今、営業の現場は大きく変わろうとしています。勘と根性(もしくはノリと気合いとパッション)でノルマを達成してきた営業から、テクノロジーと科学の力で目標達成を狙うセールステックが台頭しています。
営業の現場で最先端のデジタル技術を導入するようになった背景には、訪問営業の限界と効率的でクオリティの高いセールスを目指す企業の思惑があります。
この記事では、会社経営を維持・発展させるために必要な「売り上げ目標達成」までにすべきことと、最新営業サポートツールを活用した、スマートな営業活動についてご紹介していきます。
営業職が数字(売上)を上げるためにすべきこと5つ
会社のトップが安定した経営を行うために、営業職に対して常にノルマを課します。
そのノルマを達成するために、営業職は徹底した売上目標の管理、アクション後の課題抽出、案件管理、従業員のモチベーション維持・向上、営業工数の見切りなど、積極的に進めていく必要があります。
- 営業売上目標を管理し逆算して日々の行動に落とす
- アクション後(特に失注後)の課題抽出
- 各案件のステータス管理
- 組織のモチベーションを保つ
- 営業工数に対する見切りも重要
それでは、順を追ってご紹介します。
営業売上目標を管理し逆算して日々の行動に落とす
営業の売上目標が未達成に終わってしまうのには、営業活動の管理不足が要因の一つとして挙げられます。営業活動の新規顧客への訪問数、成約数、リピート率など細かく分けた数値を可視化し、売上目標を営業部全体共有することが大切です。
また、売上目標の管理で大切なことは、目標を細分化することです。最終的な結果目標を「年間売上高1億円」と設定し、この目標を達成するためにどんな行動をとればいいのか、逆算していきます。「新規訪問数」「提案数」を増やす、その次に「月次・週次・日次」と期間を分解します。
こうすることで、自分が今日何をすればいいのか?具体的なイメージが湧いてきます。これも売上目標の管理の一つです。
アクション後(特に失注後)の課題抽出
顧客とのやり取りで出てきた課題を営業部全体で話し合う機会をつくりましょう。業務フローを進めていく過程で、誤ったコンタクトをしていないか、より効果的なアプローチの方法があったのではないかと、商談破談後に気づくことがあるのではないでしょうか?
そこで、一つのアクションが終了したら、すぐに課題の抽出を行いましょう。ここで大切なのは、早急に対応が必要か否かの判断です。営業活動に支障をきたすようなら優先的に対応しましょう。迅速な対応により、素早く次の一手に策を講じることが可能です。
各案件のステータス管理
従来の営業活動では、自分が担当する営業案件の始まりから終わりまでを自己完結することが一般的でした。営業パーソンが一人で案件を遂行していくことには、部下を連れて経験を積ませることが手間であること、一人で営業した方が素早く成約まで取り付けられることが理由にあります。
しかし、それでは若手社員がいつまで経っても経験を積むことができないだけでなく、業務の「属人化」により営業担当者が体調を崩した場合、案件内容が他の営業パーソンに共有できていないことで、営業そのものが停滞し破談に終わる可能性が危惧されます。
このような状況を防ぐため、案件のフェーズごとに担当者と商品、契約予定日といった基本情報を可視化することが重要です。
例えば、ある案件が1週間、1ヵ月進展が見られなかった場合、視覚的に進捗状況を確認することができます。また、プロセスを可視化することで初回訪問からクロージングまで担当者ごとに分析、改善しようと施策するようになります。案件のステータスを可視化し管理することで、営業活動の運用をスムーズに行うことが可能です。
組織のモチベーションを保つ
営業パーソンは「生活費を稼ぐためしょうがなく仕事をしている」、「上司が決めた目標設定に従って営業活動をこなしている」と、業務を受動的に行なっていることが多いです。従業員のモチベーションが下がれば、営業活動の質が落ち、その結果売上目標が未達成に終わります。このような状況が続けば仕事に対しての嫌悪感から、離職する従業員が出てきてしまいます。
米国において経営学(マネジメント)の発明者と呼ばれる、ピーター・ドラッカーが提唱した、目標管理「MBO(Management by objectives)」があります。これは、セールス本人が主体となって自ら目標設定を行うことで、当事者意識を植え付けさせるためのマネジメント手法です。
