【特別対談】金融DXの現在地とこれから ~真にお客様が求める変革とは~

日本社会でDXが本格的に叫ばれるようになって久しくなります。殊に金融は、いわゆる「レガシー」と言われる分野でかつ、生活者一人ひとりに関わるものも大きいため、求められるものは日に日に大きくなってきました。では、本当にお客様が求めていることとは何なのでしょうか?ベンダーという立場から日本の金融DXに関わるキーマン二人が対談しました。

株式会社セールスフォース・ジャパン
常務執行役員 田村英則
1987年に日本電気コンピューターシステム株式会社入社。その後デジタルイクイップメント株式会社で金融業界向けの営業を担当。2000年、SAPジャパン株式会社にて金融事業の責任者として国内金融業界向けERP事業部の立ち上げを行いビジネス拡大に貢献。2009年に日本ヒューレット・パッカード株式会社において、エンタープライズ金融営業統括本部長として、銀行、証券、生命・損害保険会社の担当営業を統括。 2015年に株式会社セールスフォース・ドットコム入社。金融営業本部長として、国内の銀行、保険、証券、ノンバンクのお客様を中心に、顧客とつながるためのサービスの提案を行う。2018年8月に常務執行役員に就任。2020年2月より、エンタープライズ公共・金融営業統括本部長として公共、銀行、証券、保険の担当営業を統括。

ベルフェイス株式会社
代表取締役 中島一明
1985年生。福岡県出身。起業を志し、高校を3か月で中退。15歳で土木会社に就職し、貯めた資金で世界一周の旅をしながら200枚のビジネスプランを作成。 2007年、21歳で一社目を起業し、各県の中小企業経営者を動画で紹介する広告メディア「社長 .tv」を全国展開。紆余曲折を経て同社を退任したのち、2015年4月27日にベルフェイスを設立。

金融業界の現状と課題について

 

――まず金融業界の現状と課題について、どのように捉えているか。それぞれのお立場からご意見をいただけますでしょうか。

田村:私が株式会社セールスフォース・ジャパンにジョインした2015年当時、Salesforceを活用する銀行はまだ少なく、一部の保険会社で、例えば経費管理など様々な業務アプリケーションが作れる開発のプラットフォームとして採用されていた状況でした。Salesforceの軸はあくまでCRMなのですが、残念ながら当時は、金融業界が顧客軸でクラウドを使うこと自体、浸透してはいませんでした。それが、この数年で大きく状況が変わりました。

まず大きな要因のひとつに、“人員削減に伴う生産性向上の必要性”が挙げられます。コストはもちろん、いかに効率よく仕事を進めるか?の観点から、クラウド化の議論が生まれました。そして各銀行間での競争も激化し、他行との差別化を図る意味で、新たなサービスを作ったり、もっとお客様のことを深く理解したりしなくてはなりません。当然、スピード感が重要になるので、スクラッチでシステムを作っている暇はなく、我々のようなSaaSを活用しようという機運が、意識の高い金融機関の中から生まれてきました。

――他業種に比べて、金融機関が出遅れてしまったのは体質的な問題でしょうか。

田村:どうしても堅牢なシステムを構築しなくてはならないので、顧客管理システムなど一から作っていたら、それこそ2年ぐらいの期間を要してしまいます。しかも金融機関独自のセキュリティポリシーなど、様々なルールにがんじがらめになり、稼働するまでとてつもない時間がかかるのが実際です。

ところが、営業サイドは待ったなしです。長期にわたるマイナス金利から銀行の収益構造が変わり、新たなサービスを打ち出していかなくてはなりません。これまで以上にお客様との取引関係を強化する必要もあります。前線に立つビジネスサイドの担当者たちは、新しいシステムを明日にでも使いたいわけです。

中島:金融業界は巨大です。金融業界の何らかのカテゴリーで業界標準になるだけで、SaaSの会社がユニコーン企業になれるほどの規模がある市場は、他にありえません。

そんな巨大な市場の中で、先ほど田村さんも言われた通り、非常に堅牢なSIerの方々が門番のように立ちふさがっていて、「自分たちで良いもの作れる」と言っている。そして銀行さんとの関係性も深い。そこにコロナが襲い掛かり、いきなり非対面で業務を遂行することが求められるようになりました。店舗に人が出勤しなくなれば、当然、効率化が求められます。自動化できる仕事があるのではないか?という観点で業務の見直しが入ります。本当だったら、あと20年はかかったかもしれないものが、コロナによって一気にデジタル化になりました。

