築
などが適切か再度検討することも重要です。
社員の働きやすさ・待遇の見直し
厚生労働省が発表した「雇用動向調査結果」によると、離職理由に「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」ことを上げる人が多かったことがわかりました。そこで労働環境を改善した結果、離職率が改善した企業の例を見てみましょう。
サイボウズ株式会社はかつて「7K」と呼ばれるほどの労働条件で、離職する社員が多いことが課題でした。7Kとは、「きつい」「帰れない」「給料が安い」「規則が厳しい」「休暇がとれない」「化粧がのらない」「結婚できない」の7つの頭文字「K」をとった言葉です。離職率は28%まで上がり、売上も横這いが続くなどの影響が出てきました。
この課題を解決するために導入したのが「100人100通りの人事制度」です。「100人100通りの人事制度」は、社員一人ひとりの個性を重視し、望む働き方や報酬を実現させる人事制度です。この制度を利用すれば、
・月水木曜日は10時~17時まで出社
・火曜日は9時~17時まで在宅勤務
・金曜日は11時~20時まで遠方の実家でテレワーク
といったように、社員が置かれている状況に合わせて働き方を選択することが可能です。この制度が定着した結果、離職率を24%も減らすことに成功しました。
このように社員の働き方を見直すと、離職率を減らすことができるでしょう。また、業務に見合った待遇がなければ去っていく社員もいるので、待遇の見直しも重要です。
個人営業からチームでの営業に変更
電話営業のスキルは経験やポテンシャルによって左右されます。営業力がないまま時が経つと、売れないストレスに悩まされたりやりがいを見失うこともあるでしょう。そして、やがて離職率の上昇に繋がるかもしれません。
そこで重要となるのが、社員を育成するためのマネジメント力です。上長が適切なマネジメントをしていけば、社員の不足スキルの向上が見込まれます。
しかし、マネジメントが徹底していない企業も多いのではないでしょうか。そこで離職率の低下を改善させる対策として、マネジメントがしやすい「チーム型営業」の導入をおすすめします。チーム型営業とは、属人化された個人営業に代わり、顧客情報や商談の進捗状況などをチームで共有し、チーム内で適切なマネジメントをしながら受注を目指す営業スタイルのことです。
個人営業では、
- 誰が
- いつ
- どの顧客の
- どんな案件に対して
- どのようなアプローチをした
などの細かな情報がブラックボックス化されやすく、上長も適切なマネジメントがしにくいデメリットがあります。一方で、チーム型営業で顧客情報や営業活動情報などあらゆる情報を可視化して共有することで、上長も細やかなマネジメントをしやすくなるでしょう。
ここで、チーム型営業に注力している日本最高峰企業の1つ、株式会社キーエンスの成功事例をご紹介します。
キーエンスでは、昔から顧客情報や電話営業を含めた営業活動情報を細かく記録し、共有・蓄積してきました。その上で上長は営業担当者と頻繁に面談を設定し、次のアクションプランをアドバイスするなど細やかなマネジメントをおこなっています。
さらに、上長や先輩のアドバイスをきちんと実践できるかをチェックするために、商談ロールプレイングにも注力するなど、営業担当者の育成にも努めてきました。
このようなチーム型営業で適切なマネジメントを継続してきた結果、社内全体の営業力が強化されたのです。電話営業も含めた営業パーソンとしてのスキルが上がることで、売上拡大に繋がり、ストレスも減っていきます。結果として離職率の低下に繋がることが期待できるのです。
また、適切なマネジメントをおこなうことで上長と社員の信頼関係も育まれますから、離職を防止できる可能性が高まります。
成績を上げやすいしくみづくり
離職率を下げるためには、電話営業の成績を上げやすいしくみづくりも大切です。ここでは、効率的な電話営業や適切なマネジメントがしやすくなるツールをご紹介します。
CRM・SFAの活用
電話営業先の情報を管理するために、CRMツールを導入する企業が増えてきています。
「CRM」とは、電話営業先の
- 基本情報
- キーマンや競合先
- 取引先
など、顧客のあらゆる情報を蓄積するためのツールです。このような情報を蓄積・共有することで、最適なタイミングで電話営業ができたり、顧客に合ったアプローチ方法を選択することができるでしょう。
また、「SFA」とは営業支援システムを指し、営業活動を共有・分析するためのツールです。電話営業であれば、
- いつ
- 誰が(どの社員が)
- 誰と
- どのような会話をし
- 相手がどのような反応をしたか
などの情報を記録・蓄積していきます。これらの情報を分析することで顧客の潜在的ニーズを発掘し、商談に繋げる手がかりを発掘できるでしょう。
このように、CRMやSFAを活用することで電話営業の成績をあげやすいしくみをつくれます。
オンライン営業システムの活用
効果的な電話営業をしつつ、より適切なマネジメントをおこなう方法として、オンライン営業システムの活用もおすすめです。電話営業向けのオンラインシステム「bellFace(ベルフェイス)」を例にご紹介します。
効率的な電話営業
電話営業の場合、音声だけで情報を伝えるため相手の認識がズレてしまい、商材のメリットを伝えきれない難しさがあります。
そこで、電話営業からそのままURLを共有したりせずに繋げられるオンライン営業システムを使用すれば、電話営業で音声情報を伝えるとともに視覚的に情報を伝えることができ、効率的な営業が可能です。
適切なマネジメント
電話営業の内容を録音している企業もありますが、録音内容をマネジメントに活用している企業は多くないのではないでしょうか。電話営業内容を録画録音、さらにデータとして共有・分析できるオンライン営業システムの機能を使えば、個人に対してもチームに対しても、より適切なマネジメントが可能となるでしょう。
