近年日本でもインサイドセールスが浸透しており、BtoBの業界においてもインサイドセールスで営業活動を完結する企業もじわじわと増えてきています。
BtoC業界では、以前からインサイドセールスで商材を売り切るという手法は採られていました。俗に「電話営業」と呼ばれるもので、電気やガス・ネット回線の切り替えや学習商材の販売などで用いられています。
皆さんも、実際にそうした電話を受けたことがあるのではないでしょうか。こうした電話やメールなどで完結させる手法が法人営業でも浸透しつつあるのです。
今回はインサイドセールスのみで売り切るための前提条件と、どういった企業が適応しやすいかについて紹介していきます。
インサイドセールスのみで売り切るための前提条件
インサイドセールスのみで売り切るために、まず大切なのが「事前準備」です。
訪問を行う営業パーソンにとって、資料は欠かせないツールです。しかし訪問で利用される資料の多くは、顧客の状況やステータスによって訪問前に修正を加える必要があります。
しかしインサイドセールスに利用する資料やトークスクリプトというのは、後から補足説明を加えることなく、「誰が利用しても同じような内容を伝えられる」必要があります。
またインサイドセールスでの商談は「言った・言わない」といった後々トラブルを引き起こすような状況が生じにくいという特長があります。そのため、必ず伝えなければならないことをフローに入れるよう徹底する必要があります。
さらにインサイドセールスを活用するためには、顧客や商談のフェーズ管理をきちんと行う必要があります。SFA(営業支援ツール)やMA(マーケティングオートメーション)などのツールを導入ておくことも重要な前提条件となります。
どのような企業がインサイドセールスのみで成果を上げてきているのか、具体的な事例についてご紹介します。
インサイドセールスで成果を上げやすい企業の特徴3つ
商材が低額である/サブスクリプション型である
「サブスクリプションモデル」という言葉を聞いたことがありますか? 買い切りのモノやサービスではなく、「月額いくら……」という契約形態のものです。携帯電話の利用料や、音楽の配信サービスで主流になっています。
サブスクリプション型のモデルは、利用者に長く継続してもらうことが前提なので、基本的に一ヶ月ごとの費用が低額です。営業側としては、月額数千円を獲得するために定期的な訪問営業を行うことがあります。しかしこうした訪問営業はお客様にとっても面倒に感じられることがあるのです。
またサブスクリプションモデルをはじめとした低額の商材は、たくさんのお客様に買ってもらうために安くしているものなので、一件一件訪問していると何人営業がいても足りなくなってしまいます。そこで重宝されているのがインサイドセールスです。
たとえば月額の利用料が発生するタイプのソフトウェアを販売する場合、オンライン商談を行えばデモ画面を見せることができるので、訪問するよりも、むしろ多くの情報量が伝わるという場合もあるのです。
顧客が遠方に多い
商材によっては、顧客の属性が限られている場合があります。たとえば「旅館やホテル向けの、多言語同時通訳サービス」だったり、「大規模な工場向けの、太陽光パネル」だったり、「日本企業の、海外現地法人向けのコンサルティング」であったりです。モノでもサービスでも、こういった業界に特化している製品は多数あります。
こうした商材の顧客は観光地や工場地帯に拠点を構えていることが多いです。そうした地域というのは、会社から行きやすい場所にあるかというと、必ずしもそうではありません。新幹線や飛行機で何時間もかけて出張したのに「成約に結び付けられなかった……」なんて経験がある方も少なくないでしょう。
そんな時に活躍するのがインサイドセールスです。インサイドセールスであれば、物理的な距離は全く関係ありませんから、世界中どこに顧客がいても同じ提案をすることができます。
きちんと「ヒアリング」「提案」「クロージング」を行うことができれば、インサイドセールスで売り切ることは必ずしも不可能ではありませんし、本来かかっていた交通費がゼロになっていることに着目すれば、売り上げ以上の効果があるといっても過言ではありません。
営業組織が若い、人数が少ない
なにも商材だけがインサイドセールスの成否を分けるわけではありません。DODA 転職求人倍率レポート(データ)によれば、「営業」という職種はここ数年有効求人倍率が2倍を下回ることがない、人手不足の状態です。優秀な営業パーソンを採用することは非常に難しくなっています。
お問い合わせが多く、営業すればもっと売れるのに、人員不足で取り逃しているという状態に陥っている企業も多いでしょう。こうした営業組織を持つ企業が、インサイドセールスに舵を切ることで一日の商談数が倍以上に伸びるケースも少なくありません。
なかなか人が集まらなければ、訪問を思い切ってやめてみることも選択肢の1つです。またインサイドセールスは若手教育にも役立ちます。商談の数をこなすことができるのはもちろんのこと、録画録音できるウェブ会議システムなどを使えば、マネージャーが商談内容のフィードバックを行うことも可能です。
同行ばかりでマネージャーが全然会社にいない、細かく報・連・相をしたくても、マネージャーが忙しすぎて難しい……という状態にある企業も、インサイドセールスによって大きな効果を出すことができるでしょう。
インサイドセールスでの受注率を高めるためには?
