2020年春頃から始まった新型コロナウイルス感染拡大。その影響でやりにくくなった訪問営業にかわってオンラインで行うようになった商談のために、すでにWeb会議ツールを利用している営業チームも多いと思いでしょう。
ベルフェイス株式会社が首都圏を中心に7都府県の経営者・営業職1,000人を対象におこなった調査によると、オンライン商談の導入率は52%に達し、多くのセールスパーソンが何らかのオンライン営業、オンライン商談を経験していることがわかります。
しかし、せっかくWeb会議ツールを導入しても、単に「訪問せずに商談ができる」というだけのツールの使い方ではもったいないということをご存じでしょうか。
Web会議ツールを営業がうまく活用してオンライン商談をすすめることができれば、訪問営業と比較しても、もっと売上をアップさせることは可能です。本記事では特に「営業特化型」のWeb会議ツールを、営業視点で比較検討します。
2021年はWeb会議ツールをもっと使いこなして、営業の業績アップにもつなげていきましょう。
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営業特化型のWeb会議ツール5種を比較!
Web会議ツールには、汎用型のWeb会議ツールと特化型のWeb会議ツールがあります。汎用型とはzoomやSkypeなどで知られているような一般的なオンライン会議システムのことです。
一方の特化型とは、Web会議の目的に特化したWeb会議ツールのことで、その目的に応じた便利な機能や使いやすさが追究されたツールです。今回は特に営業に特化した「営業特化型のWeb会議ツール」について、次の5つのツールを厳選し、①~⑦の項目で比較しました。
早速、各ツールをポイントごとにまとめた比較表を見ていきましょう。
bellFace | B-Room | ビデオトーク | はなスポット | VCRM | |
①音声の安定感 | ◎ 電話回線を利用 |
△ 一般的なWeb通話 |
△ 一般的なWeb通話 |
△ 一般的なWeb通話 |
△ 一般的なWeb通話 |
②事前インストール | ◎ 不要 |
◎ 不要 |
◎ 不要 |
◎ 不要 |
◎ 不要 |
③録音・録画機能 | ◎ レコログ機能・音声自動テキスト化など |
◯ 音声自動テキスト化 |
◯ | ◯ 音声自動テキスト化 |
◯ |
④画面共有機能・プレゼンテーション | ◎ 画面共有・シンクロプレゼンテーション機能 |
◯ 画面共有のみ可能 |
◯ 画面共有のみ可能 |
◯ 画面共有のみ可能 |
◯ 画面共有のみ可能 |
⑤トークスクリプト機能 | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ | ◯ |
⑥共有メモの有無や機能性 | ◯ | ✕ | ✕ | ◯ | ◯ |
⑦CRMとの連携 | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ | ✕ |
それではここから、各項目について詳しくご紹介します。
オンライン会議システムを分析する7項目の解説
まず最初に、各項目にて比較するポイントや、その重要性について詳しく解説します。
①音声の安定感
オンライン商談においてもっとも大切なのが、安定した音声通話ができることです。営業特化型のWeb会議ツールでは、インターネットの回線状況に左右されない音声通話を可能にするために、電話回線を用いるツールもあります。
②事前インストールの有無
Web会議ツールを利用する際に、専用のアプリケーションをインストールする必要があるのかどうかです。事前のインストールやID取得、環境設定など準備が必要なWeb会議ツールは、業界や年齢等によってはスムーズな商談ができないなど、大きな障壁になってしまう可能性があります。
③録音・録画機能の有無や営業に特化した機能
一般的なWeb会議ツールにも、Web会議の様子を録音・録画できる機能は装備されていることが多いです。
ただし営業にとって大切なのは、記録をとったら終わりではなく、今後の商談に活用できるようにすることです。多忙な営業職や管理職にとって、自分の業務以外にさらに何時間分もの他人のWeb会議の録画を見返すのは現実的ではありませんよね。
そこで営業特化型のWeb会議ツールでは、録音された営業トークを自動的に文字起こしする機能や、営業トークの一部分だけをピンポイントで見返せる機能などが搭載されていることがあります。このように、営業に活用しやすい機能があるかどうかも見るべきポイントとなるでしょう。
④画面共有機能やシンクロプレゼンテーションの有無
