SFA・CRMは営業組織の進化に欠かせないツールですが、「営業担当者が入力してくれない」「せっかく入力しても活用されない」といった悩みを抱える企業も多いのではないでしょうか?
このような課題を解決し、SFA・CRMを最大限に活用するには、営業組織の「仕組み」と「文化」の両面からアプローチすることが重要です。
株式会社セラクCCCのSalesforce活用コンサルタントとbellFace株式会社の清水が、多くの企業を支援する中で培った経験をもとに、SFA・CRM活用成功のポイントを対談ウェビナーで語り尽くしました。今回はその内容を皆様にご紹介します!
ウェビナー講師
株式会社セラクCCC カスタマーサクセスソリューション事業部 課長【Salesforce活用コンサルタント】
要件定義と一部仕様設計を含めたゼロからのSalesforce導入経験を持ち、現在は、定着活用/運用/改善に6年間従事した実績からセラクCCCにおいて、Salesforce主軸のカスタマーサクセスコンサルタントして活躍。
ベルフェイス株式会社 事業企画室長 清水 貴裕
ベンチャーから東証一部上場グループと横断して、100社以上の営業支援や仕組み化を行う。その後ベンチャー企業の取締役COOも歴任し、3年で売上5倍、社員数100名規模に育てた。2019年ベルフェイスへ参画。大手向け営業グループ/金融領域の営業本部長を経て、現在はアライアンス領域の総責任者として活躍。
テーマ1:そもそもSFA・CRM活用は必要なのか
ベルフェイス 清水: 近年、「なんとなく導入すべき」という認識が広まっているSFA(営業支援システム)・CRM(顧客関係管理)ツールですが、多くの日本企業にとって、そもそも本当に必要なのでしょうか?
セラクCCCさん:結論から言うと、事業の成長と持続性を真剣に考える企業にとっては必要不可欠と言えるでしょう。なぜなら、国内の人口減少により市場が縮小し、グローバル化が加速する中、日本企業は生産性向上やデータに基づいた迅速な意思決定が求められているからです。
このような変化の波に対応するため、限られたリソースで最大限の成果を上げるには、従来の経験や勘に頼った営業スタイルからの脱却が必須です。SFA・CRMは、まさにこの難局を乗り越えるための強力な武器となります。
ベルフェイス 清水:そうですよね。「自分は現場に出ているから感覚がわかるから大丈夫。」という経営層の方がよくいらっしゃいますが、迅速な判断を迫られる経営層が、自ら営業現場に足を運ぶのは非効率な時間の使い方といえます。
そのため、「SFA・CRMを活用すれば、現場第一の感覚的な経営から脱却し、データに基づいた迅速な意思決定が可能になります」という話をよくします。
セラクCCCさん: そして、その傾向は規模が小さい企業ほど強い傾向にあります。そのため、営業人数が10名以下の規模であったとしても、SFA・CRMを入れることによってデータドリブンな経営判断ができるようになるメリットはあります。
テーマ2:活用促進のための成功事例
ベルフェイス 清水:SFA・CRM導入の必要性を理解した上で次に課題となるのが、「具体的にどのように活用を促進していくか」です。そもそもまず導入、構築の際に気をつけた方がいいことはありますか?
