【営業のDX】今こそ営業部門のデジタル化に取り組むべき理由

営業のDXは、業務のデジタル化と業務効率化を図る取り組みと思われがちです。しかし、単にセールステックやWebマーケティングを導入しただけでは営業のDX化を実現したとは言えません。

顧客との接点をもつ営業部門には戦略上重要なデータが蓄積されています。このデータを有効活用できる体制へと刷新することが、営業部門のデジタル化を進める理由であり、DX化を推進しなければならない理由です。

従来は「空気感」や「あうんの呼吸」でうまくいっていた営業も、ビジネスそのものがデジタル化していくにあたり、業務プロセスや責任の所在などを(困難をともないますが)明確にしなくては先へ進めません。

この記事では、営業のDXについて詳しく解説します。

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そもそもDXとは

そもそもDXとは
DX(デジタル・トランスフォーメーション)は「ITを活用したデジタル技術で、人々の暮らしをあらゆる方向で良いものに変化させる」という概念、またはその取り組みです。ビジネスにおいては、「IT技術を応用してビジネスモデルや組織制度を改革し、競争化社会で優位性を確立すること」と定義されています。

DXは単なる業務のIT化・デジタル化ではなく、それらを手段として活用することや、データの価値に重きを置いたビジネスモデルへの変革が目的です。

また、人材不足や旧来の基幹システムを運用し続けることによって、2025年以降におよそ12兆円も経済損失が生じる、とされる「25年の崖問題」を解決する手段として、DXの迅速な推進が求められています。

経産省のDXレポートから読み解く本当に企業が取り組まなければならないデジタル革命とは

営業部門のDX化に取り組むべき理由

営業部門のDX化に取り組むべき理由
DXを推し進める「手段」だったはずのデジタル化が「目的」になっている企業は少なくありません。オンライン商談システムなどのセールステックを導入したにも関わらず、業務に定着しないパターンはDXの目的と理由を間違えて認識している可能性が高いです。

ここからは、営業部門がDXにとり組む目的と理由について解説します。

営業におけるDXとは

結論から述べると、「個人の勘と経験で支えられてきた営業スタイルから脱却し、高度に共有・分析されたデータを基盤に組織的に営業プロセスを再構築、新しい価値を創出すること」が営業におけるDXです。

従来から続く、「テレアポはとにかく数」「営業は足で稼ぐ」といった営業手法は、既に過去の方法論だという意識改革が重要です。営業のDXによってもたらされる新しい価値は、新規ビジネスの創出のみならず、データ分析による既存ビジネスの再評価や業務効率化による労働生産性の向上なども含まれます。

では、各セールステックを導入してDXを推進し、営業プロセスや組織体制に変革を起こせば、どのような場合でも新たな価値の創出や組織変革が実現可能なのか、というと、答えは「困難である」と言わざるを得ません。

しかし、新たな価値の創出や組織変革だけがDXの本質ではないことも忘れてはなりません。セールステックの活用によって起こる、営業プロセスの効率化や既存ビジネスの再評価、営業部門全体でのスキル・ノウハウの標準化なども、DXによるメリットです。

たとえば、営業における具体的なDXの例として挙げられるのが、オンラインで営業活動を実施する「インサイドセールス」です。2020年初頭から感染拡大した新型コロナウイルスの影響で、展示会やイベント、そして商談がオンライン化したことはご存知の通りでしょう。

コロナ禍のような環境要因に左右されることなく、営業から成約までオンラインで実現可能なインサイドセールスは、新しい価値そのものであり、営業におけるDXのひとつの可能性として捉えることができます。

営業部門がDX化に取り組むべき理由

特にBtoBのビジネスモデルでは、今後オンラインを中心とした非対面での営業活動が主流になることは避けられません。現在は多くの企業が「テレワーク」という働き方に移行していることもあり、オンライン化は今後も加速度的に進むはずです。

2020年4月に発令された緊急事態宣言中の外出自粛期間に急速に普及したテレワークですが、宣言解除後も継続して取り組む企業が多く見受けられました。

総合人材サービスのアデコの調査によると、緊急事態宣言下でテレワークを実施した企業のおよそ8割が半年後もテレワークを継続していることがわかっています。この調査結果では「ほぼ強制的にスタートした企業が多いテレワークだが、オフィスにいるときと同等のパフォーマンスを発揮できることを経験した企業がテレワークを継続する傾向が見られる」という見解を示しています。

多くの企業は「オンライン上でどのようにして自社製品やサービスを顧客へ発信するか、どのように営業活動へとつなげていくか」という今後のビジネスの課題を解決する手段として、セールステックを活用した業務プロセス再構築に積極的に取り組んでいます。

COVID-19危機に対する日本のB2B意思決定者の対応に関する米マッキンゼーの調査によると、コロナ後に担当者と直接対話して購入する形態を望んでいるは2~4割であると報告されています。つまり残り6~8割の大多数は非対面を望んでおり、セールステックの重要性が窺えます。

