本記事では、NTTグループの技術的中核企業である NTTアドバンステクノロジ株式会社（以下、NTT-AT社）のアライアンス戦略室マーケティング部門より、部門長の松浦様、統括マネージャの三宅様、主査 樋口様に、どのようにしてbellSalesAIを活用し、事業推進につなげていったのかについてお話を伺いました。

課題：顧客の声の蓄積・活用が課題に 

NTT-AT社では新規事業開発に注力する中で、商談から得られる顧客の声を正確に把握し、ビジネス開発やマーケティング戦略に反映するための仕組みが整っていない点が課題となっていました。 

加えて、商談後のヒアリング内容の書き起こし作業に多くの時間を要し、記録の質や粒度も担当者ごとにばらつきがありました。その結果、重要な顧客の声が埋もれてしまい、ニーズの全体像をつかみにくい状況にありました。 

解決策：情報を適切に蓄積し活用する仕組みづくり

こうした課題を解決するために、NTT-AT社は顧客の声をビジネス開発やマーケティング活動に活用できるよう、情報を体系的に収集・管理する仕組みづくりに取り組みました。 

その一環として、自動でSalesforceに情報をAI入力できるbellSalesAIの導入を検討しました。検討を進める中で、顧客との対話内容を構造化された形でSalesforceに記録できる点にも大きな魅力を感じ、導入を決定しました。 

活用シーン：ヒアリング業務と情報整理の効率化にbellSalesAIを活用

NTT-AT社では主に顧客ヒアリングの際にbellSalesAIを活用しています。毎回お客様に了承を得たうえで会話を記録しており、ほとんど拒否されることはありません。ワンタップで記録できる手軽さから、現場でも好評です。 

また、bellSalesAIは、ビジネス開発において重要となるバリュープロポジションキャンバスを作成するために、ヒアリング内容から必要な情報を効率的に抽出する用途でも活用されています。さらに、SalesforceへのAI入力機能により、顧客との対話内容を構造化された形で記録できる点は、業務効率の改善という観点からも高く評価されています。  

 

活用成果：業務効率・精度向上から顧客起点の事業推進へ 

bellSalesAIの導入から数か月で、業務効率の向上・属人化の解消・顧客起点のビジネス開発といった複数の面で成果が現れています。それぞれの効果は個別の改善にとどまらず、組織全体の事業推進力を高める好循環を生み出しています。 

【成果1】３時間かかっていた作業が瞬時に完了、業務効率が飛躍的に向上 

従来は、ヒアリング終了後に担当者が手動で書き起こしを行い、必要な情報を整理するのに約３時間を要していました。 

しかし現在では、bellSalesAIがSalesforce上の各項目（業務・職位、困りごと、障壁、やりたいこと・やらなければならないことなど）に沿って情報を自動で整理。必要な情報を構造化された形で迅速かつ正確に蓄積できるようになりました。 

その結果、これまで数時間かかっていた作業がほぼ瞬時に完了し、大幅な業務効率の向上を実現しています。加えて、記録ミスや情報の抜け漏れも大きく減少しました。 

【成果2】属人化の解消とデータ精度の向上 

bellSalesAIによって情報整理が自動化されたことで、担当者ごとの差がなくなり、データの客観性と一貫性が確保されました。その結果、蓄積される情報の質が均一化され、より正確な顧客理解と精度の高い分析が可能になっています。 

【成果3】顧客の声が導く、ビジネス開発と事業推進の加速

高精度な情報が安定的に蓄積されることで、bellSalesAIから抽出された顧客の声は、事業推進やサービス開発の重要な判断材料として積極的に活用されるようになりました。 

中でも大きな成果は、顧客の声をもとにマーケティング施策や新たなビジネスを創出するプロセスが確立されたことです。これまで見逃されがちだった潜在的ニーズを体系的に掘り起こし、それらをビジネス開発に直結させる仕組みが整いました。 

たとえば、収集した顧客の声をVPC（バリュープロポジションキャンバス）に落とし込み、新規ビジネスの設計資料として活用することで、顧客ニーズに基づいた説得力ある事業企画の立案ができるようになりました。  

このように、業務効率化からはじまり、情報の質の向上、顧客インサイトの活用へとつながる一連の変革が、最終的には顧客起点のビジネス開発と事業推進の加速を可能にしています。

営業部門全体への展開と新たな価値創出へ 

NTT-AT社はbellSalesAIの活用範囲を拡大し、全営業部門への導入を進めています。
顧客の声をbellSalesAIでSalesforceに自動入力し、Einstein※による分析を通じて新規事業開発の加速を目指しています。 

また、蓄積されたデータを活用して顧客の声を最大限に生かしつつ、EinsteinやAgentforce※の活用を通じて、営業現場への「AI実装」をさらに推進していきたいと考えています。 

bellSalesAIは、単なる営業支援ツールではなく、ビジネストランスフォーメーションを加速させる重要なパートナーとして位置づけています。 

※Einstein：Salesforce に組み込まれた AI 機能群
※Agentforce：Salesforce社の自律型のAIエージェントを作成・展開するためのプラットフォーム