リモート商談で成果が出せない営業必見!コロナ禍でも売るためのヒントが満載の「シン・セールス理論」はなぜ生まれたのか?(前編)

新型コロナウイルスの感染拡大で、思うような営業活動ができずに悩んでいるセールスパーソンの間で話題になっているnote記事があります。

営業代行や営業コンサルティングを手掛けるセレブリックスで、セールスエバンジェリストを務める今井晶也さんが書かれた『シン・セールス理論の完全解説|ニューノーマルで選ばれる、購買体験とセールスコンテンツ』(以下、シン・セールス理論)です。

文字数1万5000文字以上、12章で構成されるこの長大な記事は、2020年8月7日の公開以降、約30,000回の視聴数(2020年12月現在)を集めており、営業ノウハウ系の記事としては人気を誇っています。

なぜ今井さんはこの記事を書かれたのでしょうか。前・後編の2回に渡り、著者の今井さんご自身に執筆の意図やシン・セールス理論を活用するためのポイントをうかがいます。

株式会社セレブリックス営業企画本部
本部長 セールスエバンジェリスト今井晶也さん

セレブリックスのセールスエバンジェリストとして、セールスモデルの研究、開発、講演をおこなう。商品内容に依存されない、B2Bセールスの普遍のバイブルとなる“顧客開拓メソッド”を執筆、制作。Everything DiSC®️の認定トレーナーであり、専門は営業、プレゼンテーション、コミュニケーションスタイルと多岐に渡る。現在は営業企画本部本部長として、セレブリックスのコーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、採用活動の統括責任者を兼任。代表的な活動(講演内容)として、セールスNo.1グランプリの審査員や、テレワークカンファレンスでの基調講演、宣伝会議主催のセールスコンテンツ講座の講師実績がある。

コロナ禍があらわにした、購買環境の変化と古い営業スタイルの終焉

—— シン・セールス理論のポイントをうかがう前に、そもそもなぜこうした記事を書こうと思われたのですか?

今井:営業に携わっているみなさんと接するなかで、多くの人が見えない恐怖にさいなまれていると感じたからです。新型コロナウイルスの蔓延で多くの企業でテレワークが導入されました。

多くの方がこれまでとは違った働き方を強いられるなかで、これまでとは同じやり方が通用しないことはわかっていても、なかなかこのモヤモヤとした違和感を払拭できずにいます。

もちろんどなたも経験したことがない状況ですから、上司や先輩に相談してもはっきりとした答えはなかなか出てきません。つまり、多くの営業が将来やこの大きな変化への不安を抱えながら日々商談に当たっているわけです。こうした状況を少しでも何とかしたくてこの記事を書きました。

今井 晶也さんの写真

しかし、こうした買い手が置かれている環境の変化は、コロナ禍が顕在化する前から静かに、そして確実に進行していたと今井さんは指摘します。つまり、こうした大きな変化を踏まえ、いま必要な情報を体系的にまとめたもの。それがシン・セールス理論という位置づけです。

では、こうしたコロナ禍で可視化された購買環境の変化は、顧客の意識や行動をどのように変えたのでしょうか。今井さんは、このコロナ新時代における購買環境の変化を「コロナが与えた営業の3ロス」と表現しています。

ロス①繋がらない
テレワークが進んだことで、必ずしも毎日オフィスで働く必要がなくなった。すると新規で電話を架けてもキーパーソンに繋がらない、という機会ロスを生み出す。メルマガを配信する企業や頻度も増えたことで、情報を見てもらいにくくなった。

ロス②会えない
コロナの影響により、対面で提案を受ける機会は激減。オンラインでの商談に営業も顧客も違和感がなくりつつある。しかしオンライン商談でのコミュニケーションに苦戦する営業は多い。

ロス③買ってもらえない
先行きの見えにくい状況下においては、そもそも何を買うべきか購買の判断は鈍りがち。提案に対して必要性や魅力を感じても、「今はやめよう」と様子見の傾向にある。

今井さんは、こうした変化に対応するために、営業プロセスを見直し、アプローチの仕方、コミュニケーションの方法をニューノーマル仕様に改めるべきだと話します。

—— なぜ多くの営業は仕事に行き詰まりを感じているのでしょうか?