一昔前まで営業は足で稼ぐと言われ、営業担当者が個人宅や会社を一軒一軒訪ねて商品・サービスの売り込みをしていました。しかし、インターネットが普及して誰でも会社のWebサイトや商品・サービス紹介ページ、SNS、ツイッターなどさまざまな情報を机にいながら入手できるようになり、外回りの営業担当者の話を聞く必要性は薄れてきました。
それに伴って外回りのフィールドセールスから、Eメールやチャット、Web会議などで顧客とのコミュニケーションを取って営業活動を行う内勤型の営業、いわゆるインサイドセールスを採用する企業が増えてきました。個人営業でも法人営業でもインサイドセールスで完結させるスタイルが浸透しつつあります。
ここでは、インサイドセールスでの受注率を高めるために必要なアクションについて4つご紹介します。
顧客との接点を増やす
見込み顧客に対して、自社の商品やサービスを周知し、継続的に情報発信をすることによって顧客との関係を醸成していくプロセスが営業活動には欠かせません。そのためには、Eメールやチャット、Web会議に加えて、メールマガジンやセミナーなども活用したインサイドセールスで、顧客との接点を増やしていく必要があります。
従来の訪問営業では、顧客との面談と移動に時間が取られてしまうため、1日で営業できる件数は限られ、営業担当者の人手不足に悩む会社も多くありました。しかし、営業活動が効率化できるインサイドセールスは、人手不足を解消するのに大いに役立ちます。
また、インサイドセールスは顧客の所に出向く必要のない営業手法なので、フレックスタイムや在宅勤務でも行うことができ、フレキシブルな勤務時間と多様性に富んだ働き方に対応でき、1人ひとりに合った勤務スタイルで顧客との接点を無理なく増やしていくことができます。
インサイドセールスの導入にあたっては、このように顧客との接点を増やすことを目的にするなど、明確な目的の設定が大切です。自社が保有する営業手法の中で強みとする手法をインサイドセールスに取り込み、アプローチ方法を決め、アプローチする見込み顧客の優先度を決めます。
インサイドセールス実施後は、顧客とどのくらい接点を増やすことができたかなどを評価指標とし、必要に応じて改善し続けましょう。
BANT条件などを活用した見込みの見極め
インサイドセールスで営業活動を行う対象の見込み顧客が、どの程度案件化するか「BANT条件」を活用して見極めましょう。BANTとは、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の略で、案件をセグメントし、フォーカスする条件として使用される手法です。これら4つの情報を元に商談成立の見込み度合いを判断します。
案件の有望度は、会社として把握すべき重要な事項です。見込み度合いによって優先順位や営業計画が変わってきますが、実際の営業現場では営業担当者に受注確度を聞いても感覚的な答えしか返って来ず、営業担当者も受注の可能性がどのくらいあるのか見込みがついていないことが多々あります。
そのような場合には、各営業担当者がBANT条件を意識することにより、受注見込み度をきちんと把握できるようになります。それにより2つのメリットがあります。
1つ目は、BANT条件が担当部署の共通認識になっていれば正確な受注見込み度を伝えることができること、2つ目は、これらの情報を部署としてセグメント化・整理できれば、経営陣を含め全社的に一目で受注見込みを理解することが可能になることです。
とるべきアクションを明確化するシナリオ設計
インサイドセールスでの受注率を高めるために、取るべきアクションを明確化するシナリオ設計を立てましょう。その手法として、ナーチャリングやMAツールがあります。
