『お互いが語る協業の先に見据える世界観』セールスフォース×ベルフェイスで何が起きるのか?

bellFace(ベルフェイス)は、WEB会議システムはもちろん、商談を録音/録画したり、そのデータをもとにデジタルマネジメントしたりすることができる、営業に特化したオンラインソリューションだ。とにかく簡単に安心して接続できるがウリのWEB商談ツールを提供するベンチャー企業として知名度を上げている。

一方のSalesforceは1999年に創業した米サンフランシスコの世界的企業。171億ドル(2020年度)の安定した事業基盤があり、顧客と企業の間の全体最適を行うCRM(顧客管理)システムを提供する。

そんな2社が出会って数年、2020年7月からアプリ(AppExchange)パートナーとして協業している。単にAPIとして相互に連携できるようになっているだけではなく、営業×テクノロジーの先に共通する世界観を描いているという。では、Salesforce×ベルフェイスで何が起きるのか?全10回の対談でお届けします。

第1回目は、『お互いが語る協業の先に見据える世界観』です。

高田大資氏の写真
株式会社セールスフォース・ドットコム
アライアンス本部 パートナー営業推進部 マネージャー
高田大資 氏

2008年に株式会社セールスフォース・ドットコムに入社。
インサイドセールスから、官公庁・公共機関の事業開発、地方創生のアライアンス担当を経て、2020年から現職の中小企業市場のアライアンス事業開発チームのマネジャーへ。ベルフェイス様を始めとしたSaaSベンダー様の協業や、金融機関とのチャネル開発に従事し、中小企業のDX化を推進している。

中村武史氏の写真
株式会社セールスフォース・ドットコム
アライアンス本部 AppExchangeアライアンス部
パートナーアカウントマネージャー 中村武史 氏

2018年より新卒として株式会社セールスフォース・ドットコムへ入社。AppExchangeアライアンス部に配属後、国内のSaaSベンダーの支援に従事。

清水貴裕の写真
ベルフェイス株式会社 事業企画室長
清水 貴裕

ベンチャーから東証一部上場グループと横断して、0→1の立ち上げを中心に新規事業責任者を歴任し、100社以上の営業支援や仕組み化に携わり、スピンアウトも経験。ベンチャー企業の取締役COOも歴任し、3年で売上5倍、社員数100名規模にまで育てた。数十社の営業コンサルテイングを行ってきた経験を活かし、2019年現職に。同社の事業企画室長として、アライアンスの取り組みから様々なイベントでの発信も行う。Salesforce.com社をはじめとしたアライアンス/パートナー協業の責任者。

【営業DX】今こそ営業部門のデジタル化に取り組むべき理由

なぜSalesforceとベルフェイスは協業できたのか?

そもそもこの2社の協業のきっかけは、ベルフェイスがSalesforceのヘビーユーザーだったことにあるという。営業のSaaSとしてベルフェイスが海外進出するために先人の経験やノウハウ、失敗談などを欲しており、優秀なサービスを持っていること以上に一歩踏み込んだ情報を交換し会えるパートナーを探していた。

そこで、営業のSaaSとして日本で最も顧客数があり展開力もある企業と考えたら、やはりSalesforce.com社以外にないと考えたという。

清水:弊社はお客様の生の情報やリアルな体験は持っていますが、そこに紐づく受注情報や分析のベースとなる定量情報を持っていませんでした。自社で開発することも考えましたが、そこには既にSalesforceがいます。 海外進出を考えたときに、世界で圧倒的な受注者数を誇るSalesforceと組むのが大事だと考えました。

ベルフェイスとセールスフォース連携によりさらなる情報連携が可能になったことを解説するスライド

Salesforceが年に1度主催する世界最大のITの祭典「Dreamforce」には、AppExchangeのブースが大量に出典している。しかし、その中に日本企業のブースはない。そこには、日本でも間違いなく売れるだろう機能を持った優秀な海外製品が山ほどあるという。