自分で設定した目標をクリアしたとき、達成感に満ち溢れ営業パーソンのモチベーションが上がります。仕事を「やらされている」という受け身な姿勢から、能動的に仕事をしている充実感を得ることで営業効率の向上が期待されています。
営業工数に対する見切りも重要
営業で売上を伸ばしていくために、営業活動の質の向上だけに目を向けていてはいけません。時には、営業プロセスそのものを見直す必要があります。いくら電話やメールで営業をしていても、時間と労力だけがかかってしまい結果が出ないことがほとんどです。
そこで、営業プロセスを見直し、リード客を精査した上で、大きな商談になる可能性があるかどうかを見極めましょう。そのためには、膨大な顧客情報の収集をする必要があります。
情報収集を通じて顧客課題を探ることで、本当に自社の商品・サービスを必要としているのかを慎重に調査することで、大きな工数をかけずに商談まで進めることができます。売上を上げるためには、見込み客になるかどうかを早期に判断し、見切りをつけ、大きな商談になる可能性を秘めているリードへアプローチしていきましょう。
営業職は数字(売上)を突き詰める専門職
企業には、社内で働く従業員を管理する「人事職」、会社の利益や資産などお金の管理を行う「経理職」、社内のあらゆる業務を行う「総務職」などがあります。
会社の商品やサービスは、「開発・製造部門」が行います。しかし、どれだけ素晴らしい商品を開発したとしても、お客様に営業しなければ売上につなげることはできません。そこで、企業と顧客をつなぐ「営業職」が輝くのです。自社の商品やサービスのセールスポイントを顧客にアピールし制約に結びつけ、会社に売上と利益をもたらします。
また営業職は、会社の名刺のような役割を担っています。お客様と密に接する機会が多い営業職は、企業の顔として活躍しています。営業担当者の対応一つで会社の印象や顧客満足度が決まるため、お客様のニーズや抱えている不満を汲み取る能力が営業担当者に求められます。
一般職のように扱われることの多い営業職ですが、実際は専門家であり、営業部門は職能集団です。今や、全ての企業が会社の存続・発展のために自社内に営業部門を設置しています。あらゆる企業にとって営業職は、市場のシェア確保、会社規模の拡大のため、欠かせない存在となっています。
営業職が数字(売上)を追うための必須ツール
企業にとっての営業職の必要性、役割をお伝えしてきました。近年、デジタル技術発展によるロボットなどの導入により、オフィスワークの負担が徐々に軽くなってきています。営業職においても、デジタルツールの活用で効率的な営業活動を実現することが可能です。
ここでは、今注目を集めているのデジタルツールをご紹介していきます。
SFA/CRM
SFAは、案件や商談の管理、他メンバーの営業活動の履歴を記録できる、営業力強化ツールです。日本では、「営業支援システム」と呼ばれることが多く、”SFA”=「Salesforce Automation(セールスフォースオートメーション、直訳:自動化された営業部隊)」の略です。
SFAは、最新のテクノロジーを駆使し、営業活動の生産性を高めることを目的に開発されました。SFAの機能の一つにある「営業の活動履歴の管理」を行うことで、他の営業メンバーがToDoやカレンダー、日報などに活動履歴や案件・商談の進捗状況を記録・管理でき、優秀なメンバーの営業活動をリアルタイムで閲覧することが可能です。
このように営業活動を可視化し、営業部全体に共有することで、メンバーの営業スキル向上が期待できます。
一方CRMは、消費者一人一人のニーズに合わせた商品・サービス提供の新たなビジネスモデルとして開発されました。CRMの主な役割は、顧客に合った商品やサービスを提供することです。
CRMの主な機能である、顧客データベースの管理機能・顧客サポート機能・プロモーション機能で、顧客データの年齢・性別などの顧客情報をグループごとに管理し、顧客とのやり取り履歴を保存することができます。CRMは、データの活用により顧客情報管理を徹底し、とことん顧客の視点に立つことにこだわったシステムです。
各種チャットツール
