【営業責任者向け】セールスフォース道場師範に聞くダッシュボードの効果的な活用法

営業組織のデータ・オペレーション管理にSalesforceを活用している企業も多いのではないでしょうか。

Salesforceをフル活用するために欠かせないのがダッシュボードの活用。必要なデータをリアルタイムで表示させることができ、そこから今組織に何が足りていないのか、次どうアクション取らなければならないのかを可視化するものです。

ただ、かなり柔軟にカスタマイズできるゆえに、「何をどうまとめればいいのかわからない」と思っている方も多いかと思います。

そこで今回は、Twitterやイベント等で今や「Salesforceの活用といえばメドレーの田中さん!」と噂されるのほどにSalesforceを使い込んでいらっしゃる、株式会社メドレー 執行役員 田中大介さんに、「営業組織の適切なSalesforce活用」というテーマでお話を聞いてきました。田中さんはTwitterでSalesforceに関する様々な発信をされているので、まだフォローされていない方はぜひチェックしてみてください!

  • Salesforceを活用している営業責任者・メンバー
  • これからSalesforceを導入する予定の方

は必見です!

田中大介氏の写真
株式会社メドレー 執行役員
田中大介さん(Twitterプロフィールはこちら
2008年東京大学経済学部経済学科卒業。スパークス・グループ株式会社を経て、2011年Googleに入社。法人向けクラウドサービス「G suite」のセールス・マーケティング業務に従事し、年間100回以上の講演を行う。2016年より株式会社メドレーに参加。

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Salesforce道場はなぜ始まったのか

田中さんの業務領域

ーQ. まずは田中さんの業務内容について教えてください。

田中(以下敬称略):はい。私が所属している株式会社メドレーは「医療ヘルスケアの未来を作る」というミッションを掲げ、人材採用プラットフォーム事業や医療プラットフォーム事業を運営しています。

私はそのうちの医療プラットフォーム事業のサービスであるクラウド診療支援システム「CLINICS」事業の事業責任者をしています。

最近の言葉で言うとCRO(Chief Revenue Officer)という役職に近い役回りで、CLINICS事業のレベニューに責任を持っており、マーケティングからカスタマーサクセスチームまでを統括しています。

CLINICSのスクリーンショット

ーQ. Salesforceはいつから使ってらっしゃるんですか?

田中:私は入社当初マーケティング責任者としてマーケティング・インサイドセールスの立ち上げを行いましたが、その頃からSalesforceを活用していました。

去年の夏頃に事業責任者としてCLINICS事業全体を見るようになったのですが、セールスやカスタマーサクセスの方ではまだまだスプレッドシート上で管理している数字も多かったり、あとは事業部内で請求などのバックオフィス業務も抱えているのですが、そのあたりも管理しきれていないこともあったりしていたので、事業責任者になったタイミングでかなりしっかりと事業部全体のSalesforce管理の徹底を行いましたね。

Salesforce道場開催のきっかけ

ーQ. 今ではSalesforce道場の開催などもあり、Salesforce活用といえば田中さんというイメージもありますが、Salesforce道場はどういう経緯で開いたのですか?

田中:最初は別に道場を開こうなんて気持ちは全くなくて、それこそベルフェイスさんとか他にも複数社と営業交流会をやったのがきっかけです。

お互いの営業が集まって、チームでこういう取り組みをしていますみたいなことを発表しあって、学び合うという場を設けていたのですが、その時Salesforceの活用というか、私がどういうふうに事業全体を見て組織をマネジメントしているかというような考え方について「とても勉強になった」ということを言っていただけまして。

それまでうちの事業部が行っているマネジメントやオペレーション運営って他社と比べてどうなのかって知りようもなかったのですが、「ああ意外と頑張ってるんだな」ってその時思ったんですね。

田中:で、そういったことをTwitterにも書いたりしているうちに、他にも興味ありそうな方もいらっしゃったので、1回Salesforce道場という形で勉強会をやったんです。

そしたら最初は20社くらいの方にお越しいただいたて、いつの間にか会場を貸してくださる方まで出てきて、前回は150人くらいの規模で実施していました(笑)。

ーQ. Salesforce道場ではSalesforceの使い方を教えていらっしゃるのですか?

田中:もちろんSalesforce活用に関するTipsを共有させていただくということもあるのですが、どちらかというと私自身の事業責任者としての組織やオペレーションとの向き合い方を紹介して、それを数字で管理するためにどのようにSalesforceを活用しているかということをメインで説明しています。

インタビュー中の田中氏の写真

ダッシュボードはマネージャー層だけでなく、全員が見るもの

ーQ. 150人の規模で道場を開いていらっしゃる田中さんの視点から、Salesforceの活用について重要だと考えていることを教えていただけますか?

田中:そうですね、Salesforceのダッシュボードは経営層やマネジメント層が見るものだ、と考えている人が多いと思うのですが、それは間違いです。あれはマネージャー層向けのものでは決してなくて、その業務に関わる人全員が見ておくべきものなんですね。

田中:Salesforceのダッシュボードがあれば、全員が同じ指標・数字を見ながら、必要なアクションを抜けもれなく行うことができます。

データドリブンで生産性の高いアクションを全員が取っていくためにも、そしてその状態をしっかり運用していくためにも、全員がダッシュボードを見てそれをもとに業務を行うというオペレーションの構築が重要だと考えています。

田中:CLINICS事業部では事業全体のダッシュボードと、マーケティングやインサイドセールスなどの業務の塊毎のダッシュボードを作っていて、自分が関わっている業務のダッシュボードは全員が見られる状態にしています。

メドレー社の営業ダッシュボードはどんな構成?