画面共有機能とは、Web会議中に自分のパソコン上で表示した資料を相手の画面上に共有できる機能のことです。あらかじめメールで資料を送付することなく、その場で資料を共有し、該当箇所を指し示しながら説明できます。
シンクロプレゼンテーション機能とは、資料の画面を共有している営業側からだけではなく、顧客側からも資料を操作できる機能のことです。双方向性のある対面営業に比べ、Web会議ではどうしても営業が一方的に話す場面が増え、その結果として顧客の不満が溜まることも少なくありません。
シンクロプレゼンテーション機能では、商談相手側のマウスポインタが営業側から見えるため、商談相手が資料の不明点などをすぐに指し示すことができます。
⑤トークスクリプト機能の有無
トークスクリプト機能とは、Web会議ツールにおけるいわば「カンペ」です。営業側にしか表示されないメモ機能で、特に経験の浅い社員にとって武器になるでしょう。トップセールスの営業ノウハウをトークスクリプトに反映すれば、営業チーム全体のトークスキルを上げることにもつながります。
⑥共有メモの有無や機能性
共有メモとは、Web会議中に参加者全員で共有できるメモのことです。議題を表示しておいたり、Web会議中に議事録を編集したり、話題に上がったURLを貼り付けて相手に見てもらったり、と使い方は多種多様です。
商談相手も含めた参加者全員が編集できる機能があれば、商談で決定した重要事項を相手側に記入してもらい、認識の相違が起こらないようにすることもできます。
⑦CRMとの連携
CRMとは、日本語では顧客関係管理といい、Customer Relationship Managementの頭文字を取った略語です。今や多くの企業がCRMシステム(顧客管理システム)を導入しています。Web会議ツールがCRMシステムと連携していれば、商談に必要な情報にすぐにアクセスできたり、商談成立後の顧客管理も一貫してできたりというメリットがあります。
主要オンライン会議システムを7つの項目で徹底分析
それでは、5つのWeb会議ツールを、次の①~⑦の項目ごとに比較、徹底分析していきましょう。
bellFace
①音声の安定感
電話回線を用いる電話方式と、インターネット回線を用いるWeb方式の2つを選ぶことができます。電話回線を用いるシステムは珍しく、音声の安定感は抜群です。特に商談相手がインターネットやITツールに詳しくない場合や、オンライン商談に抵抗を持っているような場合には、音声が途切れることがない電話方式を利用することをおすすめします。
複数拠点と結んで資料を共有したい場合などには、Web方式に切り替えて商談をすすめることもできます。
②事前インストールの有無
不要です。商談相手と電話をしながらインターネットで「ベルフェイス」と検索してもらって、表示された接続ナンバーを伝えてもらえば、すぐにWeb会議を開始できます。
③録音・録画機能の有無や営業に特化した機能
あります。「レコログ」という機能は、営業に特化した機能です。この機能により、商談の会話を自動的にテキスト化して議事録作成ができたり、特定の営業ワードが商談の中でどう使われているか検索できたりします。
また、同じ資料を使って顧客に説明している商談だけを一覧で表示する「場面検索」という機能もあります。この機能を使えばトップセールスの営業から学ぶ機会を増やせます。
④画面共有機能やシンクロプレゼンテーションの有無
画面共有、シンクロプレゼンテーション機能ともにあります。シンクロプレゼンテーション機能は、商談相手(顧客側)のマウスの動きが見える画期的な機能です。
Web会議だと時として疑問箇所を説明するのに苦労してストレスが溜まったり、顧客側があきらめてしまったり、というリスクがありますが、シンクロプレゼンテーション機能があればまるで対面営業のように該当箇所を指し示して説明できます。
⑤トークスクリプト機能の有無
搭載されています。
⑥共有メモの有無や機能性
搭載されています。参加者全員で編集することができます。重要な決定事項である金額や日時などを顧客に書き込んでもらうこともそのままダウンロードしていただくこともできるので、その後のトラブル防止にも役立ちます。
⑦CRMとの連携
Salesforceが連携可能です。CRM上からbellFaceに接続できるので、商談記録から顧客管理まで一連の流れを一括管理できます。
B-Room
①音声の安定感
デバイスや端末に合った最適な通信方式で自動接続し、ネットワーク状況に合わせてビットレートを変更するなど、音声が途切れない工夫をしています。
②事前インストールの有無
不要です。顧客側は営業に伝えられたルームキーを入力するか、送られたURLをクリックして会議を開始します。
③録音・録画機能の有無や営業に特化した機能
あります。音声は自動テキスト化してログとして保存されるので、議事録作成の負担が軽減されます。