ナーチャリングとは、インサイドセールスによって見込み顧客を育成することです。インターネットが普及した昨今、誰もが欲しい情報をいつでもWebから入手することが可能になり、顧客は興味のある商品やサービスの情報を能動的に自ら収集するようになりました。
そこで、自社の商品やサービスに興味を持っている見込み顧客を見つけ、それぞれに応じた役に立つ情報を最適なタイミングで提供することにより、見込み顧客と良好な関係を築いてニーズを高めます。これがインサイドセールスによるナーチャリングの一般的な手法です。
他方、MAツールとは、マーケティングオートメーションツールの略で、2014年頃から日本の企業に導入され始めた比較的新しい概念で、企業が新規顧客開拓のための営業活動を行う際に、マーケティングの活動内容を可視化・自動化するツールのことです。
MAツールでは、Webサイトにアクセスした顧客や自社へ問い合わせがあった顧客、メルマガ登録をした顧客などを自動でリスト化するリードジェネレーション機能や、購買意欲の違いによって顧客を点数化するスコアリング機能があります。
また、スコアに基づいて有望な顧客にメールを送信したり、役に立つ情報を配信したりして継続的に顧客にコンタクトを行い、購買意欲を促すといった一連の営業活動を自動化するリードナーチャリング機能も有しています。
トークスクリプトの活用やチームでのフォロー
インサイドセールスの運用にあたって、電話での営業や顧客からの電話による問い合わせの際、それぞれの顧客の状況に合った最適な会話を交わすスキルが求められますが、誰もがそういうスキルを身につけるのは難しいものです。そのような課題の解決にはトークスクリプトの活用が効果を発揮します。
トークスクリプトとは、課題に即した対応方法を事前に準備するスクリプト(台本)のことです。顧客のタイプや質問内容、状況に応じてさまざまなシチュエーションを想定しながら作成します。画一的な話し方にならないように、想定したシチュエーションに対していくつかのバリエーションを用意し、それぞれの顧客に対して最適なトークスクリプトが選択できるようにしておくことが大切です。
ただし、トークスクリプトはあくまでも台本なので、ただ読み上げるだけでは機械的な話し方になってしまいます。話す基本的なことは統一するにしても、状況に応じて語尾などを適宜変え、また、トークスクリプトで想定した会話にならない場合でも柔軟に対応できるようにしておくことも大切です。
トークスクリプトの活用により、場面に合わせた基礎的な会話ができるようになりますが、会話力にはどうしても経験の差が出ます。
そのような場合は、チームでフォローをすることが必要になります。例えば、インサイドセールスツールの機能を使って会話を録音・録画して、経験豊富な担当者が新人にフィードバックをしたり、電話をグループ通話にして即座にアドバイスできる体制を敷いたりと、チームで対応できるような工夫を施しましょう。
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まとめ
訪問せずにインサイドセールスだけで製品を売り切るということは、営業側だけではなく顧客側にとってもメリットがあります。
一度自社の状況を振り返り、紹介したような「サブスクリプション型」「顧客が遠方に多い」「営業人数が少ない」にあてはまる場合には、インサイドセールスの導入を検討されてはいかがでしょうか。もしかすると競合他社に後れをとってしまっているかもしれませんよ。
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