もちろん、部下の言った・言わない問題や重要事項の説明など、確実に伝えた記録を残しておきたい事柄に使うことも可能です。
このように、オンライン営業システムを活用することで効率的な電話営業ができ、マネジメントも徹底できるため、電話営業の成績をあげやすくなります。
電話営業組織の離職率が高い理由
電話営業組織における離職率の改善方法についてお伝えしてきましたが、そもそも電話営業組織はなぜ離職率が高いのでしょうか。
さまざまな理由がありますが、根本的な問題として経営層が電話営業組織を追い込んでいるため、と考えられます。
電話営業の多くは、新規顧客開拓を目的としています。電話営業先と信頼関係がない地点からスタートするため、一連の営業活動の中でも難易度が高いと言われています。
電話営業で断られ続けることで、営業担当者が精神的に追い詰められることもあるかもしれません。ノルマが高く設定されているケースもあるでしょう。
ところで「ノルマ=目標」を設定するにあたり、以下のプロセスを踏むことが望ましいと言われています。
- 自社全体の適切な売上目標の設定
- 目標達成のための組織・役割・マネジメント体制の構築
- 部署ごとのKPIの設定
- 電話営業担当の目標を決定
前段階の会社の目標設定や組織・役割づくりが不十分にもかかわらず、電話営業担当の目標ばかりに目を向け根性論をぶつけていないでしょうか。売上の責任追求=マネジメントではないことを再認識しましょう。このような状態が続けば、営業担当者は疲弊してしまい、やがては離職率の上昇に繋がるかもしれません。
電話営業社員の離職率を下げるために、経営層が会社全体を科学的な方法でマネジメントしたうえで、適切なアプローチを選択していく必要があるでしょう。
離職率の高さを放置するリスク
離職率が高いままだと、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは、4つのリスクを解説します。
売上の低下
離職率の高さを放置する1つ目のリスクは、売上への影響です。経験がある優秀な電話営業社員の離職は、売上の低下に直結します。
しかも優秀な社員の離職は、単純に稼ぎ頭がいなくなるだけにとどまりません。離職した人が同業他社に再就職した場合、ライバル企業がより驚異的な存在になるリスクもあるのです。
採用コスト・教育コストの無駄
離職率の高さを放置する2つ目のリスクは、採用コスト・教育コストがのしかかってくることです。
電話営業を担当する社員が離職すると、新たな人員を補充しなければなりません。新たな人材を採用することで、人材募集の広告料の支払い・人材紹介企業への支払いなど採用のためのコストが発生します。
また、「離職率が高い企業」と社会で認識されると、キツイのではないか、職場環境が悪いのではないかと憶測が飛び、求職者から敬遠されるかもしれません。採用が難航することで時間がかかるとさらにコストが増すとともに、採用担当者が別の業務に充てるはずだった時間を無駄に費やしてしまうことになります。
新たな人材が確保できたとしても、次は教育コストがかかるでしょう。新たな社員を一からマネジメントすることでリーダーの負担も増えます。
このように、電話営業社員の離職率が高いと、離職率が低ければ発生しない無駄なコストを支払うことになるのです。
技術・ノウハウを伝承しづらい
離職率の高さを放置する3つ目のリスクは、自社の技術・ノウハウを伝承しづらくなることです。
リーダーは日々のマネジメントを通して技術やノウハウを伝承していますが、社員の入れ替えが頻繁に起こると自社の技術やノウハウは蓄積しにくくなります。技術やノウハウを持っている人が減ると、生産性の低下に繋がりかねません。
さらに部下が頻繁に退職することで、マネジメント側のモチベーションが低下することも考えられます。
また、せっかく技術やノウハウを伝承した社員が離職することで、そのノウハウが他社で生かされてしまうリスクもあるでしょう。
社内の空気が悪くなり、さらなる離職につながる
離職率の高さを放置する4つ目のリスクは、離職の連鎖です。
退職者が出ることで人手不足となり、残った社員の仕事量が増えるでしょう。そのため、社員の残業時間が増えたり、上長自身の業務量も増えてマネジメントが行き届かなくなる可能性があります。
前述しましたが、労働条件・環境が悪いことを理由に退職を決意する人は多いため、さらに離職率を高めることになりかねません。最悪の場合、人手不足で企業が倒産するリスクもあります。帝国データバンクが実施した「人手不足倒産に関する動向調査結果」によると、人手不足による倒産は年々増加傾向にあります。
このように離職率の高さを放置すると、ゆくゆくは企業経営に影響が出るリスクすら考えられるのです。
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Q&A
電話営業組織の離職率を下げる方法とマネジメントの重要性について解説しました。最後に、本記事の内容をQ&A形式で振り返りましょう。
Q.電話営業組織の離職率が高い理由とは?
A.さまざまな理由が考えられますが、経営層が電話営業組織を追い込んでいることが根本的な原因として挙げられます。
Q.離職率が高いことで考えられるリスクとは?
A.以下の4つのリスクが考えられます。
- 売上の低下に繋がる
- 無駄な採用コスト・教育コストがかかる
- 技術・ノウハウを伝承しづらい
- 社内の空気が悪くなり、離職連鎖が起こる
Q.離職率を低下させる方法は?
A.扱う商材のマーケットについて再度調査し、適切なマーケティングを行うことが重要です。また、社員の負担を減らすために働き方改革をおこなったり、待遇を見直す必要もあるでしょう。
電話営業の手法の面では、個人営業からチーム型営業に切り替え、きめ細やかなマネジメントをすることが望ましいです。そのためにCRMやSFA、オンライン営業システムなどを導入して、電話営業の成績を上げやすい仕組みづくりも必要でしょう。
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