細かい営業テクニック以外で、個々人の営業数字を伸ばすためのアドバイスはありませんか?
これは少し広すぎる質問ですが、具体的な営業話法のようなテクニック以外で他に何を心がけたらいいのか、悩んでいる営業担当の方も多いようです。そして悩んでいるということは、今現在目標としている営業数字を上げられていないということでしょう。
魔法のようにいきなり営業数字を上げられるというような裏技はもちろんありませんが、若手セールスであれば磨いておいた方が良いポイント、熟練の営業担当であれば改めて思い出すべきポイントがあるのは事実です。
これを心がけておくか、いないかで結果的に営業数字に大きな違いが出てくるでしょう。そこで本日は「営業数字を上げるために意識すべき3つのポイント」をご紹介します。
声のトーン/熱意のバランス
声のトーン(声色)は電話で商品を売る上では大変重要です。我々はみんな人間ですので、常に元気ハツラツとしていて、幸せで、誰かの頼りになるような状態でいるというのはほぼ不可能です。しかし営業という戦場においてそんなことは言い訳になりません。
一度職場の扉を開け電話を取ると、闘いの始まりです。関係ない他のことは全て脇へ置いておき、あなたの声のトーンと熱意のスイッチを入れることを忘れないでください。
※ただし、もし個人的なことが気になって本当に仕事にならないようであれば、上司にお願いしてそちらをまずなんとかした方が良いでしょう。何事においても家族や健康第一です。自分自身の面倒を見れないようであれば、家族の面倒も見られるわけありませんからね。
電話量/会話時間
B2Bインサイドセールスにおける営業電話の量と会話時間の最適な目安は一日60件と(もしくは)3時間です。もしこの両方の基準において下回っているようであれば、よりアウトプットの量、つまり電話をかける量を増やせば自ずと利益が出始めるでしょう。
ある日は40件しか電話ができなかったとしても、その日合計3時間の会話時間を持てているようであれば何も問題はありません。また別の日は60件の電話をかけられたものの、1時間半ほどしか会話時間を持てなかったということもあるでしょう。ただやはりこちらも問題ありません。結果として上手く帳尻が合うようになっているのです。
しかし一日に40件、かつたった2時間の会話時間しか持てていなかったとしたら、それはまだあなたの集中力が足りていないということです。電話をかけること以外で今やっている別の業務を止めるか、「電話が億劫…」という精神状態を克服するかのどちらかが必要となってきます。
自分自身で素早く考える
電話営業とは常に動きが激しく可変的です。だからこそ、顧客が予期せぬ変化球を投げてきた場合どう対処すべきなのか知っておくことと同じくらい、基本となる営業プロセスを持っておくことが重要です。
限られた短い時間枠の中でこの基本営業トークに沿って話を進め、相手の質問にも的確に回答できるようにしておくことは必須です。営業電話で自分が沈黙をしていては全く意味がありません。会話の中の「えぇと…」というような「無駄な間」はなくし、交渉を次の段階へと進めるためには迅速な決断をできるようにしなければいけません。
その方法は、あたなが今どの営業プロセスにいて次のアクションが何なのかを把握しておき、そして顧客がなぜ次のプロセスに進もうとしないのか会話の中から分析することができるようになることです。例えば…
例:昔よくお世話になっていた顧客に電話営業。あなたの営業導入トークが終わった後に彼らがこう言ったとします。
「いえ、申し訳ございませんが、これより先は検討するつもりはありませんので。」
質問:彼らが「ノー」と言ったのには3つの理由があります。さて、それら3つの理由とは何でしょうか?
答え:それは、あなたの商品/サービスが
⑴「必要がない」
⑵「気に入らない/理解できない」
⑶「価格が高い」
のどれかだからです。
これが先ほど「基本となる営業プロセス」について述べた時に伝えたかったことです。従うべき営業プロセスを備えている人は、「前に進めるためにはこれら3つの理由のうちどれか1つが対処される必要があるのだな」とすぐに気がつきます。
迅速に考えるということは、これら3つの事柄のうちどれか1つが直接の原因の可能性があるため、まずは判別が必要であるということを認識しておくということです。そしてそれらを判別するためにはどんな回答をすべきなのかも瞬時に考えつかなくてはいけません。
しかし3つのうちのどれかが必ず理由であると分かっておくだけで、その回答パターンも事前に用意できるでしょう。そしてこれらの判別がつけば、あとはそれに続く営業プロセスに乗せて話を進めゴールへ近づけていくのみです。
備えあれば憂いなしとはまさにこのことです。
営業は断られてからが始まり!5つの断り文句突破の切り返しトーク術
売上に影響する数字を細分化して考えよう
漠然と掲げられた売上の目標値に対して、ただ闇雲に取り組んでいても売上ノルマを達成することはできません。売上ノルマを達成するためには、最終目標である売上に繋がる各種指標の数字を意識して、適切に管理する必要があります。ここでは目標となる数字の設定と管理の方法について説明します。
目標値から逆算して細分化
売上をクリアする1番の近道は、目標値から逆算して各数値目標を細分化することです。最終的な目標となる売上の数字を上げるためには、どのような指標を意識すればいいのでしょうか。ここでは、新規獲得時に意識すべき5つの指標について解説します。
受注数