④画面共有機能やシンクロプレゼンテーションの有無
画面共有機能があります。「デスクトップ共有」で営業のパソコン画面を見せたり、プレゼンモードで資料を画面に展開してポインタ表示して説明したりできます。シンクロプレゼンテーション機能はありません。
⑤トークスクリプト機能の有無
あります。
⑥共有メモの有無や機能性
商談相手との共有メモはありません。商談相手には見えませんが、同じ会議に参加している社内メンバーと共有で書き込める「ステルスメモ」があるので、商談中に上司と内緒で相談したり、指示を受けることはできます。
⑦CRMとの連携
ありません。
ビデオトーク
①音声の安定感
音声はインターネット環境に左右されます。
②事前インストールの有無
不要です。携帯電話番号に会議URLをSMS送信する方式なので、商談相手がパソコンに疎い場合でもスマホ上でワンクリックするだけでWeb会議を始めることができます。
③録音・録画機能の有無や営業に特化した機能
あります。
④画面共有機能やシンクロプレゼンテーションの有無
画面共有機能はあります。シンクロプレゼンテーション機能はありません。
⑤トークスクリプト機能の有無
ありません。
⑥共有メモの有無や機能性
ありません。
⑦CRMとの連携
利用しているCRMに「いつ、だれとWeb会議をしたのか」を自動的に記録することができます。なお、API連携が可能なCRMに限ります。
はなスポット
①音声の安定感
インターネット環境に左右されます。
②事前インストールの有無
不要です。ルームキーを伝えるか、メールにURLを送付してワンクリックする方式で接続します。
③録音・録画機能の有無や営業に特化した機能
あります。Web会議中の会話をAIが認識して自動テキスト化し、CSVファイルでダウンロードできます。
④画面共有機能やシンクロプレゼンテーションの有無
プレゼンモードで、スムーズにページをめくりながら資料を見せることができます。シンクロプレゼンテーション機能はありません。
⑤トークスクリプト機能の有無
あります。
⑥共有メモの有無や機能性
あります。参加者全員で1枚のテキストメモに書き込むことができ、その場で保存できます。
⑦CRMとの連携
ありません。
VCRM
①音声の安定感
インターネット環境に左右されます。
②事前インストールの有無
不要です。顧客は電話をしながらブラウザで番号発行して営業に伝えるか、送られてきたURLをクリックして接続するかを選べます。
③録音・録画機能の有無や営業に特化した機能
あります。
④画面共有機能やシンクロプレゼンテーションの有無
画面共有や資料のプレゼンテーションをすることができます。シンクロプレゼンテーション機能はありません。
⑤トークスクリプト機能の有無
あります。「非公開商談メモ」と呼ばれる顧客側には非公開のカンニングペーパー的なメモになります。
⑥共有メモの有無や機能性
あります。
⑦CRMとの連携
ありません。
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まとめ
営業特化型のWeb会議ツールを5種、営業視点で客観的に比較しました。改めてピックアップした5ツールについて、項目別の比較表を見ていきましょう。
bellFace | B-Room | ビデオトーク | はなスポット | VCRM | |
①音声の安定感 | ◎ 電話回線を利用 |
△ 一般的なWeb通話 |
△ 一般的なWeb通話 |
△ 一般的なWeb通話 |
△ 一般的なWeb通話 |
②事前インストール | ◎ 不要 |
◎ 不要 |
◎ 不要 |
◎ 不要 |
◎ 不要 |
③録音・録画機能 | ◎ レコログ機能・音声自動テキスト化など |
◯ 音声自動テキスト化 |
◯ | ◯ 音声自動テキスト化 |
◯ |
④画面共有機能・プレゼンテーション | ◎ 画面共有・シンクロプレゼンテーション機能 |
◯ 画面共有のみ可能 |
◯ 画面共有のみ可能 |
◯ 画面共有のみ可能 |
◯ 画面共有のみ可能 |
⑤トークスクリプト機能 | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ | ◯ |
⑥共有メモの有無や機能性 | ◯ | ✕ | ✕ | ◯ | ◯ |
⑦CRMとの連携 | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ | ✕ |
ぜひ今お使いのWeb会議ツールと比較して、営業が使いやすく売上アップにつながりそうなツールがあれば、資料請求やツールの変更を検討してみてはいかがでしょうか。
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