在宅勤務・テレワークは、コロナウイルス対策の一環として急速に広がりを見せました。テレワークとは、ICT(情報通信技術)を駆使してオフィス外から勤務する柔軟な働き方を指します。
新型コロナウイルス感染拡大の未曾有の危機から社員を守るために、職種や業務内容を問わずに急遽テレワークを導入した企業も多く存在するでしょう。しかし、職種によってはテレワーク化に課題を感じたケースもあるのではないでしょうか?
今回は営業職のテレワーク化に焦点を当てて、顕在化した課題やテレワークでも問題なくできる営業方法、課題の解決方法についてご紹介します。
テレワークの継続に限界を感じている企業様も、この記事をきっかけに継続の糸口が掴めるかもしれませんのでぜひご一読ください。
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在宅勤務・テレワークの増加による営業の課題
営業は、さまざまなプロセスを経て成約に至ります。そのため、テレワーク化によって1箇所の業務が滞ってしまうと、営業活動全体の流れが停滞してしまいます。では、テレワーク化によって具体的にどのようなことが課題となる可能性があるのでしょうか。
イベント・展示会等が開催できない<
2020年、新型コロナウイルス感染拡大のリスクが高まる密集・密閉・密接の3密を避ける必要があるため、多くの人が集まるイベントや展示会は軒並み開催の中止もしくは延期を迫られました。
徐々に日常を取り戻しつつある中でも、感染拡大の第二波への懸念からイベントや展示会の再開の目途が立たず、新規見込み顧客獲得のアクションが取れない企業も多いことでしょう。
2021年の第二次緊急事態宣言も同様です。イベントそのものが禁止されたわけではありませんが、テレワーク体制の企業に所属している方はそう簡単にイベントに外出したりしないため客足は明らかに減ることとなりました。
新規見込み顧客が獲得できないことは、売上の維持・拡大ができないということになるため、オフラインを主戦場としてきた企業にとっては大きな痛手です。
テレアポ・DMが効果を出せない
在宅勤務・テレワークが広く社会に浸透しているということは、オフィスに社員がいない企業が多いということでもあります。
したがって、テレアポやDMによる営業活動をおこなったとしても、そもそも電話がつながらない、メールを開封してもらえない状況になっているということです。
イベントや展示会が実施できないうえに、テレアポやDMも効果が上げられないのであれば、他に新規見込み顧客の獲得手段を持たない企業はまさに八方塞がりの状態でしょう。
対面の商談ができない、商談に至らない
今までの日本において、対面式での商談が一般的でした。しかし、人が直接会って近距離で会話することがはばかられる状況下では、別の商談方法を考える必要があります。
また、いつ商談が実施できるか分からない情勢では、案件が保留とされやすく、商談化率の低下を招きます。
リードタイムの長期化
企業のテレワーク化は、決済スピードにも大きな影響を及ぼします。
テレワークは、同じオフィスですぐに上司や責任者に確認が取れる状況ではないため、商談に漕ぎつけたとしても、成約に至るまでのリードタイムが長期化しやすい傾向があります。
特に大企業は複数人の決裁者の承認を経る必要があるため、さらにリードタイムは長期化しやすいでしょう。
また、ハンコ文化の根強い我が国においては、所定の書類に決裁者の押印が必要なことがほとんどです。
電子契約書を導入していれば、比較的スムーズに契約を結ぶことはできますが、JIPDECの電子契約の普及率調査によれば、2018年度時点で43.1%とまだまだ半数以上に企業は電子契約の導入に踏み切れていないのが現状です。
営業チームにおける情報共有の課題
テレワーク化は、社外とのやりとりだけでなく、社内の情報共有の鈍化も招きます。
部署内の進捗状況の把握や、コミュニケーションも全てリモートで行わなければならないため、誰がどの案件を進めているのか、受注の確度はどのくらいなのか、今月の売上目標は達成できそうかなど、重要な情報がスムーズに共有できないという課題が出てきます。
在宅勤務・テレワーク時に有効な営業方法
ここまで、在宅勤務・テレワークがもたらす営業への課題を整理してきました。しかしながら、企業が事業を継続していくためには、困難な状況下でもさまざまな工夫によって乗り越えていかなくてはなりません。