今井:私の周囲でもとくにコロナの状況が深刻化を増す4月以降、「顧客とのコミュニケーション全般に何らかの問題が生じている」「商談の機会が減っている」という声を耳にしたり、目にしたりする機会が格段に増えました。

なぜこうした状況になったのでしょうか。さまざまな要因が絡んでいるのは事実ですが、あえて一言で表すなら「これまでの営業プロセスを新しい環境にそのまま持ち込もうとしているから」といえるのではないでしょうか。

前提条件が変わったのであれば、営業プロセスはもちろん、営業自身の考え方や振る舞いも変わってしかるべきです。しかし状況が想像以上に早く進展してしまったがために、うまく対応できていないというのが実情です。

まずは冷静さを取り戻し、環境の変化に合わせて自らも変わる必要性を認識すること。それが、いま一番求められていることだと感じます。

こうした問題を放置していては、営業現場は疲弊するばかりです。今井さんはこうした状況をいち早く打開するには、まずはいま何がおこっているかを整理し伝えることが大切だと考え、だれでも気軽読めるnote記事として公開したそうです。

—— どんな方を読み手として想定されていましたか?

今井:日々現場で汗をかいている営業はもちろん、メンバーを抱えるチームリーダーやマネージャーなど、法人営業のなかでも新規開拓に関わるすべての方です。みなさんお仕事でお忙しいでしょうし、シン・セールス理論はかなり長い記事です。頭から順を追って読む必要はありません。困った時に必要な箇所をだけ拾い読みしていただければと思い、各項目はコンパクトに、かつ網羅性を重視して仕上げました。

「コロナ禍で顕在化したニューノーマル時代の“営業攻略本”として活用していただけたらうれしい」と今井さんは話します。

今井:よくよく状況を整理していくと、大きく変えるべきところと、逆にこれまで通りで構わないことがはっきりと見えてきます。

コロナ禍においても経済活動を止めることはできませんし、製品やサービスを求めるお客様が消えてしまうわけでもありません。

あやふやな点をクリアにすれば、不要な恐怖心や不安感にさいなまれることはなくなるはず。ですから、まずは気になるこころ、必要だと感じるところから読んでいただき、もし納得していただけたら、変えられるところから変えていっていただければと考えています。

20年以上に渡る営業ノウハウをベースに生まれたシン・セールス理論

2020年4月7日、首都圏を対象に緊急事態宣言が発令された前後から、大手企業を中心に、在宅勤務を前提としたテレワークが広がっていったのはみなさんもご承知の通りです。

メディアを通して、通勤時間がなくなり、ストレスが減るといったメリットが語られる一方で、それと反比例するかのように、日々顧客と会うことを前提に活動を繰り広げていた営業のみなさんは悩みを深めていきました。

—— ところで、なぜ今井さんはこうした変化をいち早く捉え、シン・セールス理論を書くことができたのでしょうか?

今井:幸いなことに私が所属するセレブリックスは、多様な業種のお客様に新規開拓を中心とした営業代行サービスを提供してます。営業サイクルがうまく回っている企業の情報に多く触れることができるため、こうした記事を書くことができました。

とはいえ、シン・セールス理論はコロナ禍以降に集めた情報だけで書き上げた記事ではありません。実はセレブリックスが創業以来、20年以上に渡る営業代行経験で培った「顧客開拓メソッド」がベースになっています。だからこそノウハウをいち早くまとめることができたんです。

—— ではシン・セールス理論のベースになったとおっしゃる、顧客開拓メソッドについて少し説明していただけますか?

今井:はい。弊社創業者が営業時代、お客様が買われた理由ではなく、買わなかった理由に着目し、その理由を徹底的にヒアリングしてまとめたのが、私たちの顧客開拓メソッドです。

簡単にいうと「顧客との関係性を深める」ための情報や「顧客の行動変容を促すような事実やデータ」をわかりやすくまとめたコンテンツを使って、お客様が「買わない理由」をひとつずつ消していく営業手法です。

今井さんは、コロナ禍を機に露わになった購買プロセスの変化を理解した上で、「この人から、すぐにでも買いたい」という“買う気”をおこしていただくためにも、コンテンツは活用できると話します。

今井:コンテンツと言うと、ついスライドや動画などのプレゼンテーションキットを想像してしまいますが、それだけではありません。説明用ではなく、問いかけ・ディスカッションのように、関係構築や課題発見のために利用することが増えました。
オンライン商談では、対面商談に比べて双方間で対話をするのが難しくなっているため、コンテンツの重要性が増したと考えています。

シン・セールス理論ダイジェスト

公開以来、閲覧数を伸ばしているシン・セールス理論。注目の理由は、コロナ禍によってこれまでの勝ちバターンが通用しなくなってしまった営業がいまもっとも知りたい知見が体系化されているからだ

つまり、シン・セールス理論には、この1年で可視化された課題や変化に加え、20年以上に渡る環境変化に耐えてきた営業ノウハウが反映されているわけです。今井さんは続けます。

