インサイドセールス2年目の実態~俺たちの失敗を越えてゆけ!知っておくべき先人の経験を大解剖、実践者が語るノウハウ

bellFace(ベルフェイス)は、WEB会議システムはもちろん、商談を録音/録画したり、そのデータをもとにデジタルマネジメントしたりすることができる、営業に特化したオンラインソリューションだ。とにかく簡単に安心して接続できるがウリのWEB商談ツールを提供するベンチャー企業。

一方のSalesforce.com(セールスフォース・ドットコム)は1999年に創業した米サンフランシスコの世界的企業。171億ドル(2020年度)の安定した事業基盤があり、顧客と企業の間の全体最適を行うCRM(顧客管理)システムを提供する。

そんな2社が出会って数年、2020年7月からアプリ(AppExchange)パートナーとして協業している。単にAPIとして相互に連携できるようになっているだけではなく、営業×テクノロジーの先に共通する世界観を描いているという。

全10回の対談のうち、第2回では同じくインサイドセールスを取り入れているビズリーチ社も交え、インサイドセールス2年目の実態についてご紹介します。

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※本記事は2020年12月17日に開催されたウェビナーレポートのテキスト版です。本コンテンツを動画でご覧になりたい方はこちら

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茂野 明彦
株式会社ビズリーチ HRMOS事業部 インサイドセールス部 部長
兼 BizReach 創業者ファンド パートナー

2012年、株式会社セールスフォース・ドットコムに⼊社。グローバルで初のインサイドセールス企画トレーニング部⾨を⽴ち上げると同時に、アジア太平洋地域のトレーニング体制構築⽀援を実施。2016年、株式会社ビズリーチ⼊社後、インサイドセールス部⾨の⽴ち上げ、ビジネスマーケティング部部⻑を経て、現在はHRMOS事業部インサイドセールス部部⻑を務める。インサイドセールスに関する連載記事の執筆を⾏うほか、インサイドセールスカンファレンスを企画するなどインサイドセールスの認知向上、発展に貢献している。著書に「インサイドセールス–訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド-(翔泳社)」

三平 久喜
株式会社セールスフォース・ドットコム
セールスディベロップメント本部
コマーシャル事業部 事業部長

日系ITベンダーを経て、2012年に株式会社セールスフォース・ドットコムに入社。入社後は約6年間、関東エリアを中心に中堅・中小企業の営業担当として、CRM領域を中心に多くの課題解決提案、及び導入支援プロジェクトを経験。セールスディベロップメント本部にてマネージャーを経験後、2020年2月より現職。

岩田 恭行
ベルフェイス株式会社
グロースビジネスグループ
セールスディビジョン ゼネラルマネージャー

リクルートでIT製品情報メディアの広告営業からキャリアをスタートし、営業マネジメント業務を経験したのち、セールスフォース・ドットコムにてSFA・CRM を提案するインサイドセールスとフィールドセールス に従事。その後、BtoBセールス&マーケティングのコンサルティング会社の立ち上げに参画し、執行役員 兼 コンサルタントとしてさまざまなプロジェクトを担当。2019年12月より現職。

インサイドセールス2年目の現状と課題感

インサイドセールスの2年目は、拡大路線になることが多い。

  • チームの規模拡大
  • 予算アップ
  • マーケティング部門・セールス部門との連携
  • オペレーション構築

このような話が新たに出てくるため、インサイドセールスとしての設計難易度は上がっていく。

量が増えれば、変数は必然的に増えていく。組織が拡大しインサイドセールスの人数が増えても、見込み客が純増できるわけではないし、たとえ増やせたとしてもクオリティが一定にはならない。

電話のアポ取りは無限ではなく、対象マーケットには限界がある。マーケティングも集客経路を広げる必要が出てくるというわけだ。

このような状況に応じて本来は予算設計や計画の修正が必要になってくるが、その変数を正しくとらえきれずに1年目と同じ感覚でやっていると大事故に繋がりやすい。

では、変数の増加に対してどのように管理を行なっていけばよいのだろうか。

三平久喜の写真
三平氏:
まずはマーケットの中での自社のポジショニングを考えたときに、正しく変数を捉え、実力値はどこなのかを把握して目線を置くことが大切です。そして、そこに対して都度軌道修正ができれば組織は間違いなくプラスの方向に成長します。

ただし、転換率は数値だけでは判断できない。

例えばアポから商談へ70%繋がった場合と80%繋がった場合。一見、80%の方が成果が高そうだが、そうとも限らない。80%へ数値が上がった背景に、インサイドセールスが可能性を絞り、読みを固くしているケースが考えられるからだ。その場合、さらに挑戦して件数を増やすべきという判断を下すことになる。