その急激な変化の中で、SIerによるシステム開発が追いついていきません。しかし現場は切迫していて、本業の融資はマイナス金利で利益があがらないので、お客様にはこれまでとは違った金融商品を売っていく必要があります。お客様を理解してペルソナを作って、この方が求めるものが何なのか?を考え、継続的に提案をしていく。そのためにはCRMが必要になり、さらにそれを実現するためのコロナ禍におけるソリューションが必要になってという流れの中にあります。

田村:営業的な判断にCRMベースを入れる流れは、コロナ以前からありました。日本企業でも生産性が重要視されるようになり、営業が強い企業やコンタクトセンターでSalesforceが導入されるようになります。そして、日報にお客様情報が入力され、データが蓄積されることで、徐々にCRMの価値が正しく理解されるようになっていきました。その流れに乗って、私たちがある金融機関を訪問して商談を進めていたところ、そこがベルフェイスを使っていたのですね。これは面白いと直感的に感じました。

要するに、営業活動の記録をSalesforceに入力する必要があります。そしてリモート対面時の録画はベルフェイスのクラウドにあります。CRMの活動記録と、ベルフェイスの記録動画が自動的に紐づけば、営業担当者は活動を入力する必要がなくなるのではないか?と思いました。私たちには、「Salesforce金融パートナーエコシステム」というものがあります。Salesforceに不足している機能を、パートナーと連携しながら補完し合う仕組みですが、そこにベルフェイスにもご参画いただき、技術的に繋がる仕組みを作れば、Salesforceにとっても、さらに強力な武器が増えることになります。

――ベルフェイスにとっても大変ありがたい話ですね。

中島:そうですね。その銀行さんが田村さんに話をしなければ恐らく、このような関係作りはできなかったかもしれません。Salesforceの拡張機能のストアでダウンロードされているアプリケーションのランキングがあるのですが、そこで我々は、昨年初めて金融業界で使われているエクスチェンジの機能としてナンバーワンの評価をいただきました。

田村:数あるアプリケーションの中で、もっとも使われているということです。ある意味、私の直感は的中しました。

金融DXの本質

 

――Salesforceとベルフェイスを組み合わせることで、金融機関に対してどのような価値を提供できるようになるのでしょう。

田村:ベルフェイスがあれば、お客様は窓口に行かず、携帯電話ひとつで金融取引について聞きたいことが全部聞けます。電話では説明が難しい、伝わりづらい内容でも、ベルフェイスを使えば、資料も見せることができるし、何よりもお客様が喜ばれますし、安心もできます。そして銀行の営業担当者もオフィスの中で提案・営業ができるようになり、格段に効率がアップします。移動時間がなければ、もしかしたら30分おきにアポを入れることもできるかもしれません。これはすごい効果ですよね。

銀行の方がノウハウを身につけたら、今度はお困りの取引先に対して、「Salesforceとベルフェイスを使ったら、在宅で営業ができる。しかも明日から使えます」と話ができるようになります。これは間違いなく心が動きますよね。

中島:Salesforceとベルフェイスはとても相性がいいのです。というのも、コロナ前、ベルフェイスは、BtoBの営業ツールでした。そこで順調に成長していたのですが、コロナ禍の中で、ZoomやTeamsが一気に普及したことで、今まで5年かけて積み上げた顧客基盤が揺らぎ始めました。実は我々も2年前まで、金融機関の導入は一桁くらいしかなかったのですね。そこから今は、生保や信金、地銀さんを合わせると100社近くまで増えています。売り上げの比率も10数%だったのが、3割を超えてきています。そういう時に我々が最初にフォーカスしたのは個人向け営業のソリューションで、BtoBではなくてBtoCだったのですね。

ベルフェイスを一言でいえば、「リッチに電話営業ができるソリューション」です。電話の延長でお客様に提案をしたり、お客様のスマートフォンの画面を見ながら操作を案内したりできます。さらに今年は、Webフォームでの申込手続きにおいて、スムーズな案内が可能になる“リモートコントロール機能”をリリースしました。営業担当者が自身のPCにて申し込み画面を表示し、一時的にお客様へ営業担当者の画面の操作権限をお渡しすることができる機能で、すでにメガバンクで大型導入していただいています。したがって、実は電話が繋がってさえしまえば、店舗で対面でやっていたことの大半ができてしまいます。