近年、「ビジネスチャット」という言葉が飛び交うようになりました。SlackやMicrosoft Teamsに代表されるビジネスチャットでは、パソコンがあればメールと同じように業務伝達や社内情報の報告をすることができますが、メールとの一番の違いは「情報伝達の速さ」です。
ビジネスチャットは、皆さんが身近に使っている「LINE」のように、手軽に扱えるメリットがあります。メールを使ったお客様とのやり取りでは、時候の挨拶や宛先、件名を入力してから本文に入ることがマナーとして日本のビジネス社会に定着しています。
ビジネスチャットの導入により、このような作業を省略化し、即座に要件からコミュニケーションを図ることが可能です。ビジネスチャットは、顧客とのコミュニケーションの場を迅速に作り上げ、スピード感ある営業活動を進めていくことができます。
人材ビジネスのような1to1コミュニケーションが求められる業界では、Facebook Messengerなどもよく使われていますね。
Web会議/オンライン営業ツール(システム)
コロナ禍において必須のWeb会議システムには、据え置き型の専用会議設備やネットワーク環境といった、複雑な設定は一切必要ありません。インターネット回線がつながったパソコンやスマートフォンのタブレット端末があれば、時間・場所に拘束されることなく低コストで簡単に導入することができます。
遠方の取引先とインターネットを通じて映像・音声のやり取り、資料の共有など多彩な機能を駆使し、自社内で商談を行なうことが可能です。
また、Web会議ツールと役割は同じですが、そこに営業にまつわる便利機能とSalesforce等との連携機能、さらにオンライン営業をやること自体につまづいてしまうことがないように整ったサポート体制がついてくるのが、オンライン営業ツールです。
営業チーム内での業務上の伝達事項や営業活動の情報共有など、社内コミュニケーションをより効果的に行なえるためWeb会議システムは2020年を通じて完全に市民権を得たといえます。電話やメールでは相手の表情を読み取ることはできません。Web会議システムでは、お互いの顔を見ることができるので、まるで対面で会話しているような感覚が味わえます。
さらに、訪問営業に比べて社員の素早いスキルアップが見込めます。自社内での営業活動では、移動コストが無い分、若手社員が多くの商談数をこなすことが可能です。商談回数が少なければ、上司から商談に関してのフィードバックを受ける機会があまりありません。
しかし、商談回数が多くなればなるほど、フィードバックを受ける回数が増え、商談の質を上げることが可能です。
会社内の情報共有の迅速化によるワークスタイル変革、取引先とのコミュニケーションの活性化など、さまざまなシーンで効果が期待できるのがWeb会議システムの最大のメリットです。
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まとめ・Q&A
近年、営業活動の現場ではアウトサイドセールス(訪問営業)を営業スタイルとしている企業は国内外を見渡しても少なくなってきました。その原因には、テクノロジーの発展による革新的な営業システム活用の恒常化にあります。
インサイドセールスによる営業スタイルを確立し、目標達成に向かって効率的に営業活動を行うためにも各種ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Q.営業が売上を上げるためにすべきことは?
A.まずは、営業売上目標を管理して、ゴールから逆算して日々の行動に落としこんでいきましょう。案件プロセスを細部まで見える化し、共有したりフィードバックをし合ったりして、優先順位など精度を高めていきます。また、あなたがチームのリーダーやマネージャーなどのポジションにいるなら、組織のモチベーションを保つことに気を配るのも重要な役割です。
Q.成果を追うために使えるツールはある?
A.顧客管理や営業活動の可視化にCRMやSFAツール、顧客対応の迅速化・効率化にビジネスチャットツールやWeb会議/オンライン営業ツール(システム)があります。機能・価格はピンキリですが、自社に合ったツールを選べば問題ありません。ツールの選び方が難しいと思う方は、下記2つ目のリンクを参考にしてください。
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