新型コロナウイルスの感染拡大で半ば強制的に始まったテレワークですが、多くの企業がその成果の高さを実感したのは紛れもない事実です。の継続が予想されている昨今においては、セールステックを活用したオンライン商談の活用へと組織的に変革していかなければなりません。

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営業部門においてDX化に取り組む際のポイント

営業部門においてDX化に取り組む際のポイント
DXによってビジネスモデルを変革するためには、DXが単なるIT化・業務のデジタル化ではない、と認識することが最重要ポイントです。この認識を念頭に置きつつ、DX化に取り組む具体的なポイントをご紹介します。

業務フローや評価制度を同時に見直す

セールステックを導入すると、案件毎の売上情報などは入力されるものの、営業フローに関する情報が軽視されてしまい、情報が十分に活用されないケースがあります。

これは、過程よりも結果に重きを置く評価制度のままであることが原因です。評価制度が従来のままでは、営業パーソン(営業社員一人ひとり)が営業フローの情報を入力するメリットはほとんど無いと言って良いでしょう。

営業部門にセールステックを導入する際には、業務フローを定量的に把握する評価制度を取り入れることが重要です。案件毎の情報のみならず、業務フローにおける行動を共有・管理し、このデータ評価システムと紐付けます。

こうすることによって、定性評価に偏る傾向にあった個々の行動に対する評価を、定量的に評価することが可能になります。そして、蓄積された情報を活用することでPDCAサイクルを構築する、といった効果をもたらします。

つまり営業のDX、デジタル化のコツは「ビジネスの文書化」にあるといえます。

定量的に把握・整理するには、空気感(カジュアルに言えば「ノリと気合とパッション」)で解決してきた事柄を言語化し、誰の責任においてどの範囲の仕事をするのかを明確にしなければいけません。

社内/社外を問わず非対面で仕事をすることが当たり前のようにある2021年以降のビジネスにおいて、「(言わなくても)誰かがうまいことやっておいてくれる」といった甘い期待は、遠からず「競合他社に大きな遅れをとる」という形でマネジメントに深刻な危機感をもたらすことになります。

データに基づく戦略構築に切り替える

営業戦略では、マーケティングからクロージングまで、セールステックに集積されたデータをもとにした一気通貫の営業フローへと変革することがポイントです。つまり、従来の高いスキルを持った営業パーソンが、経験と勘で顧客の求める商品を最適な条件・タイミングで提案してきたことを、部門全体で再現するのです。

営業部門のDXは、このスキル・能力をデータ化し、その情報を部門内の全ての営業パーソンに共有させることができます。経験の浅い人材でも、データを使って効率的に実績を獲得することが可能となります。

データに基づく営業戦略の成果を最大化するためには、営業部門とインサイドセールス部門が密に連携することが必要不可欠です。マーケティングから引き継いだ見込み顧客へとターゲットを絞り込んだ営業活動は、数で勝負してきた過去の営業スタイルとは比較にならないほど高い成果を実現します。

DXレポートの活用

2020年12月、経済産業省が、デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2』」を取りまとめた、と公表しました。

なかでも、「企業の経営・戦略の変革の方向性」の項目は注目すべきポイントでしょう。DXを推進するには経営トップのリーダーシップが重要で、企業変革していくうえでのファーストステップとなることが示されています。

この項目では、「超短期」に取り組むアクションとして、DXの認知・理解、セールステック等のシステム導入がとりあげられています。「短期対応」のアクションとしては、DX推進体制の整備・戦略の策定・進捗状況の把握、「長期的対応」については、産業変革のさらなる加速・デジタルプラットフォームの形成・人材の確保といったアクションが紹介されています。

内容
超短期アクション DXの認知・理解、セールステック等のシステム導入
短期対応アクション DX推進体制の整備、戦略の策定、進捗状況の把握
長期的対応 産業変革のさらなる加速・デジタルプラットフォームの形成・人材の確保

これらの項目では、DXの推進がセールステックやソリューションの導入で終わらせずに、データを正しく集積・分析・共有して新たな施策を検討・実行することの重要性が再確認されています。

営業部門におけるDX化の例

営業部門におけるDX化の例
DX化における業務フローの変化は大きいので、メリットや目的をしっかりと理解しておかなければ、現場を混乱させる恐れがあります。

ここからは営業部門における具体的なDX推進の方法と成功事例についてご紹介します。

営業コンテンツの拡充

Webマーケティングやインサイドセールスにおいて営業活動を支える存在が「営業コンテンツ」です。

営業コンテンツはWebサイト上で製品やサービスの詳細を掲載したり、ホワイトペーパー・活用事例集などを提供したりするものです。有益なコンテンツをWebを通じて提供することによって、見込み顧客の育成や顧客情報を獲得することが目的です。こうした営業スタイルは、「インバウンド型」や「プル型」営業と呼ばれ、自社に関心度の高い見込み顧客の流入を増加させる狙いがあります。