ーQ. 気になっている方も多いと思うのですが、メドレーさんで実際に使っているダッシュボードを見せていただいてもよろしいでしょうか。

田中:もちろん大丈夫ですよ。Twitterにも載せてますし。

ーQ. ありがとうございます。では営業向けメディアということもあり、営業チームが使っているダッシュボードを詳しく教えてください!

田中:わかりました。うちはいわゆるThe Model型の営業を行っていて、インサイドセールス(SDR)チームが設定した商談をクロージングするのが営業の役割です。ダッシュボードについてはまず全体像をお見せするとこんな感じです。

田中:載せる指標とその配置にはこだわっています。上から順に

  • KGI・KPI系
  • アポイントの獲得状況
  • 商談後のパイプライン
  • 受注のヨミ(フォーキャスト・ポテンシャル)
  • 受注系のスタッツ
  • アクション

という流れで作っています。最初におそらく誰もが見ているであれば最重要のKGI・KPIが見えるようにしていて、それ以降は受注までのフローを意識しています。最後にアクションという形です。

ポイント1:商談タイプ別の受注率をもとにしたポテンシャル管理

ーQ. KGI・KPIはおそらく一般的なものなので飛ばして、アポイントの獲得状況の部分について教えていただけますか?

田中:はい。これは結構こだわっている部分でもありまして、担当者ごとの商談数の割り振りと、そこからの見込み受注数を出しているのがポイントです。

まず全体で商談がどれだけ獲得できるかを見つつ、それが担当者別で何件ずつあるのかも見ています。商談数は稼働時間とほぼイコールになるはずなので、それに偏りが生じていないかを見ています。

次にそこからの見込み受注数ですが、うちではアポが割り振られた段階で、各営業メンバーが何件の受注を期待されているかを数値化しているのです。

ーQ. 期待される受注件数はどうやって計算しているのですか?

田中:過去の受注率をもとに計算しています。私達が行っている商談においては、対面orオンライン商談、インバウンドorアウトバウンド、決裁者or担当者という3つの軸で受注率が大きく異なります。

そのため、この3つの軸の掛け算で2✕2✕2=8つの商談タイプを分類していて、どのタイプの商談が1件入ったら受注率が何%だからポテンシャル(期待受注数)が何ポイント、というように計算をしています。

受注ポテンシャル計測の流れ図解

田中:このポテンシャルは、大きく3つの側面で活用しています。まず1つ目が受注数/金額の予測。すでに契約済みのもの、商談済みでヨミに上がっているもの、に加えて今月これから商談を実施する分についてはどれくらいの受注を見込めるのかを予測できるようになります。

田中:2つ目はアポ割り振り。数は平等でも実はいいアポは特定の人に偏っているということもありえます。このポテンシャルを見えるようにすることで、質についても不平等にならないようにできます。ベテランや新人などメンバーの属性に応じて割り振るアポの割合を変えたり、みたいな使い方もしています。

田中:3つ目は評価です。今月5件受注した人と10件受注した人だと後者の方が営業として優れているように見えがちですが、商談がインサイドセールスチームからパスされるインバウンド営業においてはそうとも限りません。

5件受注した人は、かなり難しいアポだらけの中から5件受注したかもしれませんし、10件受注した人は本来15件決めておくべきところを10件しか決められなかったのかもしれません。

これについても受注ポテンシャルが見えるようになっていることで、どの人がどれだけ本当に成果を出せたのかがわかるようになります。また、営業にも調子の良い時や悪い時があるのでそのあたりの状況を確認しながらアポのアサインを変えていく、といった判断にも役立っていますね。

ポイント2:抜け漏れのないアクション管理

ーQ. それ以降の部分についても教えてください。

田中:それ以降についてはまずパイプライン管理ですね。これは商談後のフェーズを管理しているものですが、弊社の製品については平均リードタイムも約2週間と短く、即決で契約いただくことも多いので、単純なヨミ管理だけにしています。

田中:次にそのヨミや先ほどのポテンシャルの部分をもとに、日次での受注予測を集計しているのと、担当別のパフォーマンスを管理しています。さらにその下に受注に関するスタッツとして受注率や受注単価を定点観測しています。最後がアクション管理ですね。結構ここもこだわりポイントです。

ーQ. どのあたりがこだわりポイントですか?

田中:アクティブで何かしら進めなければならないものは全てSalesforce上でネクストアクションを設定するようにしています。

そして、ダッシュボード上では未来のアクションと過去のアクションが担当別にひと目でわかるようになっています。各メンバーが今日対応したものを深堀りすれば、どういうやり取りがあったのかもわかりますし、なぜ失注になったのかなどもいつでも確認できるようになっています。

これによって全員が抜け漏れのないアクションをすることが可能になりますし、全員のアクションをひと目で把握できるという点もこれの良い点です。

まとめ

載せている項目もそうですが、配置についてもかなり勉強になるダッシュボードでした。

管理職が数字を見るためだけのダッシュボードではなく、メンバー全員がこれをもとに業務を行うためのダッシュボードということで、メンバー毎にフィルタをかけられるようにもなっていました。

ダッシュボードをもとにKPI進捗を全員が把握し、適切なアクションを抜けもれなくとることによって、データドリブンで生産性の高い業務を行えるようになるのもダッシュボードの魅力の1つだということを肌で感じました。

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