bellSalesAIで商談記録やログの入力効率化は進んでも「商談データをどう活用し、成果につなげるか」は、まだ模索中という企業も多いのではないでしょうか。
その答えを示すべく、Unipos株式会社(以下、Unipos社)ビジネス本部VP営業部部長 前田氏をお迎えして開催された本ウェビナー。bellSalesAIを活用して営業活動をどのように変革し、具体的にどのような成果を上げているのかをレポート形式でお届けします。
登壇者
Unipos株式会社 ビジネス本部 VP 営業部部長
前田章悟(まえだ しょうご)
新卒で企業のインターナルブランディング支援の企画営業に従事し、「理念策定・浸透」「社員総会」「社内レク・イベント」「表彰制度設計・運用」「社内報作成支援」などを手掛ける。
2020年Unipos株式会社に入社。Unipos社のバリュー策定 / 浸透チームに所属し、自社のバリュー浸透の実践を推進。現在は、人的資本経営推進や従業員エンゲージメント向上に関する課題解決に向けたカルチャー変革支援の一環としてWS実施やUnipos導入設計を行う組織の部長を務める。
bellSalesAI導入前にUnipos社が抱えていた課題
Unipos社ではbellSalesAIとは別のオンライン商談録画ツールを2022年頃から利用していましたが、次の4点が課題としてありました。
課題①. オフライン商談のブラックボックス化
コロナ禍の収束が見えて対面での商談比率が戻るなか、オンライン専用ツールではログが残らないため、担当者の議事録に依存する状況でした。
課題②. マネジメントコストの拡大
通勤時間を利用して録画を倍速で確認するなど、マネジメントコストの増加。一次情報を追うことが非効率、かつ定性情報の横断把握も困難でした。
課題③. Salesforce活用の問題
営業メンバー個々の議事録精度によるため、入力内容にばらつきがありました。Salesforceの活用は重要だが緊急度が低く、改善が後回しになっていました。
課題④. 業務生産性向上の障壁
生成AIを用いた業務生産性向上に難しさを感じていました。使いどころの設計が未成熟で、生成AIの活用自体が目的化してしまっていました。
bellSalesAIの活用方法
前述の課題より、bellSalesAIの事業構想や機能面から導入を決定。Unipos社が実際にbellSalesAIをどのように活用しているのかを具体的にご紹介します。
単なる入力効率化にとどまらず、Slackやメール作成、次回商談の準備、さらにはマネジメント分析まで幅広く応用されている点が特徴です。
bellSalesAIに登録している要約項目は20項目
bellSalesAIでは、事前に書き起こしされたテキストを任意の項目で要約をおこなうことが可能です(「CRM/SFA項目」機能)。
Unipos社が登録している要約項目はおよそ20項目。SalesforceやSFAの項目に揃え、以下の6カテゴリで設計をおこなっています。
- サマリー:商談の全体像とネクストアクションの把握。
- 顧客理解・ヒアリング:お客様の期待やミッション、現状、理想・課題などを定性的に網羅。
- 提案に関する内容:提示したソリューションと提案に対するお客様からのフィードバック。
- 検討を進める上での要点:キーマン、意思決定プロセス、予算目安など。
- 価格・条件:提案金額やそれに対するお客様の反応。
- 顧客の興味・関心:お客様からの質問内容を蓄積。
これらの「項目設計」が、後述する連携・分析・再利用の起点になっています。
活用例1.リアルタイムコミュニケーション
SlackとSalesforceを連携することで、商談の要約サマリーが特定のチャンネルに自動投稿されます。
これにより、マネージャーやチームメンバーは常に最新の案件状況を把握でき、気になる点があれば即座に声を掛けてフォローアップが可能です。
日常の業務の合間でもサマリーを確認できるため、早期の軌道修正や課題特定がスムーズに行えるようになりました。
活用例2.御礼メール作成の効率化
