人材不足時代が顕著になってきている今、営業生産性の向上は、企業成長の必須条件です。
しかし、営業生産性向上のために必要な指標の可視化や、効果的な改善策に悩む方も多いのではないでしょうか?
本記事では、そのような疑問に応えるべく、コロナによる大逆風から営業生産性10倍にV字回復するに至った、ベルフェイスにおけるセールスイネーブルメント事例を対談形式で語ったウェビナーの内容をご紹介します!
ウェビナー講師
山下 貴宏(株式会社Xpotential 代表取締役 兼 CEO)
船井総合研究所、マーサージャパン、セールスフォース・ドットコムにてセールス・イネーブルメントを牽引。2019年、セールス・イネーブルメント特化企業R-Square & Companyを設立し、2024年1月より、株式会社Xpotentialとして新たなスタートを切る。著書に『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』(かんき出版)、『トップセールスだけに頼らない組織を作る 実践セールス・イネーブルメント』(翔泳社)がある。
岩田 恭行(ベルフェイス株式会社 執行役員 第一事業部 事業部長)
リクルート、セールスフォース・ドットコムを経て、BtoBセールス&マーケティングのコンサルティング会社2BCの立ち上げに参画。多数の企業の営業変革/営業DX化プロジェクトを支援。2019年12月よりベルフェイスに参画し、現在は、電話面談システムbellFace事業のビジネス&プロダクト組織全体を統括。
倒産危機から生まれた「営業生産性10倍」への挑戦
ベルフェイス 岩田:弊社の主力事業は、自社開発の電話面談システム「bellFace」の販売です。創業から約10年で100億円規模の資金調達を実施し、近年は特に金融機関向けにサービスを展開、多くの顧客を獲得してきました。しかし、コロナ禍で状況は一変。既存顧客の解約が相次ぎ、厳しい局面を迎えることになりました。そこで、経営課題として「営業生産性10倍」を掲げ、約半年間をかけて営業活動を効率化するため、営業の標準化に取り組みました。
Xpotential 山下さん:まさに、本日はそのV字回復のストーリーに迫りたいと思います。まず、セールスイネーブルメントに取り組んでいる期間や営業組織の規模感について教えてください。
ベルフェイス 岩田:体制構築や仕組み作りに約半年、運用開始から現在までで約1年強、合計で1年半ほど取り組んでいます。営業組織の規模感は約20~30名程度です。
Xpotential 山下さん:ありがとうございます。それでは早速、具体的な内容に入っていきましょう。
■Step1. 営業の可視化:徹底的な現状分析から課題を明確化
ベルフェイス 岩田:まず最初に取り組んだのが「商談状況の可視化」です。SFA(Salesforce)は導入済みでしたが、売上高以外の指標を軽視しており、生産性向上のための分析には活用できていませんでした。そこで、問い合わせから受注に至るまでの各フェーズにおける具体的な行動を定義し、それぞれの転換率を細かく計測するようにしました。具体的な指標としては、問い合わせから資料請求、初回商談、提案、そして受注、といった各フェーズの成功率などを計測しました。
Xpotential 山下さん:可視化するためには、データ入力が必須になりますよね。データが入力されていないために、実態が見えないという課題が挙がる企業様が多い中、ベルフェイスではどのように徹底されていたのでしょうか?
ベルフェイス 岩田:弊社では以前からデータ入力の文化はありましたが、改めて「入力の重要性」を強く発信しました。また、SFAに入力したデータが、評価や意思決定に活用されるような取り組みを構築したことで、データの精度向上に繋がりました。
ベルフェイス 岩田:素晴らしいですね。データを明らかにすることによって、具体的にどのような点が課題として浮かび上がりましたか?
ベルフェイス 岩田:「受注率」と「単価」の2点が課題として明確になりました。受注率は業界ごとにばらつきがあり、顧客の潜在ポテンシャルに対して単価が低い状態になっていました。
Xpotential 山下さん:可視化によって、具体的な課題と伸びしろが明確になったのですね。
■Step2. 営業の標準化: 営業プレイブックで属人化を解消
ベルフェイス 岩田:次のステップとして、可視化によって明らかになった課題を解決するために「営業の標準化」に取り組みました。具体的には、営業活動のあらゆるプロセスを網羅した教科書である「営業プレイブック」を作成しました。
Xpotential 山下さん:網羅的な内容ですね!営業プレイブック作成において、どのような点に苦労されましたか?
ベルフェイス 岩田:はい、大きく2つあります。1つ目は、トップセールスのノウハウを言語化する難しさ。2つ目は、書かれた内容を実践レベルまで落とし込む難しさです。
トップセールスは感覚的に営業している部分も多く、言語化に苦労しました。また、言語化できても、それを現場で実行できるレベルまで落とし込むためには、具体的な行動指針が必要でした。
Xpotential 山下さん:まさに、多くの企業が直面する課題ですね。ベルフェイスでは、どのように解決されたのでしょうか?