またベルフェイスでは商談の録画録音データを記録することができますが、CRMの機能は持ってないので、肝心な顧客情報を集積することができません。それを、Salesforceと一緒に提案をすると、顧客や商談の情報があって、そこに全てのやりとりを紐付けて記録することができるようになります。

それと同時に、お客様と営業パーソン、銀行であれば行員の方がやっていたやりとりが、全部デジタル化されて、CRMに連携して記録されます。つまり、我々とSalesforceが連携すると、今までブラックボックスだった対面や店舗でのやりとりが、すべてデジタルデータ化され、担当者が辞めても永久に残るようになります。これが一番大きな価値となるので、Salesforceとベルフェイスを一つのユニットとしてセットで導入しようと考えているのは、本質的に組織全体をDXしよう考えている会社といえます

――Salesforceがベルフェイスのような、勢いのあるベンチャーとパートナーシップを組むことで御社の価値が上がるだけではなく、将来性のある会社さんに頑張ってもらうための土壌を作っていく狙いもあるように感じましたが、実際はいかがでしょうか。

田村:ベルフェイスのような会社にとっては不要なお節介かもしれませんが、基本的に私の考えには、そういった部分があります。現在、地方創生を意識した活動をしているのですが、地方行政にもSalesforceが数多く導入されるようになれば、そこに様々な民間企業やベンチャーが繋がっていきます。パートナー企業のビジネスと地域の皆さんのハッピーに繋がることをやるというのが基本的スタンスです。このエコシステムがSalesforceにとっては最大のバリューであり、差別化ポイントになります。

――そのようにおっしゃられると選ばれた側のベルフェイスとしても、しっかり価値を発揮しなければという思いも湧いてきそうですね。

中島:そうですね。今、盛んに世間で言われている「DX」という表現はとてもフワッとしていますが、CRMやSFAの導入はどう考えても絶対必要ですよね。お客様の情報を管理せずにどうやってお客様と付き合うのかという話なので、DXの1丁目1番地は、まず顧客管理システムを入れて運用することだと思います。ただ、これがDXとして本当に会社に根付いて、価値を創出していくには一定の時間がかかるのと、その効果が経営層にはわかっても、現場の人にはわかりづらかったりします。

そのときにシンプルに、ベルフェイスのような、直接お客様と営業で使うソリューションがあって、トップ営業が先月一番売り上げた、単価が高い受注の録画データを共有できる。しかもそこには、どんな資料を使って、どんなふうにクロージングして、どんなコミュニケーションして、ここでお客様にどんな切り替えをして受注に至ったのかが記録として残っています。これは営業パーソンにとって“本能的に見たいもの”といえますよね。

ピンポイントで自分が見たい部分を閲覧できて、しかもそれがチームに共有できる。しかもこの録画データを誰がちゃんと見たか、ちゃんと学んでいるかとかいうデータも全部視覚化できます。ベルフェイスとの相乗効果で、CRMが経営にとっても営業チームにとっても有益なものになる、そんな相乗効果を生み出すと思います。

また最近では、金融庁からお達しがあって、証券業界においては目論見書の電子交付対応が急務になっています。実はベルフェイスでは、すでに既存の営業フローに組み込まれて取り組んでいらっしゃる先進事例もあるんですよ。

田村:地域銀行ではDXを進めたいという取引先にSalesforceを紹介していますが、使い続けて実際にビジネスを成長させるベースになっていると実感していただく必要があります。そうでなければいつ解約されてもおかしくないですよね。それがSaaSの宿命です。なので、色々なパートナー企業がSalesforceと繋がっていくことで、新しい使い方や世界観が広がってくると、さらにユーザーも継続して使っていくようになりますし、データが蓄積されることで、初めて見えてくるものもあります。それがデータドリブンです。

金融DX事例

 

――そもそも田村さんが地方創生や地方の金融機関の支援に力を入れているのは、どのような理由からなのでしょうか。

田村:以前は、地方自治体の中ではSalesforceの認知度は低く、まったく見向きもされていない状況にありました。一方で、コロナ禍となり、地方行政ではなく国の施策として、Salesforceを使っていただける機関が増えてくるという現象がありました。コロナになってからは、地方は観光が見込めず、すっかり経済が冷え切っていました。やはり地方が発展しないと、日本経済は成り立ちません。地域を盛り上げるための軸は中小企業と観光です。そして人口をどれだけ増やせるか。雇用創出。そう考えたときに、一番軸になるのは地銀なのです。