商談終了後、録音データの文字起こしをプロンプトに貼り付けて御礼メールを生成する仕組みを導入。これにより、従来10分以上かかっていたメール作成が約5分で完了できるようになりました。
さらにメンバーの中には、同じ文字起こしを使って自分の商談に対するフィードバックをAIからもらう取り組みも広がり、自己改善の習慣化にもつながっています。
活用例3.次回商談の準備効率化
Unipos社の商談は複数回にわたることが多いため、初回内容を正確に引き継ぐことが重要です。
bellSalesAIの要約項目と文字起こしを参照することで、次回商談に向けたストーリー案を効率的に作成できます。
結果として、共有コストの削減と提案クオリティの底上げを実現し、同席者も短時間でキャッチアップ可能になりました。
活用例4.マネジメント分析
マネジメント層は、各メンバーのヒアリング要約率や記録の網羅性を比較し、弱点を持つメンバーを特定・ケアしています。
また、「顧客の期待」と「提案内容」「フィードバック」の整合性を確認することで、ズレを早期に是正。さらに、複数回の商談ログをまとめて分析し、案件が時期ずれした要因仮説を導くなど、定性情報を活用したマネジメントサイクルを実現しています。
bellSalesAI導入後の成果・変化の兆し
Unipos社がbellSalesAIを導入したことで、営業現場にはさまざまな変化が生まれました。具体的には、以下のような成果や兆しが見られています。
- 時間短縮:記録〜共有〜メール〜次回準備までの所要時間が大幅圧縮。
- 抜け漏れ防止:オフライン含む一次情報を要約項目で標準化。
- 提案の質向上:定性ファクトを起点に、次回以降の筋書きを素早く高解像度に。
- 情報連携コストの低下:Slack×Salesforce×要約で部門間連携が円滑に。
- 学習文化の醸成:自己レビュー/相互称賛が回り、組織の“骨太化”に寄与。
これらの成果は単発的な効率化に留まらず、営業組織全体の文化や働き方を前向きに変える兆しとなっています。
ウェビナー当日の質疑応答
ウェビナー当日に参加者様よりいただいた質疑、前田様のご回答の一部をご紹介します。
Q.「人事評価制度と「商談記録や活動ログ入力」「商談データ活用実績」は結びついていますか。結びついている場合、どのような評価方法を取られていますか?」
Unipos 前田氏:「営業メンバーの成長を支えるために「成果目標」「挑戦目標」「学習・AIX目標」の3つを設定しています。売上などの成果だけでなく、将来のキャリアに向けた挑戦や生成AIを活用した効率化も重視。これらを半期ごとに設計し、四半期ごとに振り返る仕組みを回しています。商談データの蓄積は、その目標達成を支える大切な土台になっています。」
Q.「フィードバックはSalesforceのレポートを使って可視化していますか?メンバーにフィードバックを伝えるときに押さえるポイントがあれば伺いたいです。」
Unipos 前田氏:「商談フィードバックは人が直接伝える形をとっているため、Salesforceのレポートでの可視化はおこなっていません。ただアイデアベースですが、bellSalesAIに「フィードバック」というCRM項目を設ければ、管理できる可能性はあると思いました。また、メンバーへのフィードバック時は「商談の狙いや意図」を先に確認し、それに基づいて具体的な指摘や改善点を伝えることを大切にしています。」
まとめ
今回のウェビナーに登壇いただいたUnipos社の事例は、bellSalesAIが単なる工数削減ツールではなく、営業活動全体を底上げする基盤になり得ることを示していました。
実際に活用している企業の具体的な声は、導入を検討している方や、まだうまく活用できていない方にとって参考になるポイントが多いのではないでしょうか。
「データ活用をどう始めればよいか分からない」「bellSalesAIを入れたものの成果を出しきれていない」と感じている方は、まず本記事で紹介したSlack連携や御礼メール自動化といった活用を是非ご検討ください。