高田:日本のSaaSはガラパゴス化している感があります。野心的に担いでいただけると光栄ですし、夢がありますね。

Salesforceの創業当時は、「クラウド」という単語すらなかった時代だ。同業他社もほとんどなく、「先行者利益を獲得している」と言っていいだろう。一方で、「日本の中小企業は数百万社あるはずなのに、日本のご契約者数はそこまで言っていない」(高田氏)。良く言えば可能性は無限大だが、マーケティング施策の難しさを感じはじめる。

たとえば、昨今のコロナ禍にあって、リモート体制での営業を始めなければならないが収益も当然落としたくない中小・零細企業がSalesforceを導入しようと考えても、「もちろんそれだけの価値がありますが、今日明日で意思決定をしていただくには価格など導入のハードルが高い」と高田氏は話す。

そこでセールスフォースは、今日明日で導入できてお客様がすぐに効果を実感できるアプリケーションとの連携はこれから重要と考えた。ベルフェイスのマーケティング戦略とソリューションの特性が、SalesforceのCRMが市場に対してこれから打っていきたい戦略と、密接に関わっていく予見があったという。

高田:ベルフェイスのお客様にはSalesforceが入ることで、Salesforceのお客様にはベルフェイスが入ることで、昨日までよりもさらに経済的な競争力を中小企業が持てるようになることを一緒に目指していきたいなと考えました。

中村:創業20年の会社と5年の会社ですから、やはり現状の経営課題やリソースの違いからくるアライアンスの難しさはありました。しかしそれを乗り越えられたのは、強みと強みで協業できたからだと思います。たとえばヒラメ筋のような圧倒的なブランド力ですね。

セールスフォースのアライアンスの対象となる経営資源一覧

ベルフェイスがCM放送で獲得したブランド資源を使って、まだリーチできていない顧客にアプローチできる。
もちろん技術資源面も欠かせない。しかし最も大きかったのは、両社ともにコアバリューに「カスタマーサクセス」を掲げ、共有できている点にあったという。

中村:ベルフェイスさんは、常に主語が「お客様は」です。常にお客様視点で会話をして課題に取り組めたのが、いま好循環を生み出すところまで来られている最大の要因です。3ヶ月前にはできなかったことが、3ヶ月待てばできるようになっていますからね。

清水:社内は火の車ですが(笑)お互いにとっての夢のようなタッグが組めていると思います。まだお会いできていない百万単位の中小企業があるなかで、スピード感を持って挑戦していきたいですね。

日本発SaaSは海外で受け入れられるのか?

アライアンスは、協業した企業だけで完結しても、顧客に受け入れられなければ意味がない。お互いの顧客に価値を届けていけるからこそ成り立つ。

短期的に双方の案件が増えることも大事だが、長期的に新しい世界観を作っていけるアライアンスを進めていき、社内外に伝えていくことでエコシステムを広報し、タッグを強めていく予定だ。

まだ日本から世界に代表するようなSaaS企業は生まれていない。世界を見てみても、たとえばアメリカでは75%の企業がなんらかのクラウドサービスを導入しているというデータがあるように、クラウドの市場は非常に大きい。

ベルフェイスのサービスは、世界中どの国にもある電話をベースにしている。電話をかけて営業するシーンはどこの国にも必ずあり、どれだけ遠くにいる人とも電話でやり取りをする機会はある。そういう意味では、ベルフェイスは日本だけでなく世界中どの国にも適合する可能性のあるサービスと言える。

清水:世界最強のタッグを目指して「こうしたらもっと世界に適合できる」といったアドバイスを頂きながら進めていけたらいいと、ワクワクしています。

中村:営業の方なら誰もが抱えているような課題の解決策を提示されているのがベルフェイスさんだと思うので、日本最大のSaaSの会社になっていくにあたり、微力でもご支援できたら良いなと期待しています。

