紹介営業(近年では「リファラル営業」とも)とは、コネクションのある人物や企業から営業先を紹介してもらうことを指します。
飛び込み営業が営業の原点であるとするならば、紹介営業は積み上げた営業による信頼関係構築の証といえます。営業先との信頼関係が生まれてくることで、紹介営業につながるのです。
人海戦術でテレアポを必死に頑張ったり、大きな予算と体力を使って大規模展示会に出展してリード獲得をしたりしなくても見込み顧客が獲得できたら、営業職にとって非常に魅力的な話だといえます。
そこで考えられるのが紹介営業です。顧客や自社内などいくつかのルートが考えられますが、紹介を依頼する場合にはただ「紹介をしてください」と投げかけるのでなく、「同じような悩みを持った方はいませんか」など具体的に聞くことが必要です。
いまの顧客や人脈から効率よく紹介を得られれば良いことずくめに思われますが、既存のお客様から新規のお客様の紹介をしてもらうにはリスクが伴います。
当記事では、そのリスクと既存顧客の負担を軽減しつつ、新規顧客を紹介してもらう方法をご紹介します。
紹介をもらう際にやってはいけないこと
紹介営業をしてもらう際に、気を付けなければならないポイントがあります。
営業先を紹介してもらうという性質上、紹介元の信頼を失墜することは避けなければなりません。そして、信頼関係があるからこそ紹介営業が成り立つため、先方の顔に泥を塗るような真似はできません。
- 信頼関係ができていない状態での紹介依頼
- ターゲットが曖昧
- 紹介内容が明文化されていない
信頼が大切という大前提がある中で、やってはいけないことをこの3つの項目に分けてまとめました。
信頼関係ができていない状態での紹介依頼
そもそも、紹介元との信頼関係がまだ構築されていない状況での紹介依頼は避けなければなりません。信頼関係が構築されていないのに、営業先を紹介して欲しいと頼んでも、まず紹介には結び付かないでしょう。
紹介営業先の獲得という目的が達成できないだけではなく、「この人は紹介が目当てなのだ」と誤解され、先方に悪印象を与えてしまう可能性もあります。
あくまでも紹介営業は、信頼関係の元に商材を気に入ってくれた場合や、営業担当に好意を抱いてくれた場合に成り立ちます。信頼関係ができていない状況から、焦って紹介を求めることはやめておいた方が無難です。
また営業は、ただ手をこまねいていれば営業先を紹介してもらえるわけではありません。たしかに紹介先がないか聞き出すことも重要ですが、最も大切なことは「この営業パーソンならぜひ紹介したい!」と思ってもらえるようになることです。
そのためには、日頃から誠実な対応で的確な提案を行うなど、営業職として最も基礎的なことをコツコツとクリアしていく必要があるのです。
ターゲットが曖昧
ただ漠然と紹介をしてもらって営業をするだけでは、せっかく紹介してもらえても商談がまとまらず、せっかくのチャンスをものにできない可能性があります。チャンスを無駄にしないためには、あらかじめターゲットを明確にしておくようにしましょう。
明確にしておくべき要件は、課題や業種などの商材のニーズに合致しそうな企業の条件と、紹介先の人物像です。
まず、企業の条件をあらかじめ絞っておくことで、全くニーズのない企業を紹介される事態を回避できます。せっかく紹介してもらっても、そもそも相手先に商材のニーズが合致していないと、商談は無駄となってしまいます。
また、相手も「紹介元はなぜうちを紹介したのだろう?」と疑問に思い、紹介者の印象が悪くなってしまう可能性もあるでしょう。
企業の条件と人物像を明確に伝えることは、紹介を依頼した相手にとっても紹介先を選定しやすく、実際にアクションを起こしてもらいやすくなるというメリットもあります。
紹介内容が明文化されていない
信頼があるからこそ、紹介依頼をする際にはどのような方法で紹介をしてもらいたいかということは明確にしておきましょう。
これが明確でないと、紹介者に紹介文や商材の説明を考えさせる手間を取らせてしまいます。前もってチラシなどを用意して配布しておくなどの対策を講じて、紹介者に負担をかけさせないように努めましょう。
紹介営業のメリット
紹介営業の最大のメリットは、成約率の高さです。
紹介先が「〇〇さんが信頼している営業担当さん」という印象を持たれた状態で臨めるので、飛び込み営業と比較した時の成約率は雲泥の差です。信頼がある状態から始まる営業は話も聞いてもらいやすく、商談も進めやすいでしょう。
他にも紹介営業のメリットとして挙げられるのは、価格で比較されにくい点です。紹介先は価格よりも信頼に重きをおいて検討してくれるため、同業他社と価格で比較される可能性が低いのです。
紹介先が、決定を下す最終的なポイントは多くありますが、自分の贔屓にしている人物や企業からの紹介というのは、決定を下す際の非常に大きなポイントのひとつです。
通常の比較検討方法と決定的に異なるのは、価格や営業他社との比較をするという段階を超えて、次のステップから商談に臨めるという点です。