今井:必要なのはその場しのぎの対策でも、過去に固執することでもなく、お客様が求める購買体験に沿った営業プロセスを実現すること。すぐに着手できることはいくつもあります。シン・セールス理論が、意識を変えるきっかけになってくれたらうれしいですね。

項目 旧来型 シン・セールス ポイント
購買環境 購買ポイント 比較検討 会話経済・相談 ・従来は比較検討での購買が主流
・情報過多&検討疲れで比較検討が手間に
・ニューノーマルの購買では信じられる人から会話や相談の中で購入に至る
購買フロー 検索→比較→商談 コミュニティ→相談→商談
コミュニケーション 会って話を聞きたい 必要な時だけ会いたい ・「基本は会う」から「必要な時に会う」へ
営業 営業戦略策定 営業環境 会社に出勤し、対面で商談 働く場所も商談もリモート ・営業活動におけるテクノロジー活用の重要性が増す
ターゲティング コールドコール
不特定多数のターゲット群
ABM
アカウントベースドマーケティングより厳選したターゲット群
多様化する異なるニーズへの対応
誰の、どのようなニーズに、どのような価値を提供するか
・信じられる会社、信じられる人になるためのアカウント個別戦略が重要
異なるチャネル・異なるターゲット毎に顧客が買いたくなる体験が変わることを理解する
購買体験を引き出す営業プロセスを設計する
顧客プロセスをチャネル別に作成する
顧客にフィットするセールスコンテンツを作る※顧客のニーズへのフィット
※顧客の検討ステージに対するフィット
価値ある情報を提供し、顧客にとっての“専門家ポジション”の想起を獲得する
専門性と関係性を高めて競争優位にたつ
攻略シナリオ 不特定多数のターゲット群 より厳選したターゲット群
セールスプロセス ファネル型 チャネル別の購買体験と営業プロセス
セールスコンテンツ 人それぞれ活用 組織的に設計
セールスプロセス 商談機会の獲得 ダイレクトにアポイント獲得 リード獲得とアポイント獲得を分ける 接触困難(受付代行・リモートワーク)の為、直通連絡がとれるリードが重要
電話以外の接触方法(イベント・フォーム・テック活用・ソーシャル)も確保できるようにする
商談前の事前準備 営業担当が仮説を立てる 顧客にも協力いただく 事前にアジェンダ・アンケート・質問を顧客に提示し、商談準備の精度を高める
アカウント毎の仮説に寄り添ったセールスコンテンツを準備する
アプローチ 会社説明やサービス説明 物語の披露
情理的アプローチ
基本情報は事前に共有、当日はWhyの話で顧客の関心を寄せる(想いへの共感)
顧客の導入反論になりやすいポイントは、あえて先出しして懸念を払拭する
ファクトファインディング 対面で聴きだす コンテンツをフックに「問い」を与える 質問項目は事前準備で先出しして、顧客が話しやすくする
事例等のコンテンツを活かし、顧客の課題に問いと発見を与える
企画・プレゼンテーション 対面での提案 対面と非対面のハイブリッド 意思決定方法に合わせて提案方法を選ぶ
非対面はウェビナー機能(Q&A・資料共有)を活用、商談の構成が重要
顧客育成 おみやげ・情報ネタを探す セールスコンテンツを用意 耳よりな最新情報を見える形にアウトプット
顧客の検討状況に合わせたコンテンツを用意
課題特定→ニーズの発見/導入事例など
提案評価→実現可能性/シミュレーションなど
クロージング 結論を迫る、促す 意思決定の後押し その場決裁は減少する。意思決定における悩みの種を減らす情報提供が鍵
商談相手の社内営業をサポートする役割を担う(代わりに提案or資料作成)

ざっと旧来型のセールスとシン・セールスにはこれだけの違いがある。逆にいえば、この違いをよく理解し、適時的確に対処すれば「商品は必ず売れる」と、今井さんは話す。

——記事公開後、どんな反響がありましたか。印象深いコメントがあればご紹介ください。

今井:一番伝えたかった「これからの時代を勝ち抜くのはコンテンツを活用できる営業である」という点を正しく理解してくださり、早速営業活動に応用してくださる方が多かったのがうれしかったですね。

これまでも、調査やヒアリングを実施する中で、オンライン商談がうまくいかず苦心している営業が多いことは承知していました。タイムリーにひとつの解決策を提示できてよかったと感じています。

後編では、シン・セールス理論が説くニューノーマル時代の新たな営業スタイルについて、今井さんご自身から詳しく解説していただきます。

《後編はこちら》

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