ベルフェイス 岩田:まず体制面では、CRO(最高収益責任者)を責任者、事業部長クラスが推進担当として、経営層を巻き込み、プロジェクト化しました。
また、トップセールス数名をアサインし、営業活動の棚卸と標準化を徹底的に行いました。営業企画だけや一部の営業だけで行うのではなく、経営層まで巻き込んだプロジェクトとすることが、成功を分けるポイントだと思います。また、作成過程では、トップセールスへのヒアリングに加え、実際に営業プレイブックに沿って営業活動を行い、フィードバックを反映するサイクルを繰り返し少しずつ改修を加えていきました。
■Step3. 営業プレイブックの浸透:徹底した運用と改善で営業組織に定着
Xpotential 山下さん:素晴らしい営業プレイブックが完成しても、現場に浸透しなければ意味がありません。どのように浸透させていったのでしょうか?
ベルフェイス 岩田:「強制力」と「活用促進」の両面から取り組みました。まず、SFA(Salesforce)と連携し、営業プレイブックに定義されたチェック項目の入力と確認を必須にしました。また、営業会議や商談レビューでも、営業プレイブックをベースにした内容にすることで、日常的に活用する仕組みを作りました。さらに、「営業プレイブック順守率」という独自の指標を設け、各営業担当者・チームの進捗を可視化しました。
Xpotential 山下さん:営業プレイブック順守率!初めて聞きました。非常に興味深いですね。
ベルフェイス 岩田:営業プレイブックのチェック項目が、どの程度入力されているかをパーセントで表示しています。この指標を営業評価にも加えることで、営業活動の中にプレイブックをオペレーションに組み込みやすくなりました。
Xpotential 山下さん:そこまで徹底されているとは驚きです!
ベルフェイス 岩田:強制するだけでなく、定期的に「営業プレイブックアップデート会」を開催し、成功事例や改善策を共有する場を設けることで、ボトムアップでの改善も図っています。
Xpotential 山下さん:トップダウンとボトムアップの両輪で、実用性の高い営業プレイブックを作り上げ、浸透させたということですね。素晴らしい取り組みです。
■Step4. さらなる効率化:AIによる営業活動の自動化
Xpotential 山下さん:最後になりますが、営業担当者にとって、SFAやCRMへの情報入力は負担が大きく、正確性や効率性の面で課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。御社ではどのようにこの課題を解決されているか教えてください。
ベルフェイス 岩田:宣伝になりますが、ベルフェイスではこの課題を解決するために、AIを活用したソリューション「bellsalesAI(ベルセールスAI)」を開発しました。具体的な機能は以下の通りです。
・商談の録音データをAIが自動でテキスト化
・テキストデータから必要な情報を抽出し、SFAに自動入力
・事前設定した項目に沿って情報を整理
このソリューションにより、営業担当者はSFAへの入力作業から解放され、本来の業務に集中することができています。また、データ入力の精度向上も見込めます。
Xpotential 山下さん:セールスイネーブルメントを進める上で、多くの企業が頭を悩ませているデータ入力の課題を解決する、まさにうってつけのソリューションですね。
まとめ
セールスイネーブルメント成功の鍵は「可視化」「標準化」「自動化」
Xpotential 山下さん:ベルフェイスが実践したセールスイネーブルメントについて、具体的な事例を交えながらご紹介しました。
改めて、セールスイネーブルメントとは、営業の成果を最大化するための取り組み全体を指します。ベルフェイスの取り組みを参考にすると、
「可視化」「標準化」「自動化」の3つが柱 となっていることが分かります。
・可視化: 営業指標やスキルレベルを見える化することで、課題や改善点を明確にする。
・標準化: 営業プロセス、スキル、コンテンツを標準化することで、属人的な営業からの脱却する。
・自動化: 営業担当者の負荷を軽減し、効率を上げるための仕組みを整える。
多くの企業では、属人化やブラックボックス化、手作業による非効率などが、営業生産性を阻害しているのではないでしょうか?
ベルフェイスはこれらの課題に真正面から取り組み、仕組み化を実現したことで、10倍という驚異的な生産性向上を実現することに成功したと思います。このウェビナーの内容が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
株式会社Xpotentialはセールスイネーブルメントを支援します
Xpotential 山下さん:最後となりますが、株式会社Xpotentialでは、セールスイネーブルメントに関するコンサルティングやクラウドサービスを活用した可視化、業務代行など、様々な形で企業様の課題解決を支援しています。もし、本日の内容にご興味をお持ちいただき、お困りごとなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。