営業コンテンツの中でも特に重要度が高いとされているのが、課題解決事例に関するコンテンツです。Webサイトを能動的に訪れる見込み顧客には「自社の課題解決に役立つ事例を資料としてまとめて見たい」「自社ビジネスでのリスク排除のために成功事例を参考にしたい」というニーズがあります。

ある企業が資料請求や電話問い合わせなどのコンバージョンに到達した経路を解析したところ、活用事例・成功事例コンテンツが大きく貢献している結果が示されたそうです。

そして、営業コンテンツに活かせる情報・ノウハウが蓄積されているのは営業部門です。顧客とコンタクトを担う部門である営業部門には、見込み顧客の課題解決に必要な情報が蓄積されているはずでしょう。

DXの推進によってこれらのデータを掘り起こすことで、営業コンテンツを拡充させることが可能になります。

オンライン商談の導入

業務フロー改革のひとつとして「オンライン商談」を取り入れ、営業の成果を向上させることに成功した企業は多く存在しています。

オンライン商談の最大のメリットは「営業の標準化」を実現できる点です。従来の営業スタイルは個々人のスキルに依存したり属人化したりしやすいため、部門全体で見たときにどうしても提案の品質や受注率にばらつきが出てしまいます。

そこで、DXでの営業フロー改革のひとつとして取り上げられているのが、「分業型営業」という方法です。分業型営業では営業パーソンが最も成果を発揮できる営業セクションを担当します。電話営業/アポイントメントの獲得・商談・クロージングなどに担当を分け、時間を割くべき顧客に時間を割くことで成果向上が見込めます。

ある人材関連事業を手掛ける企業では、オンライン商談システムでの営業活動で1日6件以上もの商談を実現し、受注率も訪問営業をおこなっていた時よりも高い成果を得ていました。

インサイドセールスの導入によって1日当たりの商談数が増加したことにより、営業パーソンの成長速度も飛躍的に成長したといいます。訪問営業では業績が振るわなかった営業パーソンは、オンライン商談で数をこなすことで営業スキルが向上し、約1.5ヶ月後にはインサイドセールスのトップセールスを達成するまでに成長しました。

この事例から、オンライン商談の導入によって営業の標準化を早期に達成し、営業部門全体のスキルを向上させることが実現可能であることが読み取れるでしょう。

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セールスイネーブルメント

営業部門の組織としての改善と強化に関する総合的な取り組みを「セールスイネーブルメント」と呼びます。アメリカ発祥の概念で、セールスフォース・ドットコム、アマゾン、マイクロソフトなどが導入したことで有名です。

これらの企業はマーケティングと営業の一気通貫した連携を実現することによって、競合他社以上の価値を創出し、高い成果を上げたことで高い注目を集めました。

セールスイネーブルメントはセールステックに蓄積されたあらゆるデータを活用することで、その成果を発揮します。MAやSFAなどのデータを分析・検討することにより、施策毎・営業パーソン毎の成果に対する貢献度が算出できます。

さらにラーニング・トレーニングを通じて、部門内で営業コンテンツやスキルを共有することによって、営業パーソンのスキル・ノウハウのブラックボックス化や属人化を防止します。成果につながるスキルを、企業が保有する資産のひとつと捉えれば、そのスキルは個人ではなく部門全体で共有した方が価値があります。

そのためには、営業パーソンのスキルをデータ化して正しく評価・定義する必要があり、その評価体制を構築する意味でもDXは速やかに実施されなければならないでしょう。

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Q&A

最後にこの記事の内容をQ&A形式で振り返ってみましょう。

Q.営業におけるDXとは?

A.数と足で稼ぐ営業スタイルから脱却するために、蓄積されたデータをもとにして営業フローを再構築し、新たな価値を創出することが目的となります。データ分析による既存ビジネスの再評価や業務効率化による労働生産性の向上などが期待できます。

Q.営業部門がDX化に取り組むべき理由とは?

A.多くの企業にテレワークという働き方が急速に浸透したことによって、営業部門は速やかにインサイドセールスへと移行し、DXを推進することが求められます。仮にDXが進まなければ、機会損失が増加し、売上などに影響が直結する可能性もあります。

Q.営業部門がDX化に取り組む際のポイントには何があるか?

A.単に業務をデジタル化・IT化するだけではDXは成り立ちません。DX化によってセールステックに蓄積されたデータを分析・活用し、効率的に営業活動の成果を向上させる意識付けが重要です。

Q.営業部門のDX化としてどのようなことができるか?

A.オンライン商談システムなどを活用することで、従来の営業スタイルよりも飛躍的に営業効率・生産性を向上させ、さらに、営業部門全体のスキルの標準化も実現できるでしょう。

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