日本企業といえば、その多くが未だに昭和の雰囲気を色濃く残し、Face-to-Faceを基本の価値観においている企業が多いことは、一定年齢以上の日本人ならおそらく誰もが知っているようなことだろう。

しかし、コロナ禍で出張がなくなったと喜んだり困ったりしているのは世界でもOLD営業を続ける日本くらいだろうと思っていたら、意外と「出張がなくなってどうなるかと思ったけど意外と回るね」などと、海外の方もまったく同じことを言っているらしい。

高田:同じコンセプト、同じソリューションのままでも、言語の問題さえ解決できれば(ベルフェイスが)海外展開しても受け止めてもらえる市場性は、もうできているのではないかと思います。

新たなセールスの世界観

営業のデジタル化

では、今後のセールスの世界観はどう変わっていくのだろうか?これからの営業はどうなるのかを考えるにあたって、コロナ禍の影響を避けて考えることはできない。

ビフォーコロナから「日本の生産性を上げなければならない」「DX化しなければならない」という議論はずっとされてきた。従来「背中を見て暗黙知を学ぶ」ものだったセールスも、デジタル化してデータを見て学ぶ世界観になるだろうと考えている

それが10年かかるとされていたのが、コロナ禍によってオンラインでやらざるを得ない状況になり、結果「できる」と経験をもって理解することになった。

高田:パソコンが苦手だからと避けてきた方が「孫がLINEで話したいというからスマホを使わざるを得なくなった」というのと同じように、「やらざるを得ない状況」になりました。10年ぐらいショートカットしたのではないかと思います。

A社が引き続き足で稼ぐ営業を続け、B社が自宅のデスクから2倍の活動量でやっていたとすると、必然的に結果で差が出てくる。そのとき、B社がベルフェイスのようなツールを使っていれば、録画はもちろん、どんな資料を使ったか、どんなトークをしたかも全部データで残ることになり、かつ分析できる。

ベルフェイスのサービス概要スライド

そうすると、例えばスポーツの世界はいま、コーチや監督がコート上でのボールの動きや選手のパフォーマンス、トレーニングの結果に至るまでをすべてデータで見るようになっているが、以前はやはり背中を見て学ぶものだった。これと同じことが、営業でも起こるという。

当たり前の話だが、野球のスター選手が優秀な監督になれるかは別問題であるのと同じように、「デキる営業」が自分のパフォーマンス再現性のある状態で人に伝えられるかどうかはまた別問題だ。

優秀なセールスの客観的なデータを提示するようになれば、再現性のある営業力を作れるようになっていくだろう。

清水:スポーツの世界は、すでに「データを取る」だけでなく「活用する」ことが当たり前のレベルにまで進んでいます。営業の方が遅れてしまっていますね。

高田:営業は一般職のような扱いをされることが多いですが、むしろ専門職です。営業力は職能なので、業種や営業スタイルによって「この領域の「営業力」とはコレのことを指している」というのがデータ化して見えるようになっていくのがこれから来る世界だと思います

コロナの前と後では、対面で会うこと自体の希少価値が上がった。従来通りに顧客とは会えず、よりよい仕事をした結果として次の受注をいただけるようになっていくだろう。直接会って仲良くなって飲み会をして、顧客とリレーションを持っているから受注ができるのではなく、顧客の課題に真摯に向き合うからこそ受注に至る世界へと変わっていくプロセスが顕在化していくはずだ。

この影響は、現役の社会人にとどまらない。情報の少ないなかで就活をする学生にも、従来の「営業職」のイメージとは全く違ったものに見えるだろう。

中村:私自身、はじめてベルフェイスを見たとき「ここまで進んでいるのか」と衝撃を受けました。オンラインで無形商材を売り切るところまで確立されているどころか、さらにそのデータを分析して営業に生かせている。営業職がもっとクールな存在になって、学生がセールスになりたいと前向きに思える時代になればいいなと思います。