テレワークでも営業を継続するポイントが全体的なオンラインへの移行です。ここでは、オンラインへのシフト方法について営業のプロセスごとに解説し、有用なツールもご紹介します。
リード獲得
テレアポやDMによる営業手法や、展示会による新規見込み客の獲得がテレワーク下では成果につながらない、実施できないことは先述したとおりです。そこで、Webを用いたリード獲得に移行することで対応が可能となります。
リードの獲得は、潜在顧客と顕在顧客によって手法が異なります。
潜在顧客向けの手法
まず、潜在顧客は自社商品・サービスの認知していない顧客を指します。一切関心がないというわけではなく、商品・サービスの存在を知ってもらうことで購買につながる可能性があります。
また、顧客自身がニーズや課題を自覚していない場合も同様です。潜在顧客に対しては、共感やコミュニケーションを活かしたSNSマーケティングを行う、メールやお問い合わせフォームアプローチで担当者へアプローチするなどの手法が有効だと考えられます。
顕在顧客向けの手法
一方、顕在顧客は自社の商品・サービスを認知して、ニーズも認識している顧客を指します。価格や機能面で複数社と比較検討しているケースが多く、商品・サービスへの関心が高い状態です。
そのため、顕在顧客に対しては、SEO対策を施したオウンドメディアで有益な情報を発信する、ターゲットに合わせたリスティング広告などのアプローチが有効です。
リード獲得段階においては、ターゲット像を絞ってアプローチする必要があるものの、アプローチ対象が大量になるため、メール自動配信ツールや営業リスト作成ツールなどを使うと効率的に活動できます。
例えば「APOLLOSALES(アポロセールス)」は、営業リストの作成からメールの自動配信、さらにお問い合わせフォームへのアプローチも行えるツールです。
使いやすいインターフェースで、日々アップデートされるデータベースとメール配信結果の効果測定によって、パフォーマンスの高いリード獲得が実現します。
ナーチャリング
BtoBの場合はリードタイムが長いため、購買に至るまでに複数のステップを経て信頼関係を構築し、顧客をナーチャリング(育成)することで受注につなげる必要があります。
具体的なオンラインの手法としては、シナリオに基づいて計画的にメールを送信する「ステップメール」、ターゲットの属性に応じてグループ分けを行うことで適した内容のメールを送信する「ターゲティングメール」、参加者に有益な情報を提供する「ウェビナー」などの手法が挙げられます。
リードナーチャリングを実施する際は、「MAツール」を活用するとリードナーチャリング全体の動きを一元管理することが可能です。
MAツールは、リードの行動履歴からセグメント分けを行ってスコアリングします。スコアリングによってホットなリードに注力してナーチャリングを実施できるため、質の高いリードを商談につなげることができます。
例えば「SATORI」は、700社以上の導入実績のあるMAツールです。リードの獲得からリードナーチャリングまで一貫して行えるうえに、実名ユーザーだけでなく匿名ユーザーに対してもアプローチ、スコアリングが可能です。
オンライン商談
対面式の商談ができないテレワーク下では、オンライン商談が最も有効な解決策です。
オンライン商談は画面越しに相手の顔を見ながら商談ができるため、ほぼ対面式と変わらない商談を実現できます。ツール選びや実施方法を工夫すれば、対面式の商談以上の成果を上げることが可能でしょう。
まず、オンライン上で商談を行い、訪問する必要はありません。移動にかかる時間を削減できるため、1日あたりの商談件数を増やすことができ、交通費も必要ないので経費も削減できます。
今までは時間とコストの問題でアプローチできなかった遠方の地域に対しても、アプローチが可能となります。
さらに、対面式の商談はテクニックや手法を共有しづらく、新人教育が難しいという課題がありました。しかし、オンライン商談はツールによっては録画機能を搭載しており、優秀な営業パーソンの商談をそのまま教材として活用することができます。
マニュアル化しづらいテクニックも動画で確認できるようになるうえ、新人営業パーソンの商談を録画してフィードバックすることもできるため、教育を効率的に行えるのです。
オンライン商談を実施する時は、30分~40分程度に抑えておきましょう。オンラインに限らず、長時間の商談は顧客側にも疲れが見え、内容をしっかりと理解してもらえない可能性があります。時間内に商談を終わらせるには、スライドの情報をコンパクトにし、資料はビジュアルをメインに作成すると有効です。
例えば「ベルフェイス(bellFace)」は、3,000社(2021/1/1時点)以上の導入実績を持つオンライン商談システムです。
紙媒体資料のような操作性と、5秒で接続できるスムーズな商談の実現や、自動でセールスフォースに連携させて商談情報を入力できるなど、ビジネスに特化したシステムで営業活動の効率化を実現させています。録画機能も有しており、倍速再生も可能なのでスピーディーな振り返りが可能です。
受注・契約
テレワークで受注や契約をまとめる際は、郵送によるやりとりも可能です。しかし、代表印の持ち出しはセキュリティ上難しいケースも多く、書類は郵送できても結局は判子を押すためだけに出社する必要があるといったケースも多いでしょう。
このように、せっかく契約まで至っても、テレワーク下ではスムーズな契約締結が困難となります。そこで、契約書の提出をクラウド上で行う電子契約サービスを活用することで、テレワークでも簡単に契約や受注をすることが可能になります。
電子契約サービスは、今まで紙媒体で行ってきた契約書をネット上の電子ファイルに署名することで、契約が締結するシステムです。サーバ上で契約書は保管されるので、長期的な保管が可能になり他のシステムとの連携もできます。
「クラウドサイン」は、弁護士監修よって日本の法律に特化した電子契約サービスです。今までに、50,000社以上の導入実績を誇っています。
契約書の準備・取引先への確認依頼・取引先による押印の3つの簡単なステップで契約は完了することができ、スピーディな契約締結やコストの削減・コンプライアンスの強化などを実現することができます。
営業チーム内の課題解決
今までのオフィス勤務の場合では、営業活動の進捗状況や課題点を営業部門間で話し合い、対面方式で状況や情報を共有してきました。
しかし、テレワークの場合は直接顔を見て話し合うことがないため、意識的に情報共有をしていかないと個々の営業担当者の進捗状況を把握することができません。
テレワークで営業活動を行っている企業の課題として多く挙げられるのは、オンラインでの社内会議による意思疎通や、個々の営業活動の共有、案件を進めるうえで重要な他の部署との連携が難しいことです。
ここでは、テレワークを活用して営業活動を行ううえで、ツールを活用して情報共有できる環境を作る方法についてご紹介します。
情報共有体制の整備
テレワークのコミュニケーション不足を解消するには、コミュニケーションツールを活用することがおすすめです。
コミュニケーションツールは、チャットを利用して簡単に相手と連絡ができます。文章だけでなく、ファイルデータのやりとりも行えるので、情報共有がスムーズに行えます。最近では、ビジネスに特化したツールも登場しているので、企業のスタイルに合わせたツールの選定が可能です。
また、テレワークでの情報共有には、SFAツールの活用も有効です。SFAツールは、企業の営業活動の管理を目的としたツールで、進捗状況や顧客リスト管理機能などを持っています。
営業活動においては、経験と勘が長けている人材が結果を残しているケースが多く、個々での成果に偏りが出ています。
そこで、SFAツールによって個々の活動を分析してノウハウや技術の共有をすることで、属人化していた営業活動から脱却し各営業担当者が成果を残すことが可能です。
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まとめ
この記事では、在宅勤務・テレワーク急速に広がる中でも営業活動する方法としてオンラインにシフトしていく方法をご紹介しました。環境さえ整えることができれば、テレワークであっても営業活動が継続できることがお分かりいただけたでしょう。
営業をオンライン手法に切り替えていくことは、営業活動の継続以外にも効率化というメリットをもたらしてくれます。テレワークの広がりをきっかけに、自社の営業活動の見直しを図ってより強力な営業体制を築いてみてはいかがでしょうか。
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