単純に数値の大小で比較するのではなく、背景を理解したうえで細かくチューニングする必要がある。転換率の設定では、成約数から逆算し各転換のポイントをどの程度の推移で繋げていくのかということが重要だ。

では、どの程度の推移が望ましいのか。どの程度を目安とすべきなのだろうか。

岩田恭行の写真
岩田:
推移率の分母と分子に何を設定するかはある程度決まっていますが、「推移率はこれです!」と数値で言えるような単純なものでもありません。弊社では「どういう手法(チャネル)で取った数値なのか」と「顧客のセグメント(業種)」の掛け合わせで考えており、この2つをマーケティング部隊が実績値から割り出して、ストレッチした目標をおいています。

組織間のコミュニケーション・連携

次に、インサイドセールスと他部署との組織間連携を強化するには何をしたら良いのだろうか。

茂野氏は、「とにかく上のレイヤー同士がコミュニケーションを取ることが重要」だと話す。連携の成否は、インサイドセールスとフィールドセールスの責任者がどれ程コミュニケーションを取れているかに尽きると言えるだろう。

しかし、連携の良し悪しは何で判断できるのだろうか。

茂野明彦の写真
茂野氏:
判断基準は、双方の施策が共有されているかどうかです。施策の背景まで伝わっていることがベストですね。

もちろん、1度だけでは意味がない。分断してしまうと組織間に認識のギャップが生まれるため、継続的に行うことが大切だ。

ギャップが生まれてもすぐにコミュニケーションが取れればいいが、放置していると不満や不信が溜まっていき、組織の連携が悪化する。

そもそもギャップを生み出す理由の多くはコミュニケーション不全だ。各部門が非常に複雑なことをおこないながら、外部環境は日々変化し、顧客によっても状況が変わる。その複雑さの中で物事をシンプルに伝えようとし過ぎた結果、ギャップが生まれる。整理できていないものは整理できていないまま、その状態を正しく伝えることが大切だ。

その為にも定期的なミーティングを行い、どれだけ定性的な情報を伝える時間を増やせるかが鍵となる。定量で出せるものは常にデータを共有しておくだけで良く、むしろそこから何が得られたのか、という定性的な情報をもとにしたコミュニケーションの時間を増やすことで、ギャップは解消される。

ベルフェイスの岩田はインサイドセールスとフィールドセールスの両方をマネジメントする立場にある。2つの部署間のギャップを埋める為の施策として成功もあれば、失敗もあった。

岩田恭行の写真
岩田:
インサイドセールスのKPIとして、当初は「アポイント数」のみをミッションにしていましたが、途中から半分を「自分が作った商談が受注したか」に据え直しました。自分の接したお客さまに思いをはせて欲しいという願いと、ある意味フィールドセールス側へのプレッシャーも含めて設定したミッションでしたが、これは成功しましたね。

目標設定のポイントは、達成するときも外すときも、2つの部署が一心同体であるという状況をいかに作るかを考えることだという。受注の際、フィールドセールスばかりがフォーカスされがちだ。そこで「その案件を繋げたのは●●さんです!」と組織長やフィールドセールス側が褒める。ソフト面でのフォローが必要だ。

数字を上げていくためのポイント

現状の資源で成果を最大化させるという観点で毎年数字を達成していくためには、量と質を行ったりきたりすることだ。まずは量を増やし、その中から勝ち筋を見つけて質を高める。

そして質を高めた状態でさらに量を増やす。この振り子を組織長がどれだけ大きく振れるかが数字を上げていけるかを左右する。

岩田:
まさにこの「量と質」について茂野さんに相談したことがあります。弊社のインサイドセールスが量に偏った組織になっていたので、量を思いきり減らしてミッションを「商談数」から「自分のお客様から何%商談を創出し、売れるか」に変更しました。結果的に量が劇的に減少したのですぐに戻しましたが、その経験を経たことで案件の質が自然と上がったんです。「質を上げなくては」という意識がメンバーに植えつけられたのだと思います。

上がったものはどこかで必ず推進力が減少して落ちてしまう。ずっと右肩上がりの状態で一番上まで上がり、その後減衰したものを元に戻すのは非常にパワーを要する。成長する組織に必要なのは非連続な成長、つまり波打ちながら上がっていく状態だ。

茂野明彦の写真
茂野氏:
少しずつ凹みながら上がっていると、何回でも上がれるんですよね。岩田さんの場合でも、一度凹んではいますがそのあと量と質で上がれています。こういう状況をどれだけ意図的に作れるのかが重要で、これには組織長の覚悟が必要です。