Salesforceを活用している地銀はもちろん、うまくいっている地銀から紹介されてSalesforceを活用する中小企業も、やはり売り上げは伸びるのです。地域経済の中にデジタルが根付いてくると、雇用を生み出すことができます。Salesforceのパートナー企業が山口県の萩市に開発拠点を作り、地元の新卒を採用して、Salesforceで仕事をしてもらうという事例がありました。19歳の子が立派に東京のお客様の仕事を、地元にいながらにして対応できる。とても生き生き働いているのですね。この雇用創生のニュースが流れて、萩の人たちが喜んでおられるわけです。

地域にデジタルが根付けば、間違いなく地域経済が盛り上がり、そして日本全体に波及していくものと確信。そしてそこにはやはり、パートナーさんの存在が不可欠です。

――そういう意味では、ベルフェイスも、これからやるべきことは山ほどありそうですね。

中島:そうですね。そもそも、勘と根性の営業をテクノロジーで解放するというのが当社のミッションです。マーケティングやECは、この30年で様変わりしました。しかし営業の世界は、進化したようで何も進化していません。

世界で一番多い職種は営業職と接客です。つまり世界を変えたい、世界の働き方を変えたいと思うのであれば、営業職と接客の人を変えることができれば間違いなく世界は変わるのです。その割に、今、世界ではようやくZoomが広がって、“オンラインでやるって便利だね”と気づいたレベル。だからこそ、Salesforceも私たちも、さらに限りなく拡大していく可能性があると感じています。

顧客から生のデータを集めてきて、Salesforceに統合していく。それが、ユーザーが便利だから義務感で入力するのではなく、便利だから使っていたら勝手にデータが溜まったという世界にしていく、そこに私たちのパートナーシップの意味があり、ベルフェイスが貢献できるところだと思っています。

我々が作ったのは電話の延長で契約まで締結できるようなシステムです。月末の督促で、契約しますと言っているお客様に契約書を郵送したり、Webフォームを送って待っていることもなくて、電話の延長で契約が取れるのだったらトップ営業こそ本能的に使いたいと思いますよね。しかもそれが自動で録画されて、Salesforceに電話番号と一緒に紐づく。会社にとって重要なデータが自然に貯まるのです。私たちのこのコンセプトが、Salesforceが掲げる世界観と一致していると感じています。

この先の世界観

――この2社で手を組むことで、どのような新しい価値を創造しているのでしょうか。それぞれのお立場からお話しください。

中島:Salesforceは、あらゆる情報が蓄積されていくという意味で、受け皿だと思います。ベルフェイスは企業の担当者が顧客とコミュニケーションする、営業のラストワンマイルのコミュニケーションを提供する会社です。このラストワンマイルが便利になればなるほど、企業には自然にデータが蓄積されて活用できるようになり、データが集まれば集まるほどDX化を推進できるという、好循環が生まれるのですね。

ただ、少なくとも日本ではこのスパイラルは始まっていません。しかし、そこに我々のような、現場で使うことがとても便利で、放っておいても使いたくて、快適で「ワオッ!」と言われるようなツールを組み合わせていただければ、この好循環を生み出し、結果的に顧客もその企業も売り上げが上がっていく、効率が上がっていく世界観を作ることができます。そういったパートナーとして我々が認められるように、もっと進化していければと思っています。

田村:中島さんがおっしゃるように、Salesforceは器といえば器で、ベルフェイスが担っているラストワンマイルは、まさにビジネスに直結する重要な部分です。東京の金融機関が使いこなして、頑張って元気になって欲しいという気持ちはありますが、そこからさらに地方の金融機関、そして中小企業の売り上げが上がるとか、ビジネスが拡大するといった領域にも幅広く広げて浸透させたいとも思います。

そこから「使って良かった」「ビジネスが伸びた」だけでなく、「●●地域は勢いがあってすごいね」「新たな雇用が生まれて地域が活性化した」などの結果を生み、「セールスフォースとベルフェイスおかげだ」と言っていただけるようになれば嬉しいですね。

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