セラクCCCさん:何よりも重要なのは、経営層がSFA・CRM活用の目的を明文化して現場に落とし込むことです。経営層がツールを通してやりたいことを、現場が理解した上で作り込みを始めることが活用促進のための1番の成功の近道です。そのためには導入の際に経営層がSFA・CRMの構築に優先度をどれだけ高く持っていけるかが本当に大事ですね。
ベルフェイス 清水:経営層が自ら、会社全体の施策としてどのようなアウトプットを出すために進めていくのかを、関連部署を巻き込んで伝えていくことが大事だったりしますよね。
セラクCCCさん:おっしゃる通りです。SFA・CRMにどのようなデータを入力し、データをどのように活用して成果につなげるのかというアウトプットを明確にした上で、必要なインプットを設計する、という順番が非常に大切です。
例えば営業会議での進捗確認や、データに基づいた次のアクション決定など、具体的な活用シーンを想定しておくことで、現場の担当者も「何のためにデータを入力するのか」が明確になり、活用意欲の向上に繋がります。
ベルフェイス 清水:日々の具体業務の中に組み込めないと作って終わりになってしまいますからね。また私は、小さく始めて、段階的に進化させるのもポイントだと考えています。
弊社の事例ですが、私がSalesforceの構築担当をしていたとき、「リード管理」、「フェーズ管理」を同時に導入しようとしたことがあります。結果、全然現場浸透しませんでした。(笑)
セラクCCCさん:それは非常にあるあるですね。(笑)
ベルフェイス 清水:振り返ると浸透しなかった理由は明白で、当時の社員のリテラシーや社内ルールが追いついていませんでした。そこで、まずは現場にとって導入しやすい「リード管理」に機能を絞り、運用をスタートしました。その後、組織全体のリテラシー向上やルール作りを進めながら、 段階的に機能を拡充していきました。最初から完璧なシステムを目指さず、組織のリテラシーに合わせて段階的に進化させていくことが重要だと痛感しました。
セラクCCCさん:おっしゃる通りですね。最初からあれもこれもと詰め込みすぎると、現場が混乱してしまうケースは少なくありません。まずは、現状で可能な範囲の「ちょっと上」を目指す。そして、それが定着したら、次のステップに進む。このステップを繰り返していくことで、定着から活用に着実に進んでいくのではないでしょうか。
テーマ3:SFA・CRMが活用される組織文化・仕組み作り
ベルフェイス 清水:SFA・CRM導入を成功させるためには、組織文化や仕組みづくり、そして、何よりも「人」への意識改革が不可欠ですよね。私もよく、「SFA・CRMを導入したものの、なかなか定着しない」「ベテラン社員が新しい仕組みに抵抗を示す」といった悩みをよくお聞きします。
セラクCCCさん:そうですね。組織文化を作るためには、経営層自らがSFA・CRM活用の重要性を理解し、全社を挙げて取り組む姿勢を示すことが重要です。
新しいツールや仕組みを導入する際には、必ずと言っていいほど抵抗勢力は現れます。大切なのは、現場の声を無視して押し進めるのではなく、なぜ導入が必要なのか、活用することで、現場の負担軽減や成果向上に繋がるのか、現場でのメリットを丁寧に説明することです。
ベルフェイス 清水:トップダウンで導入を進めながらも、現場の不安を無視しない。そのためには、現場を巻き込みながら、楽しく活用できるような工夫も大事かなと思います。ベルフェイスでは、ダッシュボードをデザインする担当者を『ダッシュボードアーティスト』と呼んだりして盛り上げながらやっていましたね。
セラクCCCさん:非常に効果的な取り組みだと思います。特に構築初期段階では、現場の意見を積極的に聞き取りながら業務プロセスに無理なく組み込んでいくことがとスムーズな定着へと繋がりますので。現場の意見を取り入れやすいように楽しさという面も工夫できるといいですね。
ベルフェイス 清水:仕組み作りの面では、入力項目は簡単にするのがポイントではないかと思いますがいかがでしょうか?
セラクCCCさん:同じ意見です。入力が面倒だと、言い訳できないくらいシンプルに作り込むことで反対勢力の方にも入力いただけるきっかけになります!
まとめ
最後に本ウェビナーで語られたSFA・CRM活用に向けた3つのポイントを振り返ります!
1. 経営層が、全社的な取り組みとしてSFA・CRM導入を推進する
2. 「何のために使うのか」の目的を明確にし、アウトプットを意識した設計を行う
3. 現場の意見を聞きながら、自社のレベルに合わせた段階的な導入、設計を進める
SFA・CRMは、適切に導入し、活用することで、営業活動の効率化、成約率向上、そして、データに基づいた組織運営を実現する強力なツールです。しかし、導入すれば自動的に成果が出るというわけではありません。
今回のウェビナーを参考に、自社の課題や組織文化に合ったSFA・CRM活用を推進するヒントになれば幸いです。