1to1のコミュニケーション設計

「営業電話=テレアポ部隊」という意識を持つ人や組織は少なくない。意識を変えるためにはどうすればよいのか。

例えば営業レターひとつ取っても、営業先のことをよく調べ、よく考え、一通一通作って送るものは商談の獲得率も高くなる。

一方で、定型文でカスタマイズもないものでは、たとえ後追いDMを送っても、認知されるものの相手の心を動かすことはできない。

大切なのはそこにどのようなコミュニケーションを設計し、1to1コミュニケーションを作れるのかで、手法がどうかというよりも、そこに目的や設計がなされているかどうかが重要だ。それがなければ、営業電話であれ営業レターであれ、単なるフロー型のコミュニケーションになってしまう。

3年目以降になってから2年目を振り返ってみて

2年目を乗り越え3年目を迎えることができたからこそ見えるものもある。

例えばベルフェイスでは、状況に応じてコントロールできるような雇用形態を取っていなかった。正社員の採用を主として規模を拡大してきたが、コロナ禍での劇的変化の中では、柔軟な雇用形態で人材を確保するという選択肢もあったはずだと反省しているという。

三平久喜の写真
三平氏:
マーケティングに関するスキルアップを個人としても組織としてももっとやっておくべきだったなと思います。インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスの間を繋ぐ役割だと考えると、マーケティング側の視点も持つべきだと感じており、今トライしている状況です。

Salesforceでは、マネージャー含め、マーケティング×インサイドセールスでバーチャルプロジェクトチームを作り、施策の目的や背景を共有する場を意識的に作っている。また、企画意図や目的をしっかり伝えるためのフォロー方法の充実や、逆にインサイドセールスからフィードバックができるサイクルを、デジタル上で仕組み化しているのだ。

一方、ビズリーチでは反省点として毎年基盤を作り替えるべきという結論に達した。インサイドセールスの完成形は「変化に強いこと」だが、前後のプロセスや市場の状況に合わせていつでも変化できる状態にしておくことが前提となる。
茂野明彦の写真
茂野氏:
常に変化し続けることを前提として、日頃から作ったりやめたりを繰り返しておくことで組織として変化に強くなります。そして設定するKPIは少しずつ奥に置き直していくことが必要です。架電数の次は商談数、その次は商談化数で売上で……といった感じですね。

ゴールを奥に置くことで戦術の幅も増える。組織の成長に合わせて、KPIやKGIはより奥に設定していくべきだろう。メンバーとはビジョンだけを握りつつそこに至る道筋は一緒に考えいくのも、1つの道だ。

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インサイドセールスにおける教育のポイント

インサイドセールスはどうしても成長を実感しづらい。そこで、インサイドセールスにおける教育では、メンバー1人1人がマーケティング意識を持つこと、持てるように教育することがポイントだ。

そのためには、まずは成長を可視化することだ。例えば数字が上がった場合に、なぜそうなったのか、どんなスキルが上がったから成果が出たのか、ということを分解・可視化してフィードバックすることが重要になってくる。

また、データを蓄積・分析し、ファクトに基づいたアドバイスをすることも忘れてはならない。現在はテクノロジーも進化しているため、それが可能な環境は整っている。

さらに、目先の数字だけではなく、部署を超えて購買の仕方やカスタマージャーニーの認識を合わせることも大切だ。上流から下流までどんなメッセージで貫くのか、その中で自身は何を担うのか、という視点で考えられるようになるからだ。顧客視点を養い、変化を意識できなければならない。

では、肝心の「可視化」はどこまですべきか。
三平久喜の写真
三平氏:
「机上で学べるもの」と「実務でやるもの」は綺麗に分けています。「机上で学べるもの」では、お客さまへアプローチする上での表現や情報収集の仕方まで、型化できるものは極力まとめてオンライン講座にしています。ただ「知る」と「できる」は全く違うため、知識を得た後は「実務でやるもの」としてモニタリングやロールプレイを週1〜3回チェックしながらスキル習得を目指しています。

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インサイドセールス組織のマネジメントにおいて大切なこと

マネージャーはマネジメントを実行する上で、論理と感情のバランスの重要性を知っておくべきだろう。

マネージャーに変化する姿勢がなければ、メンバーも当然変化しない。マネージャー陣が変わっていくという姿勢を見せ続けることが大切だ。顧客のため・事業のためであれば、際限なく変化できることがマネージャーには特に求められる。

また、インサイドセールスには確固たる信念とモチベーションコントロールが必要だ。「今後のキャリアを示す」「市場価値を示す」というソフト面でのコミュニケーションもないがしろにしてはならない。

もちろん、メンバーに期待するということも大切だ。数字だけではなくテクニックや能力でも、「人に期待する」というのは非常に重要なマネジメントスキルだ。

そして自分たちは何者なのかというビジョンを、メンバーと一緒に考える機会を持つべきだろう。ビジョンをしっかり示し、その上でメンバーに期待していれば、揺るがない組織を構築することができるはずだ。

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