営業データの活用法

たとえばベルフェイスの「レコログ」機能で録画したセールス各社員の商談データを見てみると、その差が面白いほど違いがわかる。新人、入社数カ月後の社員、1年後の社員、その上のリーダーでは、プロセスがまったく違う。

商談にもやはり、アイスブレイクに始まりヒアリング、プレゼン……という一連の「型」がある。受注できるセールスは商談相手にあわせて型を崩している事がデータからわかり、マネジメント側はオンライン商談に同席していなくても「(受注が取れていない)あなたは(受注が取れている)Aさんに比べてこのプロセスが短いから時間を取ったほうがいいですよ」というアドバイスができる。まさに再現性だ。

新入社員を対象にした研修等の場面でも同じことが言える。教える側は同じでも、教えられる側が同じ受け取り方ができているとは限らない。同じ1時間だったとしてもインプットできる量が人によって違うのは当然だ。

誰が見ても変わらない客観的な事実に変えた後でインプットの仕方までコントロールできると、教える側としても非常にやりやすい。

清水:百聞は一見に如かずです。ベルフェイスで商談データを見て「ほら、こんなに違いますよね?」Salesforceで受注数を見て「ほら、Aさんの方が受注できていますよね?」。客観的なデータなので、説得力が違います。

連携により定量・定性データを相互に活用していくことができるようになることを表した図解

高田:「見える化」で驚いたことがあります。平均的なセールスは失注すると悔やみますが、優秀なセールスは失注すると喜びます。成約率が30%だとしたら10件中7件は失注するということなので、1件失注したらあと6件失注すれば残り3件は成約できる、という発想の転換をしているのです。

その俯瞰的な見かたができるのは、やはりデータで見ているからだ。見える化しているから「3件のために7件失注しなければいけない」ことにも気づける。また、「あなたがなぜこの案件を受注できなかったのか」というスキルの話になると、個人否定のようになってしまいがちだ。

ある程度のキャリアを重ねれば仕事のパフォーマンスの否定=人格の否定ではないことがわかるが、若手社員などには難しい面もある。「マネージャーと向き合って指導を受けるのではなく、並んで1つのデータを見てコーチングを受けるスタイルのほうが、精神衛生上も良い」(高田氏)というわけだ。

高田:
Salesforceは、Aさんの商談の件数や単価、1ヶ月のパフォーマンスなどは客観的にわかりますが、1件の商談にどんなプロセスを踏んだかのリアルのデータは暗黙知の場合も多いです。ベルフェイスさんと組むことで営業のすべての客観的なデータが揃い、マネージャーがコーチングをする上でも非常に助かります。

試合の結果と、ヒットを打つためにうまくなる方法がわかれば、点を取るための材料が揃うというわけだ。

これからの営業はどうなるのか?

ベルフェイスが持っている価値は、アナログのデジタル化、そしてデータの活用段階まで来ている。では最終的にどこに行き着くのか?

清水:私は「問題の発見」だと考えています。営業はそもそも、顧客の課題を発見してこそです。お客様の課題が分かれば、こんなに良いことはありません。

風が吹けば桶屋が儲かる、言い換えれば「世の中でこういう事が起こるとこんな商談が増える」といったことを立証できれば、世の中のできごとに合わせて「こんな営業をしましょう」という予測ができる。

ベルフェイスがSalesforceとの協業で築き上げたいこれからの営業の世界観は、データ活用の先にあるデータ予測、課題の発見だ。そのために外部の定量情報と内部の定性情報、そしてSalesforceの持っている顧客情報を組み合わせて、何が起きていくのかを予知できるようにしていく。

「これからの営業は、もっとクリエイティブになっていく」(清水)のではないだろうか。

第2回の対談『インサイドセールス2年目の実態~俺たちの失敗を越えてゆけ!知っておくべき先人の経験を大解剖、実践者が語るノウハウ』はこちら

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