特に、大企業よりも、中小企業やベンチャー企業系の方が、社員同士で誰が何をやっているかが把握できていることも多いため、紹介してもらえる可能性が大きいでしょう。
そのため、中小企業やベンチャー企業が顧客にいる場合は、積極的に紹介営業のチャンスを狙いましょう。
紹介営業におけるリスク
「紹介営業」と聞くと、どうしても「誰かを紹介してくれませんか?」と直接聞く方法をイメージしてしまいます。しかしこの方法はおすすめできません。なぜならこの質問は、まずお客様との間に信頼関係が構築できていなければ、効果を発揮しないものだからです。
それは相手の立場に立ってみると容易に想像できるはず。仮にもしお客様が紹介してくださったとしても、あなたのことを知らない状態で、紹介された新規顧客は必ずしも見込みが高いお客様とは限りません。
あなたと顧客との相性がいいことと、顧客が相性のいい知人を判別できるかどうかは別ものであり、その判別には時間を要するのです。
紹介営業のコツは、相手のためになる情報を提供し続けること
また「紹介してください」という相談は、既存顧客にとって負担になることを理解しておく必要があります。一度でもこの相談をされると、既存のお客様はあなたと連絡をとるとき、必ず紹介のことが頭によぎります。
毎回の電話やメールでそのことが頭によぎれば、心理的負担にもなりかねません。やがてメールや電話をもらうのも億劫になってしまいます。仮にお客様を紹介をいただけたとしても、プレッシャーをかけていることを忘れてはいけません。
基本的に紹介営業で最も効果的な方法は、とにかく相手のためになる情報を提供し続けることです。なぜなら既存のお客様が「これは良い!」と思えば、自分と同じ境遇の人にも教えたくなるからです。
不思議なことに相手のためになることをし続けていれば、自然と向こうからこちらを求めてくれるようになるものなんですね。近年いろいろなところで「giveが大事」と言われるのはこのためです。まずは「相手のためになる情報を提供し続けること」を意識してみましょう。
紹介営業で効果的に顧客を生む方法
それでは上記の内容を踏まえた上で、既存顧客との信頼関係を失うことなく、見込みある紹介リードを生むためには、どのような方法が良いのでしょうか?上手く紹介営業で顧客を得るための、効果的な方法を紹介していきます。
オンラインセミナーを開催する
まずはあなたの顧客の問題解決のために、20分ほどのオンラインセミナーを企画しましょう。「ウェビナー(ウェブセミナー)」とも呼ばれますが、オンライン上で人を集め、オンライン上でセミナーを開催することです。もちろんオンライン上でのイベントなので人数制限がなく、多くの人数にアピールできます。
ただこのオンラインセミナーは会社の紹介が目的でも、あなたが扱う商材の実演のためでもありません。お客様が抱えている問題を取り上げ、観ている人にそれをどうやって解決するのかを伝えるのです。
そうすることで、お客様から「常に役立つ情報を提供してくれる会社だ」という信頼を得ましょう。
メールに仕事をさせる
20分ほどの「問題解決」ウェブセミナーが作れたら、次はあなたのリスト上にある顧客にメールを送り、そのセミナーに招待しましょう。また本セミナーについての情報を、他のビジネス先の方やfacebookの繋がりにも転送するよう、依頼の一文を加えることも大切です。
本情報をTwitter上で「ツイート」するよう、依頼してみても良いでしょう。もしウェブセミナーのタイトルがターゲット顧客に魅力的に映れば、新たなリードを作ることができるはず。しかもたった一つのEメール戦法だけでです。
社内にもチャンスがある
紹介営業は、社外にばかりチャンスが眠っているわけではありません。社内にも紹介営業につながる人脈を持った社員がいるケースも多いです。社内のメンバーが全員ライバルとは限らず、営業をする商材が異なる場合はお互いに助け合うことで売上目標を達成することができるでしょう。
社内の紹介営業のチャンスを成果に結び付けるためには、自社の同僚や先輩、後輩などと関係を築いておくことが大切です。また、闇雲に紹介先がないか聞くよりも、事前に接点を持ちたい社名をリストアップしておくと、相手も紹介しやすいでしょう。
社内でも常にアンテナを張っておくということが、営業成績の向上にもつながってきます。
まとめ
既存のお客様から「お客様を紹介してください」と伝えるのは簡単で、あなた自身はあまり工数がかかりません。しかし先方にとってそれは大きな心理的負担。そこに信頼関係がなければ決して成立しません。
だからこそまずは、先方にとって役に立つ情報を提供し続けること。顧客と良好な関係を築けている営業担当こそ、ついつい楽な方向へ進みがちですが、最終的に得られる結果を考えると、地道に関係性を築いていくことが良いのです。
これからは「誰か紹介してください」の代わりに、これらの手法で新規顧客を獲得していきましょう!