「営業生産性の向上」は多くの営業組織が普遍的にかかえているニーズの1つです。
例えば弊社が提供している、国内No.1の電話を使ったオンライン商談システムであるbellFaceも営業生産性の向上施策の1つであり、お客様にも様々な効果を期待されてご導入いただいております。
上記に限らず営業活動の効率向上、交通費の削減、新人教育、雇用の拡大など、様々な目的に対し効果が期待できます。ただ一方で多種多様な効果ができるからこそ、導入目的の明確化や、期待効果を定量的に想定することがなかなか難しいという声も多くいただきます。
そこで本記事では、『営業生産性を向上させたい』という、オンライン商談導入において最も一般的な目的であるにも関わらず、具体的な課題の定義や定量的な目標を設定することが難しい概念について、コンサル出身の営業マネージャーが解説いたします。
リクルートでIT製品情報メディアの広告営業からキャリアをスタートし、営業マネジメント業務を経験した のち、セールスフォース・ドットコムにてSFA・CRM を提案するインサイドセールスとフィールドセールス に従事。その後、BtoBセールス&マーケティングのコ ンサルティング会社の立ち上げに参画し、執行役員兼 コンサルタントとしてさまざまなプロジェクトを担当。 2019年12月より現職。
営業生産性を向上させるためには、自社のどのような営業指標を可視化・把握し、期待する効果を想定すれば良いのでしょうか。そのアプローチ方法に迫ります。
営業生産性とは何かを分解する
そもそも営業生産性とは何なのでしょうか?分解すると下記のように表せます。
売上を上げる、対応コストを下げる、もしくはその両方をする、このいずれかを実現出来れば営業生産性は上がります。
そこからさらに、売上を上げるを分解すると下記のように表せます。
上記2つを組み合わせると営業生産性は下記の通りと考えることができます。
3つの分子(商談数・受注率・単価)の指標が上がれば上がるほど売上が高まり、分母(対応コスト)が下がれば下がるほど効率が高まり、それによって営業生産性は向上すると言えます。
分解した各項目について掘り下げる
分解した営業生産性を向上させるには、以下の4つに言い換えることができます。
つまり営業生産性を向上させる第一歩は、自社において①~④を可視化した上で、どれに課題があるのかを把握し、その上でどのくらいの伸びしろがあるかを見極めることです。この見極めが無いままに施策やツール選定に進んでしまうと「なんとなく良さそうだけど、本当にそれで良いんだっけ?」「本当に効果があるのかな…?」という状態に陥りがちです。
分解した各項目の掘り下げ方法は、まず①~④の現状を月次の実績等で把握することをオススメします。難しく考える必要はなく、例えば下記の通りです。
例えば、「出張費が多いので、削減したい」といったきっかけで導入頂いたお客様は多くいらっしゃいますが、①~④を可視化してみると、想定以上に受注率が低い状態であることがわかり、提案スキルの向上も解決すべき課題であることが明らかになったことがありました。
また、営業パーソン毎で比較してみると、出張費はかかっていても高い受注率と単価を指し示しているため生産性は低くない人がいることが明らかになったケースもあります。
この実績の把握は細かく正確に出せれば良いのは確かです。
しかしここでご注意いただきたいのが、そこにこだわるとそれだけで膨大な時間とコストがかかり、単なる可視化のプロジェクトとして終焉しがちである点です。
このフェーズにおける目的は、①~④のどこに課題や伸びしろがあるかを特定することであるので、その目的を果たすために必要な、“ある程度確からしい状態”を可視化することが出来れば、次のステップである施策の選択に進んでいただきたいです。
営業生産性を高めるために何を行うかを考えてみる
前述の通り、ひとことに『営業生産性の向上』といっても、①②③④のどれを目的とするかによって何を行うべきかは変わってきます。
例えば、②受注率の向上が主目的であれば営業スキルの研修を受ける、提案書を改善する、といった施策が考えられますし、③単価の向上が主目的であれば既存の商品を組み合わせてパッケージとして訴求する、などといった施策が考えられます。
また、営業部内で完結出来るものとそうでないものを分離して考えることも重要です。①商談数の向上のためにWebサイトを改善する、などはマーケティング部門側と連携すべき施策になるし、②③のために提供商品をより良いものにする、などは商品企画/開発部門と共同で取り組むことが必要な施策です。
“営業力強化”は、営業部として永遠に突き詰めていくべきテーマであることは間違いありません。しかし相対するマーケットや競合他社の状況(外部要因)により変動する幅のほうが努力/施策により変動出来る幅が大きい場合も多く、そもそものプロダクト/サービス力に依るところも大きいのが事実です。
そのため①②③は、営業部内のみの努力/施策では向上させづらいことを認識すべきです。
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まとめ
『営業生産性の向上』を実現するためには、営業生産性を構成する要素を因数分解・評価し、優先順位付けや実施可否を判定していくアプローチをすることが必要です。
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