今生命保険業界で最も注目されているキーワードのひとつ「CX(カスタマー・エクスペリエンス)」。多くの保険会社の中期経営計画に盛り込まれるCXですが、具体的な方針/施策を定義できている企業は決して多くありません。
オンライン営業システム「bellFace」を提供する弊社で、保険業界向け営業部を管掌する宇賀神が登壇。多くの企業の顧客体験向上を支援する中で導き出した「営業活動におけるCX改善」について紹介したセミナーをレポートします。
保険業界を取り巻く環境
近年の保険業界では、デジタル化の動きが加速している。以前から多くの企業でDX推進を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響でそのスピードが一気に速まった。
加えて、経済産業省からのDXレポート発表、金融庁から書面・押印・対面手続きの見直しについて言及があったことなどを踏まえると、2021年がDX元年であると言っても過言ではない。
DX推進が求められる中、保険業界全体では以下の課題を抱えている。
- 顧客の変化(人口減少・少子高齢化)
- 商品の差別化
- 人材価値の向上
特に「商品の差別化」は大きな課題だ。基本の保障内容は、各社なかなか特徴を出しづらいという事情がある。
そこで重要になるのが「CX(顧客体験価値)の向上」だ。
優れた顧客体験価値を創出するには、「営業活動の形」と保険会社で働く「人材の役割の高度化」を、デジタル化とどのように融合させていくかがポイントとなる。
つまり、DX推進をしながら「いかにCXを上げられるのか」が、今後の成長における大きな分岐点だ。
実際に「CX向上」を戦略に掲げ、取り組む生命保険会社も増えてきている。
■例)第一生命ホールディングス様
生命保険業界におけるCXとは
ここで改めて「CX(顧客体験価値)」の概念について確認しよう。
CXとは、商品購入時だけではなく、購入前から購入後のサポートまでを通した購買プロセスにおける顧客の体験全般を指す。
これを生命保険のセールスプロセスに当てはめると、見込み顧客の段階から、契約をいただき、お客様になっていただく流れの中で、どうやって顧客体験を向上させていくかということになる。特に保険セールスでは、お客様とのタッチポイントが非常に多いので、顧客体験が極めて重要な要素であることは間違いない。
さらに高齢化などの環境変化を踏まえると、各保険会社は「お客様の一生涯に関わる保険としてどうやって価値を与えていくか」という点について深く考え、サービスに活かしていく必要がある。
CX向上につながる戦略
ここでベルフェイスが考えるCX戦略を紹介したい。
CX向上のカギは、まず顧客接点のデジタル化に注力することだ。これにより、顧客に関わるデータが蓄積される。さらにそのデータを活用すれば、顧客が求める情報・商品・サービスの提供につなげられるというサイクルが生まれる。
顧客接点のデジタル化を通じて、今まで対面商談では得られなかった様々な顧客データを取得することが可能になる。生命保険業界では、ブラックボックスになっていた対面商談そのものがデータ化されることで、コンプライアンスへの活用も期待できるだろう。
次のデータ活用のフェーズとして、営業の育成や教育、マネジメント、サービスの向上や商品開発といった分野にも適用させるというのがCX戦略の世界観だ。
ただし保険という商品は、その性質上、すべての営業をデジタル化することは難しい。なぜなら、ご自身・ご家族の命に関わる商品だからだ。実際、保険の契約やサポート時には営業担当と接点を取りたいと考えているお客様が多い(下図参照)。そのため他の商品と比較して営業担当の存在感が大きくなる。
この結果からは「やはり対面商談が有効だ」と考える人が多いかもしれない。しかし、コロナ禍においては非対面を希望する顧客が増加している。
つまり、お客様は営業担当者との接点を求めているのであって、必ずしも対面を求めているわけではない。
したがって、CX向上の観点で重要なのは、対面・非対面をうまく使い分け、お客様が選べる状況をどう作っていくかにある。
では生命保険での顧客接点に対して、お客様はどう感じているのだろか。
良いと感じた体験は、営業担当への信頼性や情報提供にある。逆に悪い体験は、情報提供への不信感、説明の食い違い、社内での情報共有の不備だ。
悪い体験を解消するには、顧客データを蓄積し活用することが重要だ。デジタル化が進み、全社共通のデータベースを持っていれば、過去の商談履歴や面談の内容を見られるので、誰がそのお客様と接しても適切な対応ができる。
- お客様との接点をすべて非対面にする必要はなく、メリットに合わせ対面・非対面を使い分ける
- 顧客データを収集・蓄積・活用することで、お客様一人ひとりの満足度を上げる
この2点が、生命保険業界における顧客接点のデジタル化=CX戦略のカギである。
CXを向上させるための戦略を構築・実行するためのパートナーを探しているという方は、ぜひ一度お問い合わせ願いたい。
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