売上を大きく左右するのは受注数ですが、受注数を決定する前にまずは平均単価を算出しましょう。たとえば、1ヶ月の売上目標が150万円で、契約1件あたりの売上が平均して約50万円だとすると、目標達成のためには1ヵ月に3件の成約が必要ということになります。なお、商品やサービスが複数ある場合は、どの商材を何件販売するのかを決めます。
また、受注に至った取引の中には、キャンセルや解約となるケースも一定数存在しますので、キャンセル率を考慮したうえで売上をカバーできる受注数を設定するようにしましょう。
アポ数(商談化数)
商談した件数がそのまま受注に繋がるわけではありません。したがって、過去の実績で成約率がおよそ30%なのであれば、月3件の成約を獲得するためには最低でも月10件の商談を行う必要があります。
また、1回の商談で成約に至るケースばかりではありませんので、平均何回の商談で成約に至っているのか、商談回数ごとの失注率、商談から受注に至るまでの期間を考慮してアポ数を設定します。
アプローチ数
アプローチ数は、根拠もなく目標値を決めて達成すれば良いというわけではありません。テレアポやメルアポからアポイントに繋がる割合が10%だとすると、月10件の商談を行うには最低でも100件のアプローチが必要です。また、アプローチに対するクリックや返信などの反応率や、商談から受注に至った割合なども考慮してアプローチ目標数を定めると、より精度の高い目標になります。
さらに、1ヶ月の稼働時間から1日あたりのアプローチも併せて設定しておくと、進捗管理がしやすいでしょう。
リスト数
リストとはアプローチをかける候補企業のリストを指します。このリストの企業数が少ないと新規獲得の営業活動をスムーズに行うことができません。最低限必要なリスト数については、リスト数に対して毎月どのくらいの受注を獲得できているかを目安として設定しましょう。
なお、ただリスト数を集めても確度の高いアプローチを行うことはできません。過去の実績から自社のターゲットとなる顧客層を分析し、ニーズのある業種や会社規模を定めてリストを作成しましょう。
適度な負荷の目標を設定
営業で自分の最大の成果を出すためには、設定する目標が高すぎても低すぎてもいけません。到底達成できないように思える高い目標に対してはモチベーションを維持するのが困難になりますし、反対に簡単に達成できるほど目標が低いと、努力してスキルや業績を伸ばすチャンスを失ってしまいます。
自分にとって適度な負荷の目標を設定、管理するためにはやはり目標の細分化が役に立ちます。目標を細分化して日々振り返ることで、現在自分が何を達成できているのか、何が課題となっているのかを正しく把握し、自分が次に目指すべき適切な目標を設定していくことができます。
先ほどの例では、ひと月に3件の成約という目標の達成のためには1月に10件以上の提案が必要でした。ここでは、今月の目標数である10件以上の提案を既に行えていて、受注確度の高い案件も十分にあるという場面を想定してみましょう。
このとき「これでもう今月の目標は達成できる」と満足してしまうのではなく、今自分が抱えている各案件の進捗状況に目を向けてみることが重要です。
たとえば今月分は受注確度の高い案件は十分にあるものの、これから商談を控えており来月以降の契約に結び付く顧客の案件数は少ないという状況だったとします。
目標を細分化しておけば、このままでは来月以降のノルマを達成するのが困難になり、より多くの新規顧客を獲得するためにアプローチ数を増やす必要があることに気が付くことができます。
目標値は1日単位で細分化しよう
大きな目標から逆算して「テレアポ25件」のような1日の目標が設定できたら、さらに目標を達成するための行動目標を立てると良いでしょう。具体的な作業内容や所要時間などを明確にし、行動を細分化してToDoリストなどに落とし込んでおくことで1日の計画をより明確に把握できます。
また、1日単位で細分化した目標値を設定して結果を日々蓄積していくことで、日々の仕事を即時に分析することができます。毎日の目標と結果は、長いスパンの目標と結果に比べて、より具体的でリアルな数字の指標と実績となります。
たとえば、ある1日の目標が達成できなかった場合に、過去の結果を振り返り比較することで、この目標値に無理がないか、あるいは今の行動目標に無駄がないかといった検証をすぐに行うことができます。
ただ目標を達成することを目指すのではなく、その過程や結果を具体的な数字として残し、定期的に振り返って課題を把握し、改善を繰り返すことで業績の向上に繋がる適切な目標を作り上げることが可能になるのです。
目標達成状況を常にモニタリング
営業活動を効果的にするためには、設定した目標をしっかりと管理することが特に重要です。細分化した各種目標とその結果の数字は全て記録し、常に達成状況をチェックできるようにしておきましょう。
データは膨大なものとなるため、毎日の行動と結果を入力して集計できるSalesforceなどのツールを利用して管理するのがおすすめです。記録された各種進捗状況をチェックして営業部門全体で共有できるようにしておくことで、自分や他のメンバーが売上という目標達成に至るまでの道筋が裏付けのある形で可視化できます。
また、設定した目標に対して、リアルタイムで進捗状況が分かり、分析も簡単に行うことができるため、業務の効率を飛躍的に高めることができます。
営業活動は大きな目標を設定したら終わりではありません。大きな目標を具体的な行動目標にまで落とし込むことで日々の業務でやるべきことを明確にし、行動結果をしっかりと記録、管理する必要があります。
また、常に進捗状況を振り返って分析を重ねることで、よりブラッシュアップされた現実味のある目標に近づけていくことが大切です。この一連のサイクルを繰り返し回すことが、営業成績を上げるためには必要不可欠です。