組織として営業効率を上げるためには、営業のスキル・ノウハウを組織に共有することが大切です。一方、営業パーソンが商談中に使う上手い営業トークなど、形のないものを共有するのは簡単ではありません。
そこで、今回の記事ではブラックボックスになりがちな商談をデータ化する手法をご紹介します。
営業の数字を分析する必要性
企業が営業部門に求めることは新規顧客の獲得です。営業部は基本的に毎月○円の売上を上げる、という目標が課されているかと思います。
その目標に対して現状達成できるのかできないのか、できないときに何をしたらできるようになるのかを把握するためには、「営業活動の量」「営業活動の効率」の2方向のアプローチが考えられます。売上を増やすためには、活動量と効率の分析が不可欠です。
営業活動の量を増やすには社員の数を増やす、稼働時間をのばすといったことが必要です。平均して営業パーソン一人100時間の稼働で1件の成約があった場合、のべ200時間の活動を行えば2件、400時間の活動なら4件の成約があるということになります。
しかし、近頃では企業の人手不足が加速し、営業においてもその影響を避けられないことや、働き方改革が進み、業務とそれ以外の時間の区別が比較的あいまいなまま見過ごされてきた営業職の業務時間も制限が進んでいます。そのため、組織全体として業務時間が限られる中、営業活動量を増やすのはなかなか難しい現状です。
もう一つの切り口として、営業活動の効率化が挙げられます。
営業パーソン一人100時間の稼働で1件の成約であったところを50時間の稼働で1件契約を得ることができるならば、同じコストでも倍の売上が見込めます。人手不足、コスト削減が求められる中で、営業活動の効率化は必須といえるでしょう。
とはいえ、営業効率の効率化とはいうものの、どうやって営業効率を上げればよいのでしょうか。
組織として営業効率を上げるためには、営業スキル・ノウハウを社内共有することが大切です。営業部門では、商談の良かったこと悪かったことなどの振り返りや今後の動きを社内MTGなどで話合う場を設けているでしょう。
しかし、日々の業務について話すことが多く、営業スキル・ノウハウ共有を後回しにしてしまいがちなのではないでしょうか。また、営業スキル・ノウハウを共有するためには、まず自身の営業活動を客観的に分析する必要があります。
商談内容、商談にて活用した提案方法などを誰でも見れる形で分析したものをアウトプットすることで社内での共有ができるといえます。よって、営業活動が効率化され、企業の売上向上につながるといえます。
具体的な分析手法とは?
では具体的な分析手法にはどんなものがあるでしょうか。多くの分析手法がありますが、ここでは代表的な3つの手法をご紹介します。
大局を見る「動向分析」
グラフなどを用いて商品やサービス、業界の大きな動きを捉える分析方法を動向分析と言います。例えば、同じ業界の企業の業績や、自社のサービスの売り上げの比較がこの動向分析にあたります。物事の大局を理解するのに優れた分析方法なので、分析を進める際に最初に選択されることが多いのが、この動向分析です。
一方で動向分析は詳細な分析には優れていません。例えば各顧客に適したサービスや商品が何かを分析することはできません。
また動向分析の結果の認識にも注意が必要です。この段階では見逃してしまうような小さくても重要な動きが隠れている可能性があるからです。
ここで得られた結果だけを根拠に、営業の戦略を練るのは危険ですので気を付けましょう。あくまで全体の動向がどうなっているか、前提情報として取り込んでいくのが良いでしょう。
動向に影響する要素を探す「要因分析」
業界全体の動向や自社の売り上げに影響を与える「要因」を捉え考えるのが要因分析です。動向分析の分析結果を補完するのがこの要因分析ともいえます。
なぜ動向分析で得られたような結果が生まれたのか、その本質を細かく分析します。そうした上で様々な可能性を模索して、原因やその理由、そして要因を浮き彫りにします。
例えばある出来事に起因して売れた商品やサービスがあるとすれば、その他にもその出来事に関連して売上が増加する商品やサービスがあるはずです。動向分析で判明した表面の動きから一歩踏み込んで、内部に隠れている要因やそれに付随する可能性を探っていきましょう。
今後の営業方針を考える上で、様々な可能性の発見が期待できる手法です。収益が望める新たな営業手法や商品の開拓も望めるでしょう。しかし、要因分析も仮説の域を出ない分析方法ですので注意しましょう。
仮説の根拠を固める「検証分析」
「動向分析」と「要因分析」にて、様々な可能性が見えてきました。しかしこれらはまだ仮説です。それらをより確かなものとするために、「検証分析」を行います。様々なデータを比較検討することで、要因の根拠を探し出します。動向分析と要因分析、その両方の結果をさらに補う役割を検証分析は果たします。
このプロセスにて裏付けが取れた仮説をもとに、営業の戦略を練ります。こうして立案された方法は、営業の結果においても高い成果が期待できます。
紹介した3つの分析方法の中でも特に重要なのが検証分析です。検証分析にて正しく核心に迫るには、ロジカルな思考と柔軟な発想、その両方が求められます。一人で行うのに限界を感じた場合は、営業チーム全体で議論する場も必要です。
分析すべきKPI
KPI(Key Performance Indicator)とは、目標を達成するための途中段階を定量的に評価する指標のことをいいます。似た言葉でKGI(Key Goal Indicator)という言葉がありますが、KGIはビジネスの最終目標を定量化した指標のことをいいます。例えると、KGIは「前期比売上50%アップ」、KPIはそれを達成するために月ごとに「商談件数を前年の月平均の2倍にする」というような設定をします。KPIは目標を達成するための活動を客観的に数値で分析するためのものなので、営業パーソンのモチベーションや疲れといった数値化できないものは採用しません。
営業組織で用いるKPIとしては、
- (一定期間内での)商談件数
- 営業リードタイム
- 成約率
主に上記3つが挙げられます。
これらを一つ一つ見ていきましょう。
商談件数
まずは企業へ訪問し、商品・サービスを提案するための「商談」を数多く行う必要がありあます。提案の機会をもらえたからといって、必ずしも成約するとは限りませんが、商談数が多ければ多いほど、自然と成約数は多くなるといえるでしょう。
まずは営業先を確保する意味でも、商談件数を目標に営業活動をする必要があります。そのため、商談数をどのようにして増やすのかどうか、増えないのであれば、なぜ増えないのかどうかを日々分析する必要があります。
営業リードタイム
次に営業リードタイムです。特にBtoB商材では、BtoC商材に比べ、営業リードタイムが長くなってしまいます。営業リードタイムが短くなればなるほど、すぐに次の商談を行うことができます。ただし、商品・サービスを提案する相手が、一部門の部長クラスなのか、それとも企業の代表クラスなのかによっても営業リードタイムは変わります。
そこで、相手によってアプローチや提案の仕方を変え、より有効な方法を日々の商談で見つける必要があります。
成約率
最後に成約率です。受注率・クロージング率などとも言い換えられます。こなした商談数に対して、何件の成約が生まれたどうかの割合です。成約率は企業が最も重要視している指標であるといえ、成約が高ければ、それだけ企業の売上に貢献しているといえるでしょう。
しかし、成約率を上げるということは新人営業でもよく理解しているように、非常に難しいといえます。
例えば、
- 「商談中の提案内容を相手に伝えきれているのか」
- 「そもそもアポイントを獲得した時点で、リードの質が悪くないのか」
など、営業活動におけるあらゆる部分を最適化することに努める必要があります。そのため、営業活動の一連の流れを一つ一つ分析し、いち早く課題を見つけ、解消することができるかがポイントになります。
このように、KPI目標に対して分析することで、営業部門全体の質が上がっていくことでしょう。
企業全体・営業部全体として売上○○円という目標を立てるのが大前提必要ですが、それが達成できていない時に、KPIに分解し、個人単位でどのKPIに改善の余地があるのか把握することが重要です。
営業データ分析を行うためのツールとは?
では実際の営業データの分析には、どの様なツールが用いられているでしょうか。大変多くのツールがありますが、ここでは代表的なものをご紹介します。
SFA(営業支援システム)
SFAとは、 Sales Force Automationの略語で、営業活動の支援と効率化を目的としたツールを指します。SFAの機能は多岐に渡りますが代表的な機能には以下があります。
顧客に関する詳細情報の管理を行えます。SFAを見れば、会社名、住所、電話番号、担当者氏名などの基本情報、加えて顧客とのコンタクト履歴などの必要な情報を一括で管理できます。
見込顧客からの引き合いを受注に繋げるために重要な案件情報も管理できます。管理項目には、営業先企業、営業担当、進捗状況、提案商品・サービス、受注見込み、受注見込額、受注予定日などがあります。
上述した案件管理に加えて、商談管理も行えます。管理項目には、過去の商談履歴、商談の目的、商談相手、決済者、商談時間、提案書、商談の進捗状況、提案金額、次回アクション予定などがあり、情報を細く管理できます。
営業担当者の行動や結果を数値として管理できます。項目には、アポイント数、テレアポのコール数、提案商材数、訪問数、受注率などがあります。
他にも売上予測、予実管理、スケジュール管理、タスク管理、日報や週報などの活動報告機能、分析・集計レポートなど、営業に役立つ多くの機能が搭載されています。
SFAを活用すれば広範囲に及ぶ営業プロセス全体をシームレスに繋いで、営業活動と業務を可視化します。エクセルなどによる管理だとありがちな情報の抜けや漏れを排除して、営業力をより一層に強化できるのがSFAです。
BIツール
BIツールとは、Business Intelligenceを略したものです。営業活動で必要な大量のデータを取り込み、様々な分析を可能にするツールです。BIツールの主な機能は以下です。
社内のデータを集約及び集計して、経営層が必要とするレポート形式にて表現する機能です。具体的な例では、企業が外部に公表している四半期の業績レポートも、この機能を活用している場合が多いです。
多次元分析機能とも呼ばれます。この機能では企業に蓄積されたデータを多次元的に扱って、集計値の参照を行えます。
マイニングとは発掘という意味で、データを分析する事で、その中から価値ある情報を見つけ出すのがデータマイニングです。ディシジョン・ツリーや重回帰分析などの統計式を用いてデータを分析します。
レポート機能、OLAP分析、データマイニングにて得られた情報を、専用のダッシュボードにて閲覧できる機能です。レポートは常に自動的に更新されるため、利用者はこのダッシュボードを見るだけで現状の数値を把握することができます。
BIツールを導入すれば、上記のような専門的な分析を手軽に行う事が可能です。専門的な知識や技術を持っていなくても簡単に分析が行えるので、営業活動の分析には欠かせないツールといえます。
数値による分析を確実に行うために
上記のツールを活用するためにも、まずは前提として営業活動の数値化が欠かせません。主に必要となるデータには以下があります。
- 新規顧客の件数
- 既存顧客の件数
- アポの獲得件数
- 商談化した件数
- 受注件数
導入するツールや、分析を行いたい項目に応じて、分析項目は増やしていくと良いでしょう。また、様々な分析に対応できるよう、営業にまつわる数値やデータは適切に記録し、必要に応じて取り出せるようにしておきましょう。
ブラックボックスになりがちな商談データ
しかし、KPIを設定してすぐに分析できる体制を整えたとしても、営業成績の分析はマーケティングほど簡単ではありません。なぜなら、リードタイムや成約率に影響を及ぼす実際の商談の中身がブラックボックス化しているからです。たとえば「前月と比べて成約率が落ちている…」という時に、商談の質そのものが明確に変わっていれば原因が明らかですが、商談時のトークや資料内容、さらには商談後のフォロー回数や質などに影響を受けた場合、それらを深掘りして成約率低減の原因を明確にするのは非常に困難です。
営業の現場には、顧客を訪問した営業パーソンと顧客しかいません。商談の場でどのような営業トークをおこなっているか、顧客がどのような反応をしたか、という部分に関してはブラックボックスで、他の営業や管理職には成約あるいは失注といったアウトプットしか見えません。
商談での経験をアウトプットすることができれば、組織の営業効率向上につながり、特に優秀な営業パーソンのノウハウを共有することができます。優秀な営業パーソンがその場の雰囲気をどのように作り、どのようなトークで提案しているかという点は重要であり、それこそ営業メンバーの間で最も共有すべきことといえるでしょう。
しかし、それらの情報を言語化することは難しい上、日々の業務に追われ、営業スキルを共有する時間をまとまってとることもできないでしょう。
では、このようなブラックボックスになりがちなデータを可視化するためには、どのような方法で解決することができるのでしょうか。
bellFace(ベルフェイス)なら商談を見える化できる
営業活動を少数の営業パーソンのスキルに依存してしまうのではなく、組織として営業力をアップさせることが売り上げ向上には欠かせません。このためには、優秀な社員の営業手法を同じ営業組織内の誰もがおなじように実行できる仕組み作りが重要です。
インサイドセールスシステム「ベルフェイス」は、企業の、移動コストカットや営業リードタイム短縮、トークスクリプト表示機能による成約率アップだけでなく、営業ノウハウの共有という機能を備えている、オンライン商談システムです。
オンライン商談なので、営業活動を社内で行うことができ、社内にいる誰もが優秀な営業パーソンの営業スキルをその場で見学することができることも魅力的です。
機能についてご紹介します。
レコーディング機能
bellFace(ベルフェイス)はレコーディング機能により、商談の様子を録画しておくことが可能です。
レコーディング機能を利用すれば商談が行われている際にその場にいなくとも、成功商談の展開を確認することができ、個々の営業パーソンが自分の営業活動を反省する材料とすることもできます。商談の雰囲気の作り方を組織全体で共有できます。
個別の商談に入ってしまうと中身がわからなくなり、一部営業のスキルに依存していた従来の営業と大きく変わって、組織にある営業メンバー全員が「できる」営業パーソンにむかって成長することができます。
資料共有機能
bellFace(ベルフェイス)は社内で商談を行い、オンラインでのやり取りになるため、商談の度に資料を印刷することもなく、システム内で共有することもできます。また、顧客の思わぬ資料のリクエストにも柔軟に応えることができます。
bellFace(ベルフェイス)では資料提案&ダウンロードの機能を備えており、その場で顧客に資料送付できます。資料を後日郵送やメール添付で提供する場合と比較して、送付漏れの心配もありませんし、迅速に対応可能です。
共有メモ機能
bellFace(ベルフェイス)には顧客との打ち合わせ中に、双方が自由に書き込める共有メモの機能があります。
共有メモを利用することで改めて議事録を作成する必要がなくなり、商談中の認識をすり合わせるために議事録作成後にメールで送付して確認の返信をもらう、あるいは次回商談の冒頭で前回議事録を確認する、といった余分な時間も不要になります。
重複する作業の時間をカットできることは営業側顧客側双方にとって大きなメリットといえます。
画面共有機能
bellFace(ベルフェイス)ではPCの操作中の画面を顧客と共有することが可能です。画面共有機能ではカーソル位置の共有も可能ですので、顧客とその場で同席しているのと同様にPC上のサービスデモを行うことができます。
このようにbellFace(ベルフェイス)は営業活動を記録、共有するための各種機能を持っています。bellFace(ベルフェイス)を利用することで、人と人の活動であるがために属人化が起きやすかった営業活動を自然な形で共有することが可能です。
セールスログ機能
セールスログ機能では個々の商談においての営業資料をどんな順番でどれくらい参照したのかを見返すことが可能です。
このセールスログ機能により、優秀な営業パーソンの営業活動ではどの資料を重視しているのか、あるいはどの部分はあえてさらりと流しているのかといったことが一目でわかります。営業資料の使い方を共有することで営業トーク内での勘所をつかみやすくなります。
アンケート機能
bellFace(ベルフェイス)では商談後に顧客に対してアンケートを行うことができ、個々の商談後の顧客の反応を分析することができます。アンケート機能により、成約と失注の分岐が商談のどの段階で起きたのか、といったことが見えやすくなります。
このようにbellFace(ベルフェイス)にはいままで形にすることが難しかった優秀な営業パーソンのノウハウを見える化するための仕組みが備わっています。
組織の営業力を底上げすることで、全体の営業効率を大きく改善し、売り上げ向上への道をひらくのです。
まとめ
インサイドセールスシステム「ベルフェイス」はインサイドセールスの利点を最大限引き出すことが可能な仕組みを備えています。
ベルフェイスを利用することで優秀な営業パーソンの活動を無理なくデータ化、共有することが可能になりました。営業活動全体、商談の成約率で悩